イドと近衛(相容れない立場・仮)

イド:………!この、気配は………。(近衛の序列2位から5位………わしを連れ戻しに来たか……?)


酣:どうしますか?戻られるので?


イド:……たわけ。わしゃもう…戻らんが。酣よ…ここは任せた。行くが。


酣:……はい、承知しました。お気をつけ下さい。


イド:音無よ。やるで。


音無:あいよ!序列1位の力、見せてやりましょう!


イド:(序列2位から5位は………元々近衛の面子やなかった。雇われの傭兵だったと聞くが……)


(中略)


2位:蠱毒、雀蜂。攻撃を敢えて受けるのが仇になりましたね…離反者のイド。


イド:……わしゃな、この程度の毒や…屁でもあらへんが。おまんを倒すだけならの。


(吐き出した血を拭うと、鞘に納めた音無で殴り気絶させた)


イド:(じゃが、さすがにわしでも身体が動かん……ように………)


(毒の作用で麻痺し、そのまま倒れ込んでしまった。)


音無:(ある………じ……この、ままでは…………死んで…………しまう………)


(中略)


3位:何故だ!希死感を持ちながら、何故自ら手を下さない!?他者の手など借りず、自ら死を選べば良かろう!どこまでも生ぬるい考えをしおって……!


イド:のぅ、酣よ。わしゃ日向に同じ論点で叱られたが……姉やんとは真逆じゃ。不思議じゃのぅ…


酣:言ってる場合ですか!?確かに清々しいほど真逆ですけども………(両方否定なので、賛否両論とは異なるんですが…)


イド:かっかっか!どっちにしろわしゃ叱られる運命なんじゃのぅ!(日向に叱られたんは前世"源流"の事じゃった…ほなけん日向には言わなんだんじゃが…)


酣:(ああ、やはり主様は…この考えを………棄てられないんですね…)


イド:そもそも何故わしが死を選ばんか……?それはな、憎まれ蔑まれながら生きることそのものが償いじゃけん。

わしかてわし自身が憎うてしゃーない。昔は自死しようとしたが。


イド:ほなけど、昔上役に言われたんじゃ。"どげに己が憎うても、自ら死を選ぶな。恨まれ蔑まれて、己が罪の重さを背負え。その覚悟無き者に人斬りはできん………"と。


2位:もう、止しなさい。彼を責めても、私達が不必要と断ざれた事実は揺らぎません。私達の実力が及ばなかった。


3位:そんなの、認められるか!この男は…我等に命を狙われながら、情けをかけ我等を救った!


………傭兵としてお仕えする我等からすれば、屈辱以外の何者でもない。負けた者を生かし生き恥を晒させ、満足か!?


2位:………確かに、情けを掛けられて生き恥を晒している事実は認めます。ですがそれは…あくまで私達の考え。彼に押し付けてはなりません。


彼は彼の正義を貫いた。たまたま私達の考えと異なっていただけです。


5位:あのね、素直になろう?あのひとも危ない時に助けてくれたんだよ?ありがとーって言わないと!


4位:………ふん。助けたことを、後悔させればいいだけだろう。諜報に肩入れする輩だ、遅かれ早かれ…我等と衝突は避けられまいて。借りを返すのはその時だ。今いがみ合う必要はない…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る