第11話 気遣い

俺が起きた時、外はまだ真っ暗だった。

スマホで時間を確認する

約束の1時間前だ


通知が1件。織田さんからメールが来ていた


「起きてる?僕はフロントで待ってるね」

早いな織田さん。と思いながら掛け布団をめくった


俺の腕の下にもう1本腕があった。

一瞬、声を上げかけたがすぐ理解した、

サヤが後ろから抱きついていた。

そっと腕をどかし、再び掛け布団を被せる


俺は手早く用意をして、静かに部屋を出た。





私が目を覚ますと、昨日抱きついたはずのハルがいなかった、しばらく、ぼーっとしているとハルが帰ってきた。それも汗だくで


ハル、おはよ、どうしたのそんなに汗だくで


「あぁ、なんか早く起きちゃって下行ったら、なんか従業員さん達がラジオ体操してたから混じってきた」


私が聞くと笑いながらそう答えた


そっか、シャワー浴びてきなよ


「 うん、そうする。」

ハルはバスタオルとか着替えを持ってシャワーに行った。



ドライヤーの音が止み、ハルが出てきた。

私はハルに勢いよく飛びつく


シャンプーのいい匂いがする

「どうした、最近よく甘えてるけど」

いいじゃんー、そういう時期なの

「そっか」


ハルが、足を持ち抱っこしてくれた

首に手を回し、下からハルにキスをする


「なんだ、恥ずかしくなくなったからか?最近キスも多い」


私は小さい声でばーかと言いながら、ハルから離れた


お腹すいたし、早く着替えて朝ごはん行こっか


上着を脱ぎ、ハルを見ながらそう言った


「そうだな、あと向こうで着替えてくれ」


私はハルのその言葉を無視して、

ねぇそこの服とってー

と返した


「ったく、これか?」


うんそれー!着せて


「はぁ?子供か?着れんだろ」


いいじゃんー、こんな機会あんまりないんだからさー


「はいはいー、ほら上向いて」





俺らは朝ごはんを済ませ、部屋に戻り手早く身支度をして、部屋を出て、フロントに降りた


チェックアウトを済ませ、サーキットへ向かう


サヤは暑いからか、今日は手を繋いでこない


まぁいいか、繋ぎたいなら繋ぐだろ





私はあえて、手を繋がなかった、サーキットだし、人目についちゃうし、ハルのファンに刺されたくないし



二人の間はいつもより少し広く、よそよそしかった

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