源流7
日向:(こ……ここは?………そうですか、私は本拠地に戻って……。イドは……どうしているのでしょうか?気絶しなければ…頼もうと思っていましたが……)
エル:……ひ、日向様!目が覚めたんですね!?良かった…
日向:エル。ご心配をお掛けしました。何とか動けそうです。そういえば私を連れ帰ってくれた人は…?
エル:彼奴は……今。地下牢に居ます。深い傷を負っていたので最低限の治療を施して。
日向:なんですって?一体何故彼を…………(それに傷とは…やはり私を背負ったせいで……?)
エル:日向様はご存知ないのですか?彼奴の素性を………
日向:調べたんですか、彼について……。無論、私は存じています。一度戦いましたし…命を救われましたから。
エル:何故彼を地下牢に、でしたね。当然、近衛暗殺部隊の序列一位……幹部クラスの者を野放しにするのはあまりに危険と判断したまで。
日向:彼が、私を此処に連れ帰ってから何かしましたか?
エル:いえ。一度立ち去った後、ヌルに命じて連れ戻させましたが…その時点で既に出血多量で意識不明の重体でしたから。今、牢でヌルに付き添わせていますがまだ、意識は戻っていないと。
日向:そうですか。私は牢に行きます、彼が心配なので。
エル:日向様!何故そこまで彼奴に?近衛の輩ですよ!?諜報と近衛の確執、日向様もよくご存知の筈です。
日向:それが何か?心配せずとも…彼に、諜報を目の敵に思う気持ちはありませんよ。
エル:何故そこまで彼奴を信頼しているのですか!?たった一度命を救われただけで………
日向:私の怪我の原因はご存知ですよね、銃弾による銃創。私が動けなくなった時、助けてくれたのは…他ならぬ彼なんです。
エル:それが日向様の油断を誘う、策だと思わないのですか?近衛は身内すら欺き罠の餌とする……。部下の命を自ら奪うことであたかも味方のように振る舞う…古典的で卑劣な手。
日向:一度だけなら、それもあり得るでしょうが……それだけでもないのですよ。……それに、今回の騒動、元を正せば私の部下であるストラとロイの裏切りにありました。
エル:ストラとロイ、ですって?確か古株の………
日向:はい。彼等は近衛特殊工作員でした。密偵として潜入し、諜報の名を貶める為に活動していたようです。
……彼等は諜報の名を騙り、強姦や暴力を働いていました。それを力ずくで止めたのが……イドでした。彼等は私に、"一方的に喧嘩を売られ敗北した。諜報に離反する輩だ…"と報告しました。
エル:その時点では、素性を知らなかったんですか?
日向:ええ。彼等の証言から、やっと導き出しましたからね。ですがここで当然の疑問が。
近衛部隊の序列一位の彼が何故…ストラとロイを仕留めなかったのか…です。
エル:だからそれは策だと…
日向:根拠はまだあります。彼等の件で事情を話すことを拒み、私とイドが戦う事になりましたけど……私を仕留めるとは言いませんでした。"離反者らしく、逃げるとするか"……と。
……その時点で私を仕留めれば早かったのでは無いでしょうか。わざわざ逃げる必要などありませんし何より…部下を失わずに済むでしょう。
エル:その時殺意がなかった根拠はあるんですか?
調査兵:失礼します。ヌル様から言伝で…目が覚めたと。
エル:了解。すぐ向かう。日向様…続きは彼奴の前で良いですよね?
日向:ええ。私にも聞きたいことはありますし…礼も言わないと。
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