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第971話 ティルラちゃんの行き先がわかりました
第971話 ティルラちゃんの行き先がわかりました
「クレア、セバスチャンさん!」
「ワフ!」
「タクミさん、レオ様。リーザちゃんも!」
急いで支度を終え、クレア達のいるホールに到着。
すぐにヨハンナさんを含む護衛の兵士さんと話している、クレアとセバスチャンさんに呼びかける。
レオも少し焦っているのか、横で少し大きめに鳴いていた……屋敷内の慌てている雰囲気が伝わっているからかもしれない。
「クレアお姉ちゃん、おはようございます」
「はい、おはようリーザちゃん。――タクミさん、ティルラが……」
「ライラさんに聞きました。ラーレに乗ってどこかへ行ったって」
「さようでございます。ティルラお嬢様は行き先も伝えず、誰かを後ろに乗せるどころか、鞍も付けず……」
「鞍も……? よほど急いでいたのか……まぁ、ラーレならティルラちゃんを落としたりする事はなさそうですけど」
お行儀よく挨拶するリーザに応えた後、俺を見るクレア。
その表情は、不安でいっぱいなのか泣いているようにも見える……それだけ、ティルラちゃんの事を心配しているんだろう。
ライラさんに聞いた事を伝えると、セバスチャンさんから簡単に状況の説明。
鞍は飛んでいる時に乗っているティルラちゃんが落ちないよう、安定性のために作られた物だ。
初めてラーレに乗った時、無茶な動きをしてティルラちゃんが怖がったからでもあるが……それを付けないという事は、ラーレに乗るのに慣れているのと、急いでいたからだろう。
鞍を用意するにも、誰かに事情を話して取り付けないといけないってのもあるか。
ラーレは以前レオに叱られていたし、鞍を付けた後も無茶な飛び方をする事はなくなっているから、ティルラちゃんが落ちる事はないだろうけど。
「それに関しましては、ラーレを信じるしかありません。それと、ラーレが飛び去る前……裏庭にいたフェリー達とティルラお嬢様が話していたようなのです」
「フェリー達とティルラちゃんが?」
「シェリーが教えてくれたんです。昨日遊んだのが楽しかったのか、ティルラの所で一緒に寝ていたので……」
フェリー達とティルラちゃんが話すのは、何も不思議はないが……シェリーは昨日一緒に寝ていたのか。
まぁ、裏庭で遊んだ余韻で、離れるよりも一緒にいる方が楽しかったからだろうけど。
ともあれ、朝早く起きたティルラちゃんは、シェリーを連れて裏庭……ラーレの所へ行って、そこにいたフェリー達と何か話していたらしい。
「フェリー達が言うには、ティルラお嬢様は……」
シェリーがクレアに伝えた事らしいが、なんでもいつものように遊んだりはしゃぐティルラちゃんの様子とは違って、怒っているような……そんな雰囲気だったらしい。
そして、フェリー達には「姉様とタクミさん達を悩ませるのは許せません!」なんて言っていたとか。
「ティルラちゃんが、俺やクレアのために行動をした……と言うのはわかります。でも、それならどこに……俺やクレアが悩んでいた事って……?」
「それなのですが、昨日クレアお嬢様やタクミ様が頭を悩ませていたのは、ラクトスのスラムについてです」
「セバスチャンと話していたのですけど、ティルラはラクトスに向かったのではないかと……」
昨日は裏庭で遊んでいる時以外……特にニックへ薬草を渡す際に話を聞いたりもして、スラムの話をしてばかりだった。
まぁ、夕食後にレオを風呂に入れたのは別か。
でもあの話をしている時のティルラちゃんって……。
「ラクトス……スラムにですか。確かに、昨日はその話をよくしていましたけど……でも、俺やクレアが話している時、ティルラちゃんはレオやリーザと一緒に寝ていたような……?」
「パパ、ティルラお姉ちゃん寝てなかったよ? リーザはママと一緒にいるのが気持ち良くて、ぼんやりしていたんだけど」
「……そうなのか?」
「うん。ずっと下を向いていただけだと思う。あんまり覚えていないけど、ティルラお姉ちゃんが小さな声で、姉様やタクミさんって言ってたような気がするよ」
レオに寄りかかって、毛に包まれるようにしてリーザと一緒に寝ていると思っていたんだが、リーザが言うにはティルラちゃんは寝ていなかったらしい。
顔を俯けさせていたから、俺やクレアから見ると寝ているようにしか見えなかったのかもしれない。
気がすると言っているリーザだけど、隣でレオも頷いていたりするので確かな事だろう。
寝たフリをしていたというよりも、スラムの事を話しているのを聞いて、難しい話ながらも真剣に考えていたから俯いていたと考えた方が良さそうだ。
「あの話、聞いていたのね……リーザちゃん、他にティルラは何か言っていなかった?」
「うーん……わかんない。ごめんなさい」
「あ、いいのよリーザちゃん。気にしないで」
「……そういえば、昨日裏庭でレオ達と遊んでいた時、ティルラちゃんは少しおとなしかったかなと思うんだ」
「そうでしたか? 私は、枝を投げるのをタクミさんに教えてもらうのに精一杯で、わかりませんでしたけど……」
ティルラちゃんが何を考えていたのか、手掛かりを得るためにリーザへ聞くクレアだけど、これ以上の事はわからなさそうだ。
寝ていると思っていたのが、実は起きていた……というのは気付かなかったので、仕方ないと思うけど、他に何かあったかな……。
と考えたところで、スラムの話をした後クレアと一緒にレオ達と遊んでいた際の様子を思い出して、ふと気付いた。
クレアは、枝を遠くへ投げる事自体が初めてで一生懸命だったから、ティルラちゃんの様子に気付かなくても無理はないか。
「なんというか、いつもならもう少し積極的に自分から遊びに参加するような気がするんだ。気のせいと言われれば、それまでかもしれないけど……」
「ふむ、私も離れて様子を見守っておりましたが……確かにおとなしかったように思いますな。まぁ、言われてみれば、という程度ではありますが」
「ティルラちゃんなら、リーザと同じように枝を追いかけると言わないまでも、レオに乗りたいと言ってもおかしくないと思うんですよね」
「そういえば、レオ様に乗ろうとする事もなく……タクミさんがラーレに乗せるまで、おとなしく見守ってましたね……」
「いつものティルラちゃんなら、少なくとも自分で枝を投げてみたい……とか言ってもよかったかなと」
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