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第1288話 ラクトス衛兵隊から祝辞が贈られました
第1288話 ラクトス衛兵隊から祝辞が贈られました
今後の予定もあるのでセバスチャンさんやエルミーネさん、クレアとの話しもそこそこに切り上げて、門の前で整列している衛兵さん達の前へ、セバスチャンさんに促されてクレアと共に向かう。
レオはリーザと一緒に、森へ向かうフェンリル達の見送りだ。
「お待ちしておりました、クレア様。タクミ様や他の方々も」
整列している衛兵さん達の中から一人、年齢を感じさせる男性が進み出て、敬礼をする。
セバスチャンさんからコッソリ教えられたけど、ラクトスの衛兵を取りまとめる隊長さんらしい。
代表のソルダンさんと同じく、ラクトスで偉い人ってところだろう。
隊長さんは中肉中背で初老の男性だが、目の奥は鋭く気迫を感じさせる人だ……エッケンハルトさんより、威圧感のようなものはない。
ただ、使い込まれた剣を腰から下げていて、歴戦の兵士感はあるな。
印象としては、質実剛健とか実直という言葉が似合いそうな人でもある。
「準備は整っていますか?」
「はっ。ここにいる者達以外は街中に散らばり、警戒とクレア様方が進む道を確保しております」
ラクトスへの出発前、俺とクレアがレオに乗って大名行列ならぬパレードらしき事をやるのが決った後、伝令を走らせていた。
手配したのはセバスチャンさんだけど。
いきなり大所帯で街中を横切るのはさすがに迷惑だし、人が込み合っていると進めないからな。
「そうですか、わかりました。相変わらず仕事が早いですな」
「いえいえ、セバスチャンさん程ではありませんよ」
どうやらセバスチャンさんとは既知のようで、お互い笑い合っている。
近くの公爵家の屋敷で執事長を務める人と、街の衛兵を束ねる公爵家直下の人なんだから、当然と言えば当然か。
「タクミ様とは、初めてお会いしますな。部下達がお世話になったようで……」
「あ、はい……」
セバスチャンさんとの会話もそこそこに、俺に会釈をしてお互いに挨拶を交わす。
部下達というのは多分、デウルゴやディームの事に関してだろう。
デウルゴはともかく、ディームには衛兵さん達も手を焼いていたようだから。
「クレア様、そしてタクミ様。この度はおめでとうございます」
「「「「おめでとうございます!」」」」
挨拶をした後、クレアと俺に向かって隊長さん、それから整列している衛兵さんが声を揃えつつ敬礼。
俺達に対しておめでとうというのは、付き合い始めたとかそういう事に対してだろう……さすがに、ランジ村に居住を移すからというわけではないと思う。
というか、屋敷の使用人さんもそうだったけど、この世界の人達は声を揃えるのが文化の一つなのだろうか?
統率されている感は出せるのか。
「ありがとう。そうして祝ってもらえると、嬉しいわ」
「ありがとうございます。ちょっと恥ずかしいけど、嬉しい事だね」
こちらからも祝辞に感謝を返し、クレアと笑い合う。
「お二人の仲睦まじい様子、私達も拝見させて頂きました。まことに喜ばしく、またおめでたいと……」
隊長さんが、さらに祝辞を重ねる……大体は、俺達に関して隊長さんだけでなく衛兵さん達皆が喜んでいる、といったような内容だな。。
馬車を降りてからの事、見られていたのか……そりゃ、門の前は開けていて遮るものはないんだから当然だけど。
さすがにちょっと恥ずかしさを感じ、クレアと顔を見合せて苦笑。
ただちょっと気になるのは、祝ってくれている内容が付き合うとかだけでなく、もう婚約から結婚まで決まっているような口ぶりだった。
考えていないわけではない、というのは今更だけど……何やら決定したように言われるのは面映ゆいというかなんというかだ。
とはいえ、訂正したり否定したりするのは、クレアが落ち込みそうだし盛り上がっている皆にも悪いので余計な事は言わないようにしておく。
……あながち、間違いでもないかもしれないからな。
「おっとそうでした。街に入る前に、クレア様……いえ、タクミ様に会いに来られたという方々がおります」
「俺にですか? あ、そうでした」
「アンナ達ね」
話が終わり、レオもフェンリル達を見送って俺達の所に来た頃、隊長さんから俺に会いにきた人達の事を切り出した。
すぐに思い出すのは、孤児院の人達の事。
孤児院院長のアンナさんが選んだ男女の雇用者を、ついでだからと一緒にランジ村に行く事になっていたんだ。
孤児院からの子供達もいるとは顔合わせの時に聞いていたから、それなら別で移動するより俺達と一緒に移動した方が安全だろうと。
馬車や馬を手配するのも含めて、費用がかかるからな。
他にも何人か、ラクトスの街からランジ村へ行く人は、これから合流する事になっている。
エメラダさんとかだ。
「お久しぶりです、クレア様、タクミ様。ほら、あなた達も」
衛兵さんに連れられてきたアンナさん。
ミリナちゃんと同じくらいの年頃の男性一人と、女性が二人。
それから、ティルラちゃんくらいの子供が四人だ。
「久しぶりね、アンナ」
「アンナさん、お久しぶりです。その子達が?」
そういえば、最近は孤児院に直接行っていなかったから、アンナさんと会うのも久しぶりか……。
なんて考えながらクレアに続いて挨拶し、子供達に目を向ける。
レオと一緒に遊んでいるのを見かけた事がある子達だな……十五歳以上と思われる人物が、一人増えているけど。
「はい。孤児院の中から、タクミ様達とランジ村に行く事を承諾してくれた子達です」
以前アンナさんと話した時、子供達に少し働いてもらって色々な事を学びながら、引き取るという話をした。
引き取ると言っても、養子としてとかではないが。
一人か二人いればいいかなと思っていたから、四人いてちょっと驚いた。
「あ、レオ様だ!」
「レオ様ー!」
「ワフワフ!」
アンナさんと一緒にいた子供達は、レオを見つけて全員でそちらへ駆け寄る。
レオは子供好きだから、尻尾を振って歓迎するように鳴いた。
無理強いしている様子もないし、元気で無邪気なのはいい事だな。
「これ、あなた達! タクミ様やクレア様の前ですよ!」
「ふふふ、構わないわ。ね、タクミさん?」
「うん。レオも喜んでいるみたいだし。――話をするくらいなら、こっちで済ませておけばいいですから」
「申し訳ございません、クレア様、タクミ様」
駆け出した子供達に注意するアンナさんだけど、クレアも俺も特に気にしていない。
子供達も久しぶりにレオに会えて嬉しいんだろうからな――。
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