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第830話 セバスチャンさんと相談をしました
第830話 セバスチャンさんと相談をしました
ラクトスでと提案するセバスチャンさんに、街ではなく村を見たいと言う俺。
田舎暮らしに憧れ……というのでもないが、ランジ村で暮らす予定なのだから街中での暮らしよりも、村での暮らしを見た方が参考になるだろう。
もし、同じように街での暮らしに慣れ過ぎて、村での暮らしを全く知らない人を雇った際には、何か教えられる事があるかもしれない、というのは言い訳かもしれない――。
「ふむ、村ですか。ランジ村ではどうでしょう? 薬草畑を運営するのですから、そちらを見ながら慣れるという事もできそうです」
「ランジ村だと、俺の事を知っている人しかいませんからね……それだと、やっぱりちょっといつもと違うと思うんです。あと何よりも、知らない別の村を見てみたい、と思うんです」
俺の勝手な我が儘なんだろうけど、ランジ村とは別の村を見てみたいと考えている。
ランジ村はワイン造りをしている村だったが、他の村では別の事をしているはず……所変われば品も変わるわけで、地理的に近くであっても何かしら違う暮らしが見られるかもしれないから。
うーん……結局、人を雇うからとか話をするためというのを言い訳に、強引に好奇心を満たそうと考えていると言われてもおかしくないなぁ……。
「まぁ、知っている場所以外でと考えているんですけど、どこがいいのか……。すみません、我が儘を言っているようで、セバスチャンさんを困らせてしまっているかもしれません」
「いえ、困っているという程ではございませんよ。それに、そういった事を知りたい、見たいというのを私は良い事だと思っていますから」
俺の勝手な考えで知らない場所を見てみたいと、ラクトスだけでなくランジ村を否定してしまったので、困らせてしまったかもしれないと、セバスチャンさんに頭を下げて謝る。
だがセバスチャンさん自身は眉根を寄せて考えていながらも、気にしていない様子。
そういえば、知識を得る事に関してはセバスチャンさんはかなり肯定的だったっけか。
好奇心とかから来る事だとしても、知りたいと思う事をセバスチャンさんが否定したりはしないのかもな。
「そうですな……それでは、ブレイユ村はいかがでしょうか? あそこには先日お会いしたデリアさんがいます」
「デリアさんの村ですか……それは確かに良さそうですけど、知り合いがいたらランジ村と同じようになるのではないでしょうか?」
「そこは、デリアさんに前もって連絡をする事にしましょう。そうですな……デリアさんを雇う事に関しては、もう決められましたか?」
「はい。デリアさんを見てリーザも嬉しそうにしていましたし、勉強を教えるとしても、薬草畑の方で働いてもらうにしても、雇うつもりです。もちろん、デリアさんが希望する方でですけど」
ブレイユ村だと、デリアさんだけでなくニャックを売っていたカナートさんもいるから、ランジ村と同じようになるのでは? と思ったんだが、セバスチャンさんには何か考えがあるようだ。
雇う事に関しては、他の人よりも少し長めに話したのもあって、悪い人ではないし真面目に働いてくれるだろうから、既に決めている。
獣人という事も大きな理由だろうけど、リーザやレオも懐いていたようだしな……レオに対してかなり緊張した様子ではあったけど、それはこの先慣れてくれればと思う。
でも、前もって連絡をしておく事と雇う事は何か関係があるのだろうか?
「タクミ様のお心が決まっておられるのでしたら、直接伝えるという事にするのはどうでしょうか? リーザ様の教育役になるのか、薬草畑の方で働かのかを相談するため、とも付け加えましょう」
「まぁ、デリアさんに会いに行く名目としては、それでいいんでしょうけど……それでも結局、村の人たちに公爵家と拘わりがあると知られて、変に歓迎されてしまうんじゃないですか?」
俺が見たいのは、普通の村の暮らしだからなぁ。
歓迎してくれるのはありがたいし、嬉しくも思うけど……肩肘張らずにいつもの生活している場面を見たい。
結局歓迎されてしまったら、ランジ村程ではないにしても、近い扱いを受けていたら希望通りにはなりそうにない……まぁ、別の村を見たいというだけなら、それでいいんだけど。
「デリアさんに連絡をした際に、付け加えれば良いのですよ。タクミ様が村を訪ねるにあたり、身分を他の村の者へ明かさないように、と。あぁ、ニャックを売っていた者にも、そう伝えるように加えねばなりませんな」
「成る程……デリアさんとカナートさんは、俺がクレアと一緒にいたりレオといるのを知っていますけど、村の人たちに教えないように頼むわけですね。それなら、確かにただの旅人として村に行けそうです」
「ただ、デリアさんと話していると、関係を怪しまれる可能性もありますなぁ……ふむ……」
「関係って……でもまぁ、確かにそうですね」
村の人達に教えないよう、デリアさんに頼んでいるのにこちらが親しそうに話しかけては、どこで仲良くなったのかとか、色々と詮索される元になりそうだ。
それこそ、邪推する人がいれば男女の仲と勘違いされてしまうかも……とまでは考えすぎかもしれないが、それでバレたりしたらせっかくデリアさんにお願いしているのに、無駄になってしまうからな。
「では、ラクトスの街で偶然出会って……例の、捕まえた盗人を利用させてもらいましょうか」
「盗人……あぁ、デリアさんが捕まえた泥棒ですね」
ラクトスの街中を歩いている時に、お店の物を奪って逃げようとしていた男の事だな。
デリアさんが飛び出して捕まえていた。
「えぇ。あの盗人から助けたのがデリアさんで、タクミ様はその時助けられた側という事にすれば、知り合いというのも不自然ではありません。あと、ニャックをラクトスで買って食べ、気に入ったので直接作っている場所を見に来た、と言えば村の方達の心象も良くなるでしょう」
「そうですね……カナートさんにもそれで話を合わせてもらえば、上手くいきそうです。ただ、嘘を吐く事になりますけど……」
デリアさんが助けたのは、物を盗まれたお店の店主さんで、俺を直接助けたわけではない。
さすがに、村の人達を騙すような事はしたくないんだけど……と思ってセバスチャンさんに躊躇するように言うと、何やらニヤリと悪い顔をされてしまった――。
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