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第1459話 孫娘の成長を喜ぶお爺さんがいました
第1459話 孫娘の成長を喜ぶお爺さんがいました
「それで、外壁補修にスラムの人達を雇って……」
ティルラちゃんの考えをまとめると、外壁補修のためにスラムにいる人達を使う。
そうして、スラムにいる人達にもお金が入って真っ当な生活ができるようになるのと共に、外壁補修に関わる事で多少なりとも建築などの知識が入る。
また、当然ながら補修をする人員全てをスラムから賄うわけではないので、ちゃんとした知識のある人なども雇う。
そしてスラムの人達には、給金からその人達に家庭教師料をを払って読み書きや、しっかりした知識を授けてもらうように計らうと。
一応、既にそれらの流れに関してはセバスチャンさんが、ラクトスの代表であるソルダンさんと段取りを組んでいるんだとか。
さすがセバスチャンさん、仕事が早い。
また、外壁補修で雇う際にはこれらの事……読み書きを教わるや給金から支払うなどに関して同意する事としていて、払うお金もかなり安くして生活に困るようにはしないと。
読み書きができるようになる望みがあるうえ、真っ当なお金が得られるわけで、断る人はあまりいないだろうと、セバスチャンさんやアロシャイスさんが太鼓判を押していた。
……ニックもだな。
ニック曰く、読み書きを覚える機会が得られてしかもお金までもらえる……一応教師代は払うがそれ以上に入るから。
どうしようもない悪人もいるけど、抜け出せるなら抜け出したいと思う人も多いとニックが言っていた。
元スラムで暮らしていたニックだから、信用できるだろう……こういう場で嘘を吐くような奴じゃないしな。
ともかく、そうして雇った人達に関してだけどここからがティルラちゃんにとっての本題。
お金を手に入れても、家を持たない人達なので結局住む場所はスラムになる……宿を使う人もいるかもしれないけども。
それで、スラムに住むのならそこに家を建てればいい、というのがティルラちゃんの考え。
以前、ラーレと突撃した時の考えをパワーアップさせたわけだな、だから読み書き以外にも建築の知識などが得られる部分が必要だったのか。
今度は、それなりの家が建てられるようにさせるまで考えてあるみたいだ。
ただスラムでは、打ち捨てられた建物が多くあり、まずはそれの撤去から始まるだろうけど……そちらは ソルダンさんとも相談済み。
こちらでもスラムの人間を雇って、撤去しつつ新しい家を建てるように促すのだとか。
ソルダンさんにとっては、いつ崩れてもおかしくない建物や誰とも知らない人が住み付くよりは、ちゃんとした家に建て替えて住んでもらえば、街の治安から何からいい事ずくめだ。
まぁ、お金はかかるけど。
そうしてスラムの対処をした後、ここで孤児院の話に戻る。
拡張をする方向で考えられている孤児院、その増築なり新築なりをスラムで家を作った経験のある人たちにも、任せるってわけだ。
そうする事で、嫌われ者だったスラムの人達と街の人達との交流というか、溶け込む一助とするとともに、継続的なお金を得られるようにすると。
数カ月どころか、一年や二年……場合によってはもっとかかりそうな計画だけど、それぞれが終わる頃にはある程度の働き口も見つけられて、定期収入も得られる可能性も高い。
強引にスラムの人達をどうにかするのではなく、ゆっくりと問題の解消をさせていくいい案だと思う。
特に、排除ではなく受け入れる方向で考えられている部分が、ティルラちゃんらしさに感じられるな。
もちろん、セバスチャンさんやアロシャイスさんを始めとした、別邸の使用人さん達やニックからの意見が大きく影響しているとも思うけど。
「うむ……うむ……さすが我が孫だ! よくぞそこまで考えた!」
ティルラちゃんの意見発表を終えて、感動しているエルケリッヒさん。
大きめのタオルを渡されていたのに、それがいつの間にかじっとり濡れているようだ……感動し過ぎな気がしなくもない。
「ラーレで突撃した時は、どうなるかと思ったけど……ここまで考えられるようになっていたのね」
クレアも、ティルラちゃん一人じゃないけどだからこそ、ちゃんとセバスチャンさん達の意見を取り入れて考えている事に感心していた。
さっき、俺が心の中でしっかりしていると感心しているのと、似たようなものかもな。
兄のような俺と、血の繋がった姉から妹へ。
「ふむぅ……」
ただエッケンハルトさんだけは、難しい表情で考え込んでいる。
口元が緩みそうになっては引き締めているので、エルケリッヒさんのように感動したい気持ちもあるようだけど……まぁ、さっきの話、何も問題がないわけじゃないからな。
今のスラムが真っ当な方向に行きたい意見が多いとはいえ、そうじゃない人もいるわけで。
それこそ、根っからの悪人もいれば、お金が入ればすぐさま使ってしまうような人等々……。
多くの人を雇ったとしても、全てが計画通りに行くとは限らないしな。
もちろんそれは、セバスチャンさんも理解しているだろう……スラム出身だから、アロシャイスさん同様一筋縄でいかない事を知っているはず。
そしてエルケリッヒさんも、感動は間違いなくしているけど。
「ティルラ、確かに父上の言う通りその年からすれば見事な考えだ。近くにセバスチャンなど、頼りになる者がいた事も大きいだろうが、よくそこまで考えた。だが……全く問題がないわけではないぞ?」
「はい、それはわかっているつもりです……もちろんすぐに今話した事を実行するのではなく、問題点を考えるのは必要だと考えています」
エッケンハルトさんと正面から対峙して、はっきりと言うティルラちゃん。
話し始める前は、皆の前に出るだけでもかなり緊張していたのになぁ。
この年の子は、一つ経験する事で大きく成長するのかもしれない。
「そうか。であれば、私があれこれ言う事もあるまいな。ふぅむ……父上、どうされますか?」
頷いたエッケンハルトさんが、腕を組んで数秒ほど目を閉じて俯き、何かを考える。
そして顔を上げて問いかけた先は、エルケリッヒさんだ。
「決まっておる。ワシがティルラに付いていれば問題なかろう。久々にラクトスがどうなっているかも見ておきたいしな」
「そういえば、当主の座を私に丸投げしてからは、あまり領内を見て回っていませんでしたな」
「丸投げなどしておらんわ、まったく」
「えーと、え? 爺様? 父様?」
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