【大感謝!510万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第704話 屋敷に向かって出発しました
第704話 屋敷に向かって出発しました
「クレアお嬢様、タクミ様、レオ様も、道中お気をつけて……」
「えぇ。ありがとう」
「はい、ありがとうございます」
「ワフ!」
ハンネスさんと、薬草畑の運営に関して話し合って数日……エッケンハルトさん達が出立してから二日後、屋敷へと戻るためランジ村の入り口でハンネスさんと挨拶。
クレアやレオも、ハンネスさんに挨拶だ。
村の人総出で見送ってくれているので、ハンネスさんも含めて頭を下げておく。
「キューン……クゥーン……」
「キャゥ、キュゥキュゥ」
クレアの足元にいるシェリーに、鼻先を押し付けるようにしながら寂しそうに鳴くマルチーズは、お別れという事がわかっているみたいだ、賢いな。
シェリーの方もマルチーズの鳴き声に応えて、励ますように鳴きながら頬を摺り寄せている。
初めての直接対面後、なぜかシェリーにやたらと懐いたマルチーズは、この二日間はずっとベッタリくっ付いていた。
シェリーが、レオやティルラちゃんに混じって遊ぼう(穴掘り)とすると、一緒にくっ付いてきたために穴に落ちてしまい、レオやシェリーに救出されるなんて事もあったっけ。
胸元までとはいえ、リーザがすっぽり入るくらいの深さだし、小型犬なうえ、まだ成長途中のマルチーズには抜け出せないからな。
ちなみにレオは、マルチーズがまた落ちてしまわないように気を付けつつ、ずっと穴を掘り続けていた……掘った穴はその日のうちに埋めるんだが、薬草畑にする場所でレオが掘っていない場所ってないんじゃないかな? というくらいだった。
昨日の夜には、何かをやり遂げたような達成感を漂わせつつ、誇らし気な様子だったので寝る前に撫でて褒めてあげると尻尾をブンブン振っていたので、レオにとっても今回村へ来たのはいい経験になったようだ。
「シェリー、行きましょうか?」
「キュゥ……キャゥ!」
「クゥーン……ワン!」
「キャウ! キャウ!」
馬車に乗り込む前に、クレアが呼びかけるとシェリーとマルチーズが別れの挨拶のように、お互い吠える。
別れを惜しみながらも、絶対また来るから! と言っているような気がするな……多分。
一瞬だけ頭の中に、村に寄った旅人が村の娘と恋に落ちた後、再び旅に出る別れの瞬間がよぎったが、シェリーは雌だから性別がおかしいか、しかも人間ではなくフェンリルと犬だしな。
ここまで仲良くなるとは思わなかったなぁ……他の犬はレオの方にばかり懐いていたのに。
まぁ、薬草畑が開始されたらクレアと一緒にこの村に来る事になるんだから、また会えるだろう。
「それでは、出立致します!」
「ワウー!」
「ラーレ、皆から離れないようにして飛ぶのです!」
「キィー!」
馬車の前にいる馬に乗った護衛さんが声を張り上げると同時、御者台に座ったセバスチャンさんが馬車を曳く馬を走らせる。
レオが俺とリーザを乗せて走り始め、ラーレがティルラちゃんを乗せて空を飛ぶ。
ちなみにラーレには今、ティルラちゃんしか乗っていないが、馬車の集団と離れなければ問題ないとの判断だ、村でもそうだったけど、何度も人を乗せて飛んで危ない事がないと確認されたからな。
さらに数日後、ようやくラクトスと屋敷の間くらいまで来れた。
夜は野営をしているが、テントを張って寝ているので、快適……とまでは言えないまでも、少人数で野宿するよりはしっかり休めた。
ライラさんが腕によりをかけて料理をしてくれたのも、良かったんだと思う。
俺がハンバーガーを作った日の事が影響しているのか、やたらとクレアが野営している周辺を歩き回ったりしていたのは、セバスチャンさんと顔を見合わせて困ってしまったが……ダイエットのつもりだったんだろうなぁ。
二人で説得しても納得してくれなかったからなぁ……場所によっては森が近くて魔物が出る危険もあるため、護衛が必要だから、歩き回るとヨハンナさんが疲れてしまう。
当のヨハンナさんは、そんなクレアを見るのが楽しいらしく、喜んでついて回っていたんだけど、ラクトス付近まで来た頃には誰が見てもあわかるくらい、疲労が色濃く顔に出ていた。
仕方なく、諦めかけた説得を再開し、最終的に俺が今でも十分クレアは痩せていて、むしろもう少し食べた方がいいかもしれない……と逆に失礼とも取れる呟きを聞いてくれて、動き回る事はなくなった。
一時的な事だろうけど、ヨハンナさんがゆっくり休める状況になって良かった……屋敷に戻ったら、すぐにでもニャックを使った料理をヘレーナさんと考えないとな。
「ん……?」
「ワフ?」
「どうしたの、パパ、ママ?」
「いや、向こうに何か見覚えのある姿が見えるな―と……」
「ワウ」
もうすぐ屋敷に到着というところで、門の前に見覚えがあるような影が遠目に確認できる。
薄暗くなってきているし、まだ遠いからはっきりとは確認できないけど……大きさからして間違いない気がする。
俺とレオが気付き、一緒に乗っているリーザが首を傾げて問いかけるのに答えながら、目を凝らして門を見た。
アオォォォォォォン――!
ガオォォォォォォン――!
ワオォォォォォォン――!
門の前にいる影から、大きな遠吠えが発せられた……びりびりと響くようで、レオやラーレはともかく、護衛さんと馬は驚いて止まってしまった、馬車も同様だ。
「タクミ様、あれは……?」
「多分、威嚇するような意図はないと思います。というより、歓迎しているのかも? まぁ、レオがそう言っているんですけど……」
「そうですか。しかし、あれはやはり?」
「でしょうね。人間にしてはフォルムが違いますし、遠くから見ても大きい事がわかりますから……レオ?」
「ワウ」
遠吠えにより、驚いた馬を落ち着かせたセバスチャンさんに、御者台から声をかけられた。
チラッとレオやリーザに聞いたけど、歓迎の遠吠えであって威嚇する意味はないらしい。
とはいっても、いきなりびりびりと体に響く大きな声で遠吠えをされたら、向こうにそんな意図はなくともこちらは警戒してしまうのは無理もないだろう。
せめて、こちらに向けてではなく、空に向けてだったらよかったのに……ラーレに直撃しそうだけど。
なんにせよ、こちらにレオがいる事がわかっていて、そのために遠吠えしたんだろうな――。
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