佐藤小夜の視点3
部屋の中は荒れていた。なんだかオレンジ色の染みが、畳の上に広がっている。気味が悪かったが、そんな場合ではないと、歩を進めた。何故か?目の前に、パソコンがあったからだ。
『先にこのメモを読め 田中』
走り書きのようなメモがそこには落ちている。
『このパソコンには、この世界のことが書いてある。但し、閲覧した場合、この世界から脱することができるかもしれない。それでも良ければ、閲覧してくれ』
私は吸い寄せられるようにそのパソコンに飛びついた。ただ呆然と、ただ、服従するように。
デスクトップには、ただ一文が光っている。
『後ろのタンスの二段目右』
私はごくり唾を飲み込んで、振り返る。暗闇に立つそのタンスは昔絵本で見たぬりかべのようだった。
恐る恐るタンスへ近寄る。今にも割れそうなガラス窓を開くように慎重に、ギギ、と開く。ノートの端が見えた。
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