troops

たいやき

troops

とある軍隊が夜、繁華街を行進していた。


一人はギター。またある一人はサックス。そのまたある一人はアコーディオンをその手に持っていた。


彼らは夜が明けるまで演奏をしながら行進した。どこか哀愁を含んだ、

楽しげな歌だった。

誰も何も聞こえていないようだった。それでも彼らは演奏を続けた。


ある女性は言った。


「なんだか寒いわね。」


「大丈夫かい?…。」


彼氏らしき人はそう答え、軍隊のことなど気にもせず彼女の手をそっと握った。


それでも彼らは演奏を続けた。とても楽しそうに。


ある人は言った。


「なんだか背中がゾクゾクするぞ。誰かにつけられたりしているのだろうか。」


しかし、その人は自分は仕事のし過ぎだと勝手に自分に言い聞かし、軍隊には目も向けず真っ直ぐに、家族の待つ我が家へと帰路を急いだ。


それでも彼らは演奏を続けた。時折、笑い声を混じらせながら。


いつの間にかその街に雪が降り始めていた。

通りゆく人々は憂鬱な気分で空を見上げた。


それでも彼らは街頭に光の中で歩を進め、演奏を続けた。愛を歌いながら。楽しげに笑いながら。


先ほどまで何も聞こえていないように装っていた人々はいつの間にか軽くステップを踏んでいた。内から湧き上がる何かに背中を押された。


笑う軍隊が進んだあとに、足跡は無かった。


しかし何故だろうか。通りゆく人々は皆、笑う軍隊の後ろで


踊り、笑っていた。







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troops たいやき @taiyaki05

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