危ない二人

一ノ瀬:………へぇ。ずいぶんご無沙汰の獲物だね。


キモナシ:ひぃ、ふぅ……五匹もいる。嬉しいなぁ。


一ノ瀬:"生きてる"から僕が引き受けるよ。……要求は?


キモナシ:うーん………内蔵が採れたら別に。手足は残ってたらわんこ君にあげるし。


一ノ瀬:ふふ……了解。後で研究過程見せてよ、前と違うんだろう?


キモナシ:うん。新しい保存液を試すつもりなのよ、あれは自信作だからね。卯月君と共同開発したんだ。


一ノ瀬:ああ、あの子か。前に天才って絶賛してたもんねぇ。今度紹介してよ、興味があるからさ。


キモナシ:いいよ。卯月も喜ぶと思うし。


一ノ瀬:後の楽しみができたし……"実験"を始めようか!せいぜい足掻いておくれよ!


(半時間後、侵入者5名は薬で人格を弄られ相討ちで果てた)


ふふ……薬が効きにくい子が居るんだね。ずいぶん抵抗して自死か…………面白い。


キモナシ:次はもうちょい凶暴化させたらもっと見応えのある実験になりそうだね。


もちろん、僕達に向かってこないギリギリを攻めることになるけどさ。


一ノ瀬:確かに。前は凶暴化に全振りしたから危なかったんだよね……死ぬかと思ったよ、妖怪だけど!


<キモナシの研究所>


キモナシ:さすが、素人の殺りあいは中身がほぼ無事で済むからありがたいね。


一ノ瀬:道具が無いからもあると思うよ。ナイフ、貸してあげた方が良かったかなぁ?


キモナシ:うーん………道具を貸すなら凶暴化は見送りだね。比較したいじゃん?


一ノ瀬:そうだね、遺体の損傷具合や経過時間とか……色々見比べられるもんねぇ。


卯月:………呼びましたか、キモナシさん。


キモナシ:お、ちょうど良いところに来たね。今、一ノ瀬と実験の続きをしてたのさ。


せっかくだから、共同で実験するんだし話してみたら?


卯月:………分かりました。宜しくお願いします、一ノ瀬さん。噂はキモナシさんから伺っています。


一ノ瀬:ああ、宜しくね。聞いたよ、君って媚薬を乱用してウェパール君をを半死半生のゾンビにしちゃったんだって?凄いなぁ。


卯月:はは……結果的にそうなりましたけど。未だに原因と言いますか…仕組みははっきりしてないのですよ。


とりあえず今の研究テーマは、ゾンビになったウェパールを戻す方法の模索ですね。キモナシさんと実験してるのも……参考になればと。


一ノ瀬:へぇ……面白そうじゃない。今度で良いからさ、資料見せてよ。永遠の命とか……そっちに繋げられるかも知れないし。


卯月:………ええ、私の資料が参考になるのであれば喜んで。

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