【大感謝!520万PV突破!】異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】
第82話 原因はやはりギフトのようでした
第82話 原因はやはりギフトのようでした
「私は、タクミ様が『雑草栽培』を使う場面を何度か見て来ました。ですが、フェンリルの怪我を治す薬草の時だけおかしな様子があったのです」
「おかしな様子?」
何かあったっけ?
「ええ、タクミ様はいつものように地面に手を付き、『雑草栽培』を使いました。その時、いつもはそんな事は起こっていなかったのに、タクミ様と地面の間で光が発生しておりました」
「光……そういえば確かにあの時光っていました」
「そして、薬草をフェンリルに近付けた時も、光が発生していたのです」
「そう……ですね」
確かにあの時、光ってたな……俺は魔法のある世界だから、魔法的な薬草でそのせいかなとか気楽に考えてたけど……。
「タクミ様の作ったあの薬草は、形がロエに似ていましたが、ロエは光を出したりはしません」
形はロエを想像しながらだったから似ていたのかもしれないな。
でも、ロエは致命傷以外を一瞬で治す薬草だって聞いた。
イメージだと、薬草や患部が光って、それが納まった時に治ってるものだと思ってた。
そんな魔法的な効果を想像してたんだけどなぁ。
「そしてもう一つ、タクミ様が倒れられた後、フェンリルの方も元気を無くしました」
「フェンリルが?」
「キャゥ?」
セバスチャンさんの言葉に、俺がフェンリルを見ても、当のフェンリルは何?とでも言うように首を傾げている。
とても元気を無くしたとは思えない表情だ。
「今は普通にしておりますが、あの後フェンリルは、森で最初に見た時のようにぐったりして動かなくなったのです」
「そんな事が……」
「幸い怪我の方は治っていたので、1日で元気を取り戻しました。私はそのフェンリルの様子を見て仮説を立てました」
「仮説……どんな事ですか?」
「タクミ様の作った薬草は、フェンリルの怪我を完全に治す物ではなく、治したような状態を維持させて、体力を回復、その後治癒が完全に行われるのではないかと」
「維持……」
「そうです。その維持をされてる間、タクミ様からはギフトに関する力が常に使われ、帰って来てここで寛がれてる時、限界が来たのではないかと」
つまり、俺がフェンリルの怪我を治すために栽培した薬草は、とりあえず怪我を治したような状態にさせる。
そして、その間に体力の回復をして怪我を治す助けにすると……。
その間、俺が作った薬草は効果を発揮し続けるが、その薬草だって無限の力があるわけじゃない。
俺からギフトの力を使って薬草の効果を持続させて、それでフェンリルを治し続けてたって事……なのか?
あの時、フェンリルに近付けた薬草は光が収まった時には消えていた、もしかしてフェンリルの中に入って効果を発揮し続けていたのかもしれない。
確かにこれなら、セバスチャンさんの言った持続時間が長かったせいで俺が倒れた、そして時間差で屋敷に帰って来た時に倒れた説明もつく。
「タクミ様、一応私が調べた中で原因を考えるならという仮説です。先にも言ったように、確証はありません」
「いえ、セバスチャンさんの言ってる事が正しいと思います。何となくですが、そんな気がします」
まぁ、気がするだけなんだけどな。
ギフトを持ってるからなのかわからないが、セバスチャンさんの言ってる事が単なる仮説や想像で、的外れな事を言ってるのではなく、正しい事を言ってるという感覚がある気がする。
何となく、というしかないような感覚なので、信じていいかどうかはまだわからないが、他に説明できる要素もないんだ、とりあえずセバスチャンさんの説の通りだと考えておこう。
「タクミさん、セバスチャンの言う事が正しかったとしたら、しばらく『雑草栽培』の使用を控えた方が良いのでは?」
今まで黙ってセバスチャンさんと俺の話を聞いていたクレアさんから心配そうな声が上がる。
そういえば、俺とセバスチャンさん話してる間、皆静かだったなぁ。
レオも、クレアさんも、ライラさんも、ゲルダさんも途中で話を邪魔しないよう真剣に聞いていたようだ。
ティルラちゃんとフェンリルはほとんど首を傾げてただけだけどな。
難しい話しだったからな、仕方ない。
「クレアさん、心配はありがたいです。ですが、俺は『雑草栽培』は色んな事の役に立てると考えてるんです」
「タクミさんがまた倒れられたりしたら……」
「大丈夫ですよ。さっきの説が正しいのなら、持続性のある物を栽培しなければいいんです。そこさえ気を付けていればそうそう倒れる事も無いでしょう。実際、この屋敷の裏庭で色々研究しようと使ってた時はなんとも無かったんですから」
「……わかりました。ですが、決して無理はしてはいけませんよ? タクミさんが倒れて心配をするのはレオ様だけじゃないんですから」
クレアさんの言葉に、セバスチャンさん、ライラさん、ゲルダさん、もちろんレオも、それからティルラちゃんやフェンリルさえも頷いてる。
皆優しくてありがたい事だなぁ。
「皆さん、ありがとうございます。決して無理をしません」
「約束ですよ?」
「はい」
俺は心配してくれた皆に頭を下げ礼を言う。
その後クレアさんと無理をしない事を約束した。
以前の仕事だと、無理してでもやれが当たり前だったからなぁ、ここの皆はホワイトだな。
まぁ、会社じゃないけどな。
「そういえばタクミさん」
「はい?」
クレアさんから何かを思い出したように声を掛けられた。
「話の途中でタクミさんが倒れられたので、聞きそびれましたが……『雑草栽培』の事をお聞き出来ればと」
「あぁ、そうですね」
話そうとしたら倒れたからな、隠そうとしてたり引き延ばそうとしたりしてるわけじゃないが、結局話さずに時間だけが経ってしまってるな。
ちょうどここには俺のギフトを知ってる人が集まってるから、話すにもちょうどいいだろう。
「まぁ、そんなに難しい事じゃないんですけどね。ええと、きっかけは最初に『雑草栽培』を試した時です。あの時、一つだけどういった物かわからない植物を栽培する事が出来たんです。確かクレアさんやセバスチャンさんにも見せたと思いますが」
「そうでしたな。確かに私共も見た事の無い植物が出来ておりました」
興味があるのか、セバスチャンさんがクレアさんより先に答えた。
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