君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部
この作品は2019年1月29日に新潮社nexから発売された「響け! ユーフォニアム」シリーズの作者でもある「武田 綾乃」先生の青春部活小説シリーズの第二弾です。
*修学旅行中の響け!ユーフォニアムの主人公「
僕がこの作品に出会ったのは、友人達と本屋に行った時です。なんとなく青春物語が読みたいなと思い探していると、カヌーを漕ぐ女の子の表紙が目に止まり手に取りました。プロローグをパラ見してから直感で購入することにしました。家に帰り第1章 「そして春が始まる」まで読もうと思ったのですが、気付けば第五章「 その夢はノンフィクション」まで読み進めていました。直感は正しかった。僕はこの青春物語が好きだと確信しました。
あらすじーーーー
両親の離婚で父方の故郷である寄居町に引っ越してきた高校一年生の
第一章は主人公のひとり「
舞奈は自転車の速度をぐんと上げて頬打つ心地よい風を感じながらガードレール越しの美しい荒川を見下ろし、川の流れに逆らうように遠くを見ると、真っ白な小舟が飛沫と共に飛び出してくるのを目撃するのでした。その上にはひとりの少女の姿。白い流線形の小舟を一心不乱に操る彼女に好奇心が抑えきれず、漕ぐのを止めた少女に大きく叫ぶのでした。
好奇心旺盛な舞奈はもうひとりの主人公「
舞奈は背の高いモデルさんのようなすらりとした美少女の恵梨香とおしゃべりをしました。同い年で同じ高校に通う事を知り、すぐに友達になります。色々おしゃべりをしていくうちに、ながとろ高校にカヌー部がある事と、恵梨香がカヌー部に入っているわけでは無いことを知り、カヌーに興味を持った舞奈は恵梨香を誘い一緒にカヌー部に入る事を決めたのでした。
カヌー部では二年生の二人の先輩。如何にも優等生という感じの怖そうな部長「
実は先輩達にはとある二人の間の深刻な事情があります。この希衣と千帆の事情と関係が一巻のキモのひとつだったりします。
「ながとろ高校カヌー部」は全員が主役なので、もちろん希衣と千帆の先輩二人も主人公です(違っていたらすみません)ちなみに、希衣と千帆の紹介の部分は舞奈から見た第一印象です。念のため。
君と漕ぐの魅力は美しい水の表現と丁寧に描かれた試合描写。素人にもわかりやすいカヌー競技の解説。カヌーの基礎練習風景。田舎の変わった風習。様々な人間模様。そして、美味しそうなご飯です。
作中では夕飯のたっぷりと汁に漬かった煮魚や、学生らしいコンビニでの買い食い、お店で食べるお蕎麦や、ケーキ等食事のシーンが多いですが、君と漕ぐといえばこれという象徴的な食べ物があります。それは、
【サバサンド】
その名の通り焼きサバをレモン果汁とマスタード、サニーレタスや玉ねぎ等と一緒にパンに挟んだサンドイッチ料理。実際にトルコにある料理だそうです。
作中に登場する喫茶せせらぎの人気メニューで、せせらぎのマスター
舞奈も「サンドイッチにサバ……」と思いますが食べてみて意外と合う事に驚きます。
最初僕もサンドイッチにサバは違和感を持ちましたが実際に作って食べると美味しい。パンとサバは結構合うと新しい発見ができました(カクヨムで再現料理シリーズを短編で書いている隅田 天美さんも実際に再現してくれました。この方のお母さんのご実家が偶然にもモデルになった町だそうです)
ライバルキャラもサバサンドを食べて気に入ったりしますから、これから作中で重要な料理になりそうです。
「君と漕ぐ」はまだ始まったばかりの新しい作品です。カヌー初心者の舞奈はまだ試合に出れないし、恵梨香だってカヌー部の仲間と絆を深めたばかり、希衣と千帆の先輩二人もこれから強く前へと漕ぎ出して行きます。ながとろ高校カヌー部の輝く青春はまだまだこれからです。
今月発売の二巻「君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部と強敵たち」でも、彼女達は新しい輝きを魅せてくれるでしょう。眩しい青春の飛沫にこれからも期待します。
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