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第997話 使用人さん達からも何か言われたようでした
第997話 使用人さん達からも何か言われたようでした
「でも、クレア達は何を言っていたのか、なんとなくわかるけど……使用人さん達からはどう言われたんだろう?」
セバスチャンさんはともかく、使用人さん達は基本的に控えめでテイルラちゃんだけでなく、俺やクレアにも直接言う事はほぼない。
よっぽど心配していたからだろうけど、何を言われたのか気になって首を傾げた。
「その、もっと私達を頼って下さいと、何度も強く言われました。あと、頼りなくて申し訳ありませんって、泣いていたメイドもいます」
「なんとなく、その時の事が目に浮かぶようだけど……」
使用人さん達は、ティルラちゃんが誰にも相談せず行動を起こした事が、一番引っかかっていたんだろうな。
俺もライラさんから、何度か似たような事を言われた事があるので、すぐにその場面を想像できた。
「……気持ちは私もよくわかります」
「まぁ、あははは……」
思わずライラさんの方に視線をやると、短い溜め息を吐きながらジト目で返されてしまう。
苦笑して誤魔化し、ティルラちゃんに視線を戻しておこう。
不用意に触れると、色々と言われてしまいそうだ。
「ティルラちゃんは、どうして皆からそう言われたのか、わかるかい?」
「……姉様やセバスチャンからも言われましたけど、誰にも相談しなかったからだと」
改めて、ティルラちゃんに聞いてみると、クレア達が言った事を話す。
難しい表情になっているけど、叱られている時の事を思い出しているからだろう。
「そうだね。ティルラちゃんの周りには、いっぱい頼りになる人がいるんだ。クレアやセバスチャンさんだけじゃなくて、他にもね。俺は……ちょっと頼りないかもしれないけど」
メイド長さんも含めて、屋敷の使用人さん達は頼りになる人達ばかりだ。
そういう人達がいるおかげで、広い屋敷でもクレアやティルラちゃんだけでなく、俺やレオ、リーザも不自由なく暮らせているからな。
「そんな事はありません。タクミさんは取っても頼りになる人です!」
俺自身はあまり頼りになる人物になれているか、自信がなかったので少しおどけて言ったのに対し、否定してくれるティルラちゃん。
「そうかい? でも、ティルラちゃんからは今回、相談されなかったからなぁ……やっぱり、頼りにされてないんじゃないかなぁ……?」
「それは……でも、タクミさん達に迷惑が掛かってしまいますし……」
「ははは、ちょっと意地悪な事を言っちゃったかな。でも、そういう事なんだよ?」
また俯き加減になってしまったティルラちゃんに、笑いかけながら言う。
「……どういう事、ですか?」
「ティルラちゃんの周りには、相談できる相手がちゃんといるって事。俺だけじゃなくクレアやセバスチャンさん。ライラさんもいるし、他にもメイド長さんとか……」
年の近い子は、リーザくらいしかいないけど……一緒に誰かと相談するくらいはできたと思う。
「相談せず、ティルラちゃんが一人で行動した事で、皆は頼られない、不甲斐ないって思うかもしれないんだ」
「そんな事、私は思いませんよ?」
「ティルラちゃんがそう思わなくても、だね。不甲斐ないから、相談してくれない……って、ちょっと極端かもしれないけどね。でも多分、泣いていたメイドさんっていうのは、そう考えて自分を責めていたんじゃないかな?」
「……そうなのでしょうか」
泣いていた本人を見ていないから、絶対ではないけど……ティルラちゃんが言われた事から、そう考えていたんだろうと思う。
ティルラちゃん本人が思わなくても、というのはこの場合関係ない。
「誰かを頼る、誰かに相談するって言うのはとても大事なんだ。一人で考えていても、いい考えが浮かぶ事は……ない事はないけど、皆で考えた方がきっといい考えが出ると思うんだ」
「はい……私の考えは、あんまり良くなかったみたいです」
「俺は、考えその者は悪くないと思うけど。でも、その考えをどうしたら実現できるのか、不可能であればどうしたらいいのか……そういう事を一緒に考えるために、周りには色んな人がいるんだから」
使用人さんは、お世話をするのが本来の仕事なんだろうけど、そういった相談だってしていいはずだ。
というか、執事さんとか特に主人の仕事を手伝う以外にも、相談役にもなってくれるはず……俺の勝手な考えだけど。
何も自分一人で全て考えなきゃいけないわけじゃない。
クレアとか俺とか、よくセバスチャンさんに相談しているしなぁ。
まぁ、俺はこの世界に来るまで相談相手と言えば、レオくらいしかいなかったし誰かと相談というのも苦手な部類だったから、偉そうに何を言っているんだ……と思ったりしているけど。
今思えば、誰かに相談していれば、限界まで仕事づくめになる事はなかったのかもしれない。
「皆に相談……迷惑になったりしませんか?」
「少なくとも、俺は迷惑なんて思わないよ。真剣に考えての事なら、一緒に考える事だってできるからね。いい考えが浮かぶかは保証できないけど……むしろ、相談されずに今回のようにスラムに突撃される方が、迷惑になるかもしれないね?」
「もう、タクミさん……! それは姉様達にいっぱい言われました!」
「あはは、反省はしているみたいだし謝られたけど、一応言っておかないとと思ってね」
なんとなく、釘を刺しておく意味を込めて言っておかずにはいられなかった。
まぁ、ティルラちゃんを過剰に責めたいわけじゃないから、茶化すようになってしまったけど。
「ともかく、きっと他の人達も俺と同じように、ティルラちゃんから相談されても親身になってくれるだろうし、ちゃんと考えてくれるよ?――ですよね、ライラさん?」
「もちろんです。身の回りのお世話をする事が、私達メイドの仕事です。ですが、それだけではなくお世話させて頂いている方の考えを知り、お手を煩わせないのもお世話のうちですから」
ライラさんにも同意を求めると、俺が考えていた以上の答えが返ってきた。
そこまで行くと、仕事の範疇を越えそうな気がしたが……それだけの心構えをしていると考えておこう。
「まぁ、私もいずれティルラお嬢様の前で、泣いていたらしい者と同じ事になりそうではありますが……はぁ……」
「えっと……」
頬に手を当てて、困ったような表情で溜め息を吐くライラさん。
これ、いつももっと頼って欲しいとか、お世話させて……のような事を言っている俺に対してだよな?
確かに、慣れないのもあって必要以上に頼み事をしないようにはしているけど。
……俺も、ティルラちゃんと同じだった?
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