【大感謝!520万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第1310話 フェンリル達の要望について話しました
第1310話 フェンリル達の要望について話しました
「どうでしたか、タクミ様?」
「ライラさん」
走りながら、フェンリル達の要望などを聞いていた俺、さすがにいきなり全てのフェンリルから話を聞くのも長くなるので、半数の二十体程で一旦終わる。
気を付けて走っているレオに乗ったまま、健やかな寝息を立てるリーザを撫でながら癒されていると、リルルに乗ったライラさんが近付いて声を掛けられた。
「そうですね……ほとんどが現状、というかこれまでの屋敷での対応に満足していたみたいです」
フェンリル達と話した事を、ある程度まとめてライラさんに伝える。
大体は、食事が美味しく満足できる量が出る、撫でてくれるのが嬉しい、人を乗せて走るのは楽しい等々だ。
フェリーやフェン、リルルを除けば他のフェンリル達はまだ人と触れ合い始めたばかり。
まだ慣れない部分もお互いあるから、要望らしい要望はほとんどなかったと言っていいかな。
ランジ村に向かって走っているだけなので、暇潰しにちょうど良かったんだけど……こうしてフェンリル達の要望を聞いているのは俺の発案。
ちょっと曖昧なところもあって、フェンリル達に関しては世話なども含めて俺が受け持つべきか、クレアが受け持つべきかというのはまだはっきり決まっていない。
クレアやセバスチャンさん達からすれば、俺がフェンリル担当みたいに言われる事があるし、それでもいいんだけど……とにかく、これからの協力がある意味従業員に近いと考えて、今のうちに話しておこうと思ったからだ。
フェンリル達の管理に関して思う所があったからでもある……デウルゴを始めとした、従魔を都合よく利用しようとする奴らの話をしたからってものあるか。
今従魔に対する決まり事、その素案を一番豪奢な馬車内でクレアとユートさん達が話している。
自分だけ何もしないとか考えないのは違うと思った事と、人間だけで従魔に関して考えるだけじゃ本当にいい案が出るかな? と少し疑問に思ったから。
まぁ、人間と魔物、両方の意見を聞いても完璧な案を出してお互い満足いくなんて事は難しいんだろうけど、それでもな。
「一応、従業員みたいな感じなので……ちゃんと要望を聞いてあげたいんですよね」
「フェンリルにも意思があります。私達人間だけの都合を押し付けるだけでは、共存や協力をずっと続けていく事はできないでしょうから、タクミ様の考えは素晴らしいと私は思いますよ」
呟く俺の言葉を聞いて、ライラさんが微笑みかけてくれる。
そう言われると、自分の考えが認められているようで嬉しいし、自信になるな。
「ありがとうございます」
「ワフワフ~」
「レオ様も、タクミ様を称賛しているみたいですね」
「ワッフ!」
「ははは……」
お礼を言う俺に、レオからも嬉しそうな鳴き声。
レオはただ、皆いるのは楽しいというような事を言っていたんだけど、鳴き声からライラさんは少し勘違いしたみたいだ。
ただレオの方も、ライラさんの言葉に頷いて力強く鳴いていた……なんというか、正しく意味は通じ合っていないようなのに、噛みあっている会話というか。
まぁ、レオもライラさんも楽しそうだからいいんだけどな。
「あ、そうだライラさん」
「なんでしょう、タクミ様?」
フェンリル達の要望の中で、一つだけ重要そうなのがあったので今のうちに伝えておこうとライラさんに声を掛ける。
「フェンリル達、特に屋敷の外にいたフェンリルからなんですけど、やっぱり屋根というか雨が凌げる何かが欲しいようですね」
「そうですか……屋敷の裏庭や厩はともかく、外では木もまばらでフェンリルの体を雨から守れません」
「一部は、雨に濡れるのも楽しいと言っていたようですけど、やっぱり雨に濡れると冷えますから」
フェンリルは氷の魔法を得意とするらしく、冷気とかにも強いらしいとはフェンリル達自身から聞いた事。
でもそれでもやっぱり、体を冷やすのは良くないと思う……濡れるのが好きなフェンリルはともかく、あまり好まないのもいるのは確かだし、屋根があって寝泊まりできる場所を用意しておきたい。
用意さえしていれば、濡れるのが嫌なフェンリルは中で寝ればいいし、濡れてもいいフェンリルは外でと好きなように過ごせるだろう。
「ワゥ~……」
「そうだよな。レオもあまり濡れるのは好きじゃないもんな……川では泳ぐけど」
レオがライラさんと話す俺の言葉を聞いて、嫌がるように溜め息を漏らす。
以前、夜の雨が降る中ラクトスへと走ってもらった事はある。
あの時は珍しい事としてレオは楽しんでいた部分があるみたいだったけど、基本は雨嫌い。
川で泳ぐ以外では、風呂嫌いなのもあってか濡れるのが嫌いなのは昔からだ。
マルチーズの頃なんて、雨が降っているとわかったら散歩にすら行きたがらないくらいだったし……それでいて川で泳ぐのは好きというのも、どうなんだと思わなくもないが。
……川で泳ぐのは、こちらに来て大きくなってからだからかもしれない。
マルチーズだった以前では、川なんて入った事がないし泳いだ事もない……道端の用水路はあったけど、さすがにそこに入れるわけにもいかないからな。
「ランジ村に到着したら、フェンリル達が休める場所を作った方がいいかもしれません。できますかね?」
「ランジ村は、森が近くにはありますが周囲は広く土地はありますから、可能でしょう。さすがに、村の西は街道があるので作れないとは思いますが……」
畑を作るのもそうだけど、何も手を付けていない土地が周囲に広がっているから、場所という意味では何も問題ない。
街道が繋がる西の村入り口付近は、さすがに大量のフェンリルがいれば訪れる人が驚いたり、恐れたりしてしまいそうだからライラさんの言う通りダメだろうけど。
「なら、村の北……薬草畑を作る予定のさらに北はどうですか? フェンリル達なら、森に近い方が喜びそうです」
これまで森の中を駆け回っていたフェンリル達だから、森に近い方がいいという考えだ。
まぁ、森の方は一応少ないながらも魔物がいるはず……もしその魔物が森から出てきたり、近い場所に来た時のための防波堤、というのはフェンリル達に悪いかな?
とにかく見張りのようにもなってくれるだろう、とちょっとした算段もあったりする。
なんにせよ、その場所をフェンリル達が気に入るかどうかではあるけども――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます