観光、美食の街①
「さーて、エルちゃん、何喰いますか?」
「おいしいものー!」
「そりゃ、美味しいものだけど、何にするかって話ですよ」
クーマと俺も列車を降りて駅のホームを出ることに。
時間は少し昼を回ったくらい、これならまだ急ぐこともないか。
ただ、昼飯に何か食べたいところだが。
「お、駅前でフィッシュアンドチップス売ってるっす」
「なにそれー?」
「白身魚のフライとポテトの揚げた物ですよ」
「おさかな! エル、おさかな食べたことない!」
「お、なら、昼飯はあれにするっす、清孝さん」
「ふむ、いいだろう」
駅前でフィッシュアンドチップスの屋台がやっていた。
イギリス料理だったよな俺の世界では、聞いたことある。
イギリスの飯は不味いとも、だが、俺は不味い料理を紹介しろとは言っていない。
決して不味くはないはずだ。しばらく並び、俺の番が来たので4つ買ってやる。
「一緒に渡された塩か酢をかけて食うんすよ、うん、おいしっすねー」
「おう、白身魚は味が淡泊なとこあっから、揚げると丁度いいぜ」
「サクサクとサクサクだねー、おいしー」
「そりゃ、揚げ物に揚げ物だからな、うん、悪くないな」
悪くないな、こいつらの舌が信頼出来るという証拠にもなった。
しかし、ヤミーは内陸なのに魚料理が売ってるとは食に力を入れているのも間違いではないようだ、業務用で更に冷凍保存できる空間魔法水晶はべらぼうに高い。
一企業でも上場の所じゃないとそうそう帰る代物じゃない、この街にその上場の輸送会社なりがあるのだろう。
「清孝さん、次は何喰いますか?」
「フィッシュアンドチップスで足りたっすか?」
「エル、もっと食べたーい」
「俺はあれでもよかったが、エルがまだ食べたいようだ」
「よっしゃ、なら俺の好物のある店に連れてってやるよ」
「クーマ、あそこのアレ好きっすね、俺もそこでいっすよ」
そういって、クーマの案内で連れてかれたのは一つのお店、入ってみれば小綺麗な物で、店主の几帳面さが伺える、適当な4人が座れるテーブル席に腰かける。
「俺はもう決まってるんで、好きな物えらんじゃってください」
「ふむ……ムニエルがあるな、それとウランサラダでいいか」
「クーマお兄さん何頼むの?」
「俺はチリコンカンだぜ」
「私もそれにするー」
「あ、俺はウランサラダとピザにするっすかね」
そんな感じに注文をしてやる、チリコンカンか俺の世界だと辛い料理だったが。
多分、この世界でもそうなのだろうな、この世界の名称は向こうの世界と酷似どころか一致してるものばかりだ。案の定、食べ始めたエルは。
「にゃ~、これ辛い~」
「この辛さがいいんだよ、これ食わなきゃヤミーに帰ってきたって感じがしないぜ」
「エルちゃん、俺のピザと交換するっすか?」
「うう~、大丈夫、辛いけど美味いから」
「だろだろ、清孝さんムニエルはどっすか?」
「ああ、美味いぞ」
辛さにひーこら言いながら食べていたが、どうやら美味しいようだ。
少し覗いてみるが、見た目はほぼチリコンカンだが、その中にはインゲン豆も入っている……これ使って味噌作れねーかなぁ、同じ豆だしいけないか? いや専門的知識の無い俺が作ろうとしても豆を無駄にするだけか。
そんな感想を頭で思い浮かべながらも俺はムニエルを堪能する、ここ最近、肉かパンだったから魚が美味い。
「ふぅ~、次は何喰いに行きますかね?」
「エル、まだまだ食べれるよー」
「食いしん坊っすね、エルちゃんは、辛いの食べたし甘いのっすかね」
「甘いの! エル甘いの大好き!」
「なら次は俺が案内するっす、行きましょう清孝さん」
「会計をしたらな、先外出てな」
「「ゴチになりまーす!!」」
「まーす!」
次はハッチの案内で甘い物を食べに行く事に、ちなみに会計は基本的に俺が全部
やっている、案内してくれたその報酬みたいなものだ。次に来たのは奥まった路地にある喫茶店、ラジオが流れており、よく聞けばそれは依然聞いた西遊記であった。
全員で席に着けば、エルとハッチは西遊記が好きなのかその談義を始める。
「あ、さいゆーきが流れてる!」
「お、西遊記、エルちゃんも聞いてるっすか、俺もなんすよ」
「ゴクーが強いんだよ、分身の術で、ぶわわーって増えるの」
「俺はハッカイが好きっすねー、豚の顔して、真面目な所とか」
「ハッカイさんもいい人だよねー」
「くっちゃべってねぇで注文決まったかハッチ、エルの嬢ちゃん?」
「あ、俺はシフォンケーキ」
「エルはアップルパイかー、新しいデザートか、うーん」
「俺はアップルパイ、それとコーヒーも」
「決めた! エルはシフォンケーキにする」
「あいよ、すんませーん、シフォンケーキ2つとアップルパイ、あとコーヒー2つ
クーマは甘いのは好きじゃないのかデザートは何も頼まなかった。
しばらく横でやっている、西遊記談義を聞きながらだらだらと待っていれば。
運ばれてくるシフォンケーキとアップルパイ。
「おお~、柔らかい、このけーき、口で溶けちゃうよ」
「だからシフォンっすからねー、かー、やっぱ甘いのは最高っす」
「そんないかつい金髪しといて甘党とはだれも思わんだろうな」
「見た目がなんだろうと、好きなもん食うのは悪い事じゃないっすよ」
「その通りだ、このアップルパイ美味いな、コーヒーは……何か違うが美味いな」
ウランさんの所のアップルパイと同じくらいにはここのも美味いがコーヒーはなんだろう、何か違う気がした、だが不味くはないな。クーマに聞いてみれば。
ここ等辺のコーヒーの豆は帝都とはまた違うからじゃないだろうかと言われた。
食べ終わり店を出る、その後も色んな所を見て回り、更に食べたりしていれば時間はあっという間に過ぎ去っていき。
「あー食った食った、もう後は夕飯しか入らねぇ」
「あれだけ食べてまだ入るのか」
「エルもエルもー今日の夕飯何にするー?」
「その前にそろそろ宿を取らないと野宿だ」
「あ、そんじゃ、俺の家泊まっていきません?」
「いいのか?」
「いいすよ俺の家ここらじゃ有名な商家なんすよ」
ハッチの家はヤミーの街の食材の運送を手掛ける商家らしい、それもかなり上場のおまえの家だったか。
切り盛りしてるのは父親とその娘さん、ハッチの姉さんだそうだ。
宿代がかからないのに越したことはない、そうさせてもらおう。
「んじゃ、また夕飯になったら、お前の家に行くわ」
「おう、今日の夕飯どうするよ、一緒に食うの?」
「ああ、デンの所にしようぜ、あの料理は清孝さん驚くだろうし」
「おっけい、デンちゃんの所ね、っじゃ、清孝さんこっちっす」
こうして俺はハッチの家に連れてってもらう事になったのだった。
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