人斬りイド(短編台詞2)

復讐を成すためにゃ………過去も現在も全て棄てる覚悟が必要………


昔、仇討ちを生業としよった奴がそう言よったんや。


おまんに、その覚悟は……あるか?


わしの事をカモがネギ背負ってきたと言うたな?おまん…そのカモにネギで殴られる可能性は考慮して言いよんか?


己が実力を過剰評価し過ぎとちゃうか。たわけが。


げほっ………!(今此処で逝かんでも…わしはもう長うない……か。)

(表情を歪めると口元に垂れた血を拭う)


刑吏………?おまん、何故こんな所に居るんじゃ……法で裁くおまんの出る幕ちゃうで。


わしの生き死にを決めんのはわしちゃう。そこのおなごや…のぅ?


わしの業は…法で裁くもんとちゃう。わし自身が……法で裁けん悪どい奴をぶった斬っとったからのぅ。


わしを裁いてええんは………わしが手に掛けた奴等の遺族だけよ。


現にわしが介錯を恃んだんも望まれたからや。切腹に介錯は必須じゃからの。


がっ……!?(何じゃ…身体が………動かん…?しもうた……あん時の一撃が…効いたんか…………二速が出せんと、見切りもできひん……)


…………参った。わしの敗けじゃ……好きにせえ。(一速の夢幻-儚-はとっくに見切られちょる。かと言うて一速でも背面刀技は殺めてしまう………手詰まり、じゃの。)


(………遊宴、無影……両方具現化できんか。同時に具現化しよったせいじゃの。ものっそい怠いのぅ。)


………ここは………(宿屋か?誰が連れて来たんじゃ…………?)


そうか………わしが森でのぅ………

(つまり、奴が此処に…)


………あつつ……(まだ動けんか……)


……そうじゃ。一つ頼みがある。宿屋の女将に聞きゃ分かるが……昨日、わしが此処に担ぎ込んだ客も…診たってくれんかのぅ。

わしにぶつかって気絶しよったけん、手負いやも知れん…


………おおきにのぅ。


……おまんは……酒屋の。親父さんに頼んで、いつもの貰えんか?


何、今は手負いじゃけん呑めへんで。


(今は動く時ちゃう。本にヤバい思たらわしから一報入れるけん…今は知らぬ振りで通してくれ。)


日向………のぅ?や、覚えちょらん。


………陸道………卯月………

お………おまんは………………


あの時の………幼児………じゃと…!?

そうか………生きちょったか………


運命の悪戯とでも言うべきかのぅ。


………お………おまん、目が座っちょる…や、止めんか!?

わしは……注射は嫌なんじゃあああ!誰か…日向を、止めてくれぇえええ!!

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