四日目

「愛しい愛しいマイスイートハニー!あなたの愛する魔王レクシスですよー!」


「妄想も大概に」


「おやおや相変わらず照れやさんですね、そんなところも好きですよ」


「照れてません、嫌がってます」


「とかなんとか言いながらクッキー完食してるじゃないですか、ありがとうございます!」


「……友人が勝手に食べただけです」


「またまたそんなこと言って。私の気を引こうとせずとも貴女にぞっこんですからご安心を」


「安心出来ません」


「そう言えばこの国の王子様が今朝から腹痛で苦しんでるそうですよ。アザレアも食べ物には気を付けてください」


「あなたがそれを言いますか」


「その『あなた』という呼び方いいですね、まるで夫婦みたいで……もしやこれは結婚を受け入れるという遠回しなお返事ですか!?」


「全然全く欠片も違います」


「おや残念。では気長に口説くと致しましょう」


「諦めてください」


「さて、今日は赤い薔薇の花束をお持ちしましたよ。やはり花があった方が気分が明るくなりますね」


「勝手に飾らないでください」


「ピンクと赤で悩んだのですがやはりアザレアには赤が似合いますね、美しい濃紺の髪に私の贈った赤い薔薇が栄えそうです」


「つけませんからね?」


「つれないですねぇ、しかしそう言うところも素敵です。寧ろ拒絶されればされるほどもっと近付きたくなります。罵られても嫌がられても寧ろご褒美です!」


「衛兵さん、この人変態です」


魔王はあらぬ趣味を疑われた。


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