空の青さを知る人よ


 あらすじーーーー


相生あいおい あおい」は姉「相生あいおい あかね」とともに田舎町で暮らす高校二年生。ひとりでベースギターを引き続ける毎日を過ごす一方、地元の市役所で働くあかねが13年前に両親を事故で亡くし、自分を育てるために自分の好きなことを犠牲にしていると気にかけていた。あかねはかつての恋人「金室かなむろ 慎之介しんのすけ」と高校を卒業を期に一緒に上京する約束をしていたのだ。


 そんなある日、いつものようにかつて慎之介がバンド練習をしていた山小屋でベース練習をしていたあおいの前に突然、13年前と同じ姿をした慎之介が目の前に現れた。驚いたあおいは急いで家に逃げ帰る。冷静になって考えたあおいはあれは幽霊なのではと疑う。そんな中、町お越しのためにやってきた演歌歌手「新渡戸にとべ 団吉だんきち」のバックミュージシャンとして31歳の慎之介が帰って来るのだった。



 この作品は「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」や「心が叫びたがってるんだ」等で有名なアニメ制作チーム「超平和バスターズ」によって制作された10月11日から公開されている青春アニメ映画です。今作は前二作と合わせた埼玉県秩父市を舞台モデルとした青春三部作だそうです。


 ちょっと気になっていたので、観てきました。率直な感想としては素直に面白かったです。冒頭にあおいが奏でる腹に響くベース音は映画館だけの特権ですね。この冒頭のベースギターから13年前の山小屋でのバンド練習をあかねに連れられて見に来ている幼い頃のあおいと「しんの」と呼ばれていた慎之介との交流を自然に描き、突然高校二年生のあおいの前に同じ場所に現れるしんのとのシーンを印象づけてます。


 作品全体を観て思ったのは、夢を持っていても大人社会に入るとままならずに諦めてしまっていた自分と慎之介を重ねてちょっと切なくなった事と、様々な青春の形ですね。大人なりの恋愛とまだ諦めてはいない青春の形。ままならずに叫びたくて切ない初恋とまだ始まったばかりの青春の形。憧れ。目標。家族。言葉で現すのは難しいですね。人それぞれの形や色が見えてくると思います。個人の意見なのでもしかしたら何も感じないと言う人もいるかも知れません。

 大人になって観るのと、学生時代に観るのとでは感じる世界はまた違うと思います。この作品を学生さんが観ているとしたらそれは素晴らしい経験かも知れません。大人になってまた違う目線で観れる可能性があるのですから。「あいみょん」さんの楽曲も素晴らしいのでエンドロールは最後まで観るのをおすすめします。


 キャスト陣も素晴らしかったです。主人公 慎之介=しんのを演じた「吉沢よしざわ りょう」さんは今作が本格的なアニメ声優初挑戦ですが、それを感じさせないくらい自然に演じてました。本作の舞台のとある場所は「仮面ライダーメテオ」に初めて変身した思い出の場所だそうですので「仮面ライダーフォーゼ」のファンは探してみるのも楽しいかも知れません。

 あかね役の「吉岡よしおか 里帆りほ」さんは正直、PVを観た時は不安だったのですが、本編を観るとほんわかとした声がキャラに合ってて自然とリンクしていきました。不安なんてなにも感じる必要はなかったです。

 新渡戸 団吉役の「松平まつだいら けん」さんもどこか腹立つ演歌歌手を見事に演じてました。さすが舞台にも立つ大御所俳優さんですね。

 あおい役で元子役の「若山わかやま 詩音しおん」さんはもの凄くうまいなと思ったのですが、どうやら本作の収録以降本格的に声優さんに転向されたそうです。どうりでうまい筈ですね。現在は「Dr.STONE」や「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」等のアニメ作品でご活躍されてるそうです。ちなみに、あおいはベースを弾けますが若山さんもベースを弾けるそうで、オーディション時は話さず収録時にスタッフに弾ける事を伝え驚かれたそうです。




 おすすめとして紹介しましたが、空の青さを知る人よを観た方の感想も聞いてみたいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る