第6話 嫁ちゃん

※プライバシー保護のため嫁ちゃんのことは「嫁ちゃん」と表記しております。



昭和な父は威張りたい。

平成な弟になんやかんやと注文をつける。


「何? 盆と暮れは嫁の実家に行くだと!? けしからん、まずは夫婦でウチの墓参りをし、俺に挨拶に来てから行け!!」


嫁ちゃんの名を呼び捨てである……そう、弟と私の前では。



・一年目の盆

父「いやぁ~暑いとこ墓の掃除までやってもらってありがとね! 助かった~ホントにありがとねぇ……よ…嫁ちゃん(ちょっとどもる)。おい、お前冷蔵庫から麦茶持ってこいよ! あとガリガリ君!」

私「はいはい」



・その年の暮れ

父「ちょっと散歩行ってくる」

私「え、1時くらいに夫婦で挨拶に来るって言ってなかったっけ? もう12時40分だよ?」

父「大丈夫だ。1時『くらい』だろ。まだ来ねぇよ」

……そして父は2時過ぎまで帰ってこなかった。時間通りに来た弟がブチギレていた。



・二年目の盆

父「ちょっと散歩行ってくる」

私「(なんか嫌な予感)今日って弟と嫁ちゃん来るんじゃなかった? 時間は聞いてないけど…」

父「ん、まだ来ねぇよ」

……10分もしないうちに弟夫婦到着。深いため息をつく弟。

弟「ちゃんとこの時間に来るって昨日お父さんに電話で言ったんだけどな…あの人、時間の感覚おかしいんだよな…」

私「ああ…嫁ちゃん、ごめんなさいね…」

嫁ちゃん「い、いえ…」





まあ時間の感覚が狂ってる人だけど、強がってるわりにシャイで人見知りだから、嫁ちゃんとどう接したらいいかわからなくて照れて逃げているんじゃないかと最近思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る