第90話*

 あなたはこの決着を最後まで見届けると決意を語る。

「はあ。頑固だね。まあ、いいさ。じゃあ、折角なので協力してもらうよ」

 彼はあなたの側にやって来る。強烈なニンニク臭があなたの鼻を打った。顔をしかめるあなたに彼がニヤっと笑う。


「仕事の前にはニンニクマシマシだよ。確か、君の国にはそういう飲食店がたくさんあるのだろう? 君の国に吸血鬼が少ないのはそういうことさ」

 あっけに取られるあなたに彼はウインクをする。


「さて、膠着状態のようだが、時間は私たちの味方だ。あと、しばらくすれば夜が明ける。そうすれば太陽が出て、あいつは灰になっておしまいだ。今日の日の出の予定時刻はあと1時間。珍しく朝から晴れるそうだ。おっと」

 吸血鬼はどこから取り出したのか細身の剣を構えていた。


「しかし、あと1時間もこうしちゃいられないな。仕方が無いがこれを使わせてもらおう」

 彼はポケットに手を突っ込むと何やらごごそごそやっていた。彼はそれをあなたに放り投げる。あなたがそれを受け取ると彼は言った。

「俺が指示したら、そいつのボタンを押すんだ」


⇒第99話に進む

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890936118

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