第2話 避けては通れぬ道それは説明回
俺の名前は、御手洗健。無料案内所でバイトしている20歳の大学生。
ひょんなことから異世界で無料案内所をすることになったんだ。
ひょんなことからのひょんってなんだ……?
あれからお城に連れていかれた俺に王様は、事の経緯を説明してくれた。
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「国営の風俗街を作った!?」
「そうじゃ。じゃが人気がイマイチでのぅ。そこをどうにかしてほしくてお主を呼んだじゃ」
ここから先の経緯は説明は校長先生の朝礼の話より長かったので要点だけ簡単にまとめるとこんな感じらしい。
①貧困層での売春や衛生観念の問題で伝染病が流行っていた。
②売春宿と呼べるものは金を払って女奴隷を殺す以外は何をしてもいいといった場所しかなく、奴隷の人権保障が問題になっていた
③①と②の改善の為に、奴隷の安全保障と衛生管理の法律を作り売春も禁止したが、働き口がなくなってしまうので国営の風俗街を作った。
④衛生管理の法律と売春の禁止のおかげで伝染病の根絶に成功したが、イメージは悪く風俗街はあまり流行っていない。
④国も援助金などを出し手伝ったが客が入らない為、運営をませている貴族や商人からの反発が起こっている。
⑤このままではまずいとなり、100年に一度使える異世界から人を召喚する魔法で夜の街を復興できる人物を召喚した。
⑥召喚された者は帰還出来ないため、召喚魔法の術式が自動的に帰郷心があまりない人間を選ぶ。
といった概要だった。
ちなみに男の奴隷は元々労働力としての働き口があったので、人権保障の法律ができた後でもそこまでの問題になっていないそうだ。
一通り説明を終えた上で、王様が頭を下げる。
「召喚魔法の術式が自動的に帰郷心があまりない人間を選ぶからと言って、何も知らない所に突然呼び出されたことに変わりはない。だが、どうか我らの国を救ってほしいのじゃ」
確かに、元の世界に未練は筆おろしの件を除けばあまりない。
異世界召喚物の小説をよく読んでいる身からすれば、この状況に不安よりもワクワクが勝っている。
さらに王様から付け加えてこう言われた。
「お主には今から拠点となる家を贈呈しよう。あと身の回りの世話として、付き人を送るでな?」
「付き人ですか?」
右も左もわからないのだ、正直助かる
「付き人は若い女らしいぞい? 風俗街関係者じゃからお主が活躍すれば、尊敬されてあんな事やこんな事に……」
「ッ!?……天才か?」
もう未練は欠片もない。
俺は童貞らしく、純情な初体験に最も憧れているのだ。
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王城を後にし、王様からもらった家に案内され一息つくことが出来た。
周りには誰もいない、俺一人だ。
元の世界での未練は王様の素敵な提案のおかげでなにもないが、俺が召喚された経緯については物申したいことがある。
王城の厳かな雰囲気と王様の申し訳無さそうな態度のせいで、突っ込めなかったあれこれをここ発散させてもらう。
「王様馬鹿じゃん! 100年に一回を俺に使う!? 他の人呼べよ! ってかもっと大事なことに使えよ!!」
それにあの王様何なの! パレードするとか言ってたよ!?
パレードって勇者とか英雄にやるやつじゃん!
俺ただの無料案内所のバイトの大学生だよ!
時給1500円だよ!!
他にも呼ぶ人居ただろ!
王様が俺に求めてきた事を一言で表すにはこれだ。
【夜の店を繁盛させ収益をだす】
なるほどね。だから無料案内所の俺が呼ばれたわけか、それなら俺でも……
「出来ねえよ! もうそれ偉い人がする仕事じゃん! 大臣とかがする仕事じゃないの!」
何から何まで無理難題すぎてベットでうずくまっていた。
「それにこんな事言いたかないけど、家が質素だよ! 家具がベッドだけって……国賓みたいな扱いするならもうちょいなんかあってもいいだろ!」
王様からもらった家は、よくある一人暮らしの1Kの部屋だ。
キッチンやトイレ、シャワーはあるが、家具がベッドしか無いのだ、どうやって暮らせと……
裏カジノのパチンコで億万長者になった翌日に軍資金の利子で殆のお金が消えた、某有名マンガの主人公のごとく、ベッドでぐね…ぐね…としていると家の扉をノックする音がした。
「誰だよ! 俺は今考え事もとい王様への不満で忙しいの!」
心の中のイメージで伸びて尖っていた自分の鼻と顎を元に戻し、ベットから起き上がった俺は苛立ちもありノックされた扉を勢いよく開けた。
扉を開けると目の前には女の子が立っていた。
「ひゃ......も、申し訳ございません。忙しいようなら出直してきます」
扉の前に立っていた子は身長150前後、白いフリルの付いたワンピースに身を包み、肩まで伸びた青色の髪をなびかせ、少し俯き加減だがそれでも分かるほど透き通って見えるエメラルドグリーンの目、みんな大好きおぱーいは目測でDよりのCといったところか。
少しやせ気味だが、これがエロゲーなら妹系と言うよりも幼馴染系の方が近い幼すぎない顔、そう一言で言うならよく言われる表現だが天使という言葉が適切な娘だった。
なんでそこまで俺が力説するかって?
そうまさに一目ぼれしたからだ! 超好み!
「結婚してくれ」
俺はそう言って気が付くと俺はその子の肩を掴んでいた。
本来、童貞の俺にこんなアグレッシブさは無い。
異世界召喚のワクワクと、お王様への不満、そして目の前の娘へドキドキが俺を変なテンションにさせていた。
「ええっ!? あの......」
突然の事に動揺したようだったが、さっきまで俯き加減だった彼女が俺の方を見てにこりとこちらに笑顔を向けてくれた……気がした。
プロポーズからの笑顔! そうそれはつまりオッケーってことだな!
俺と彼女の初めての愛のベーゼを交わそうと、俺が彼女の顔に近づけようとした瞬間。
俺の行動に答える様に、彼女も言葉よりも先に行動で示してくれた。
俺より彼女の行動の方が早かった。
彼女の行った行動。それは…平手打ちだった。
「きゃぁ!! なんなんですか!!!」
バチン!!
今まで感じだ事のない衝撃で平手打ちを食らった俺は盛大に壁際までぶっ飛んだ。
目の前に星がちらつく。そうこれはきっと天使を見すぎてくらくらしてるだけなんだと思った、それくらい彼女は魅力的だったのだ。
後、ちょっとだけ冷静になって自分の行動を反省した。
「俺の天使は少し乱暴なようだぜ……ゴメンナサイ……」
そんな事を言いながら、俺は意識を手放した。
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