第1052話 出発準備が完了しました
フェンリル達の散歩から数日、昼に使用人候補さん達や屋敷の使用人さん達を載せて、周辺を魔物がいないかの見回りも兼ねての散歩。
チタさんは当然ながら、屋敷の使用人さん達も結構喜んでいたようなので、習慣化しそうだ。
フェンリル達は、レオが見張って無茶な事をしないようにしてくれているけど、今のところ何かがあったわけじゃないので、大丈夫そうだと安心している。
使用人候補さん達は一部……ヴォルターさんを除いて、ほぼフェンリルへの恐怖心を払拭できたようで、今では楽しそうにしている。
ヴォルターさんは、フェンリルに乗るたびにしばらく塞ぎ込むのを繰り返していたので、無理しなくてもいいんじゃないかな?
と思ったんだけど、セバスチャンさんが色々と自分の事を考えるいい機会だと、フェンリルに乗せるよう押すのでそのまま乗ってもらっている。
毎度、一緒に乗る人が大変そうだったり、塞ぎ込んでて本当に自分の事を考えられるのか疑問ではあるけど……。
ちなみに俺は、ティルラちゃんと鍛錬をしたり、順調にゴムの備蓄を増やす作業に没頭していたりする……散歩にはリーザが毎回レオに乗って参加し、ティルラちゃんもラーレだけでなくレオに乗ったり、クレアが行ってくれたりしていた。
クレア、ソーイを大量購入できるかどうかの検討で、セバスチャンさん達と結構深刻そうに相談していたのに、大丈夫なのかな……?
その他、使用人候補の皆さんに雇う事が内定している、デリアさんやペータさんの事を教えたり、他にも面談であった人の事やリストを見てもらったりして過ごした。
まぁ、大半は雑談だったりするんだけど、それはともかく……俺がチェックしている、正式に雇う人に関しても一緒に考えてくれているので、少し肩の荷が下りた気がしていたり。
一人で全部考えるのって、結構大変だったんだなぁ……相談できるのもありがたい。
「そろそろ、使用人候補の皆から誰を選ぶのかも決めないとな……っと、よし。準備完了だ。レオ、リーザ、行こうか?」
「ワフ」
「はーい!」
ここ数日の事を考えながら、ラクトスに行く準備を終えて、レオやリーザに声をかける。
今日は、頼んでいた物などをもう一度確認し、正式に注文したりする日だから。
見積もりはほぼ済んでいたけど、実物を見ていない物も多いので、見られる物は見ておき、本当に注文するかどうかを判断する……話だけじゃ、場合によっては粗悪な物を掴まされるからな。
まぁ、とは言ってもクレアやセバスチャンさんがいてくれたし、頼んでいるのは信頼できる店や人達なので、悪い物を用意される事はないと思っている。
……公爵家が一緒にいる相手に、公爵領で商売している人がそんな浅はかな事をするとは思えないしな。
あとは、ハルトンさんのお店にも行って、スリッパの話もしないと……また屋敷まで来てもらうのは、手間だろうから。
「タクミ様、こちらはいつでも出られます」
玄関ホールに来ると、見送りの使用人さん達の他に、使用人候補の皆さんが街へ行く準備を終えて待ってくれていた。
声をかけてくれたのはキースさんで、他にもクレアとティルラちゃんもいる。
使用人候補さん達の中から、キースさんとアロシャイスさんにヴォルターさん、チタさんとシャロルさんが今回ラクトスへ同行する事になっている……あと、ライラさんもだな。
他の使用人候補の人達は、屋敷に残ってセバスチャンさんと一緒に勉強会。
なんでも、この屋敷に来てからの俺の行動などを伝えて、仕えるための方法論みたいなのを話し合うのだそうだ……俺、変な行動とかしていないよな?
貴族ではないけど、それなりの扱いをしなければいけないというか、主人が変わるのでそういう話し合いも必要なのだとか。
まぁ、確かに仕える相手が変われば、やる事だって変わったりもするか……貴族じゃないけど、薬草作りとかレオやフェンリル達とか、他ではない事がたくさんありそうだし。
「はい、ご苦労様です。えっと……ヴォルターさんは?」
「ヴォルターさんは、既に外で待たせております。……先に出さないと、動きそうにありませんでしたので」
「ははは……そうですか、わかりました」
キースさんに答え、この場にいないヴォルターさんの事を聞く。
本当はヴォルターさんも、勉強会とやらに参加したがったんだけど、外に出て経験をして来いというセバスチャンさんの言い付けで同行する事に。
今まで内にこもってばかりだったんだから、この機会に街の様子を見たり聞いたりするのも良い経験だろうと……まぁ、ヴォルターさんが出たがらない理由は、散歩のついでにフェンリル達に乗って行くからなんだが。
ともあれ、すでに外に出されているという事で、準備は終わっているようだ……今頃、屋敷の使用人さんに背中を押されて、フェンリル達の誰かに乗っているだろう。
「タクミさん、お待たせしました」
「リーザちゃん、楽しみですね!」
「そうだね、ティルラお姉ちゃん!」
「俺も今来たところだから、大丈夫だよ、クレア」
キースさんと話しているうちに、階段を降りて来るクレアとティルラちゃん。
クレアは俺と一緒に決める事があるため、同行するんだけど、ティルラちゃんは孤児院に行くのが目的だ……リーザもそうだけど、年齢の近い子供達と遊べるのを楽しみにしているんだろう。
孤児院からも人を雇う予定だから様子を見つつ、キースさん達使用人候補の人達にも見てもらうから、ついででもある。
なんだかんだで、ラクトスに行ってやる事が山積みだな……。
「タクミ様、薬草の方も準備が終わりました。フェリーに持たせてあります」
「ありがとうございます、ライラさん」
ラクトスに行くついでに、ニックが取りに来る前に薬草をカレスさんの店に卸すため、準備してあった物をフェリー達が持てるよう、ライラさんが用意してくれていた。
お礼を言いつつ、全ての準備が整った事を確認する。
「それじゃ、行きましょう」
「はい」
「畏まりました、お供させて頂きます」
俺が声をかけると、クレアが頷き、キースさんが礼をする。
「「「「「行ってらっしゃいませ、皆様!!」」」」」
「行って来ます」
「ワフー!」
相変わらずの、声を揃えた使用人さん達の見送りを受けて、レオと挨拶を返しつつ玄関を出る。
外では、怖がっているのにフェリーにしがみ付いているヴォルターさんと、フェンやリルルが待ってくれていた。
ラーレやコッカー達は、前回の騒動があるため今日はお留守番、シェリーは既にフェンの背中に乗っている――。
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