【プリスタ】メインストーリー

@primas_1

第1話 かけだしプリンセス





午前7時。

ピピピピ、ピピピピ、と目覚まし時計が静かな部屋に鳴り響いた。



「……ん、んん……」



うなされるように目覚めた。手探りで目覚まし時計を見つけ、上から抑えつけアラーム音を止めた。


目をうっすらと開けると、ぼやけている視界に眩しい朝日がカーテンの隙間から見えた。更に視界をぼかされ、一度ぎゅっと目を瞑り、寝転がったまま伸びをした。


「ふぅ」と息を吐き、ベッドから出るともう一度伸びをする。



「ねむ……。んー……今日もがっこ…………あっ!!!!!!」



部屋に画鋲で留めてあるカレンダーに目をつけた。

今日の日付は4月24日。そこには『祝 初レッスン❗』と書かれてあった。



「初レッスンだ!」



そう叫ぶと、彼女は急いで家の階段を駆け下りた。






初瀬川もなか。16歳の高校1年生。



ーーーーーずっと憧れていたアイドルになった少女だ。







もなかは階段を駆け下りリビングへ向かうと、母親は朝ご飯を作っており、父親はテレビ前のソファへ足を組んで座り新聞を読んでいた。



「あら、おはようもなか。今日はすんなり起きられたのね」


「おお、いつもはギリギリまで起きてこないのに、珍しいこともあるもんだな」



父と母が珍しそうにそう言ってきた。確かにもなかは朝に弱く、いつもはすっきりと起きる事ができない。あと5分を何度も繰り返し、最終的に遅刻ギリギリまで寝ている人間だ。



「う、うるさいなーっ!…ふっふっふー。だって今日は初レッスンの日なんだも〜んっ!学校の後に、レッスン…!!あぁ!なんかすっごいアイドルっぽい!」


「……ああ。お前、アイドルになったんだったな」


「もーっ!そんな大事なこと忘れないでよ!」


「ごめんごめん」


「まったくもー…」


すぐにからかってくる父親にもなかが呆れて頬を膨らましていると、母親が朝ご飯を食卓に並べながら、



「ほら、そろそろご飯も出来たから座ってね」



と声をかけてくれた。



「「はーい」」



父ともなかの返事が重なり、もかなは少しもどかしい気持ちになった。二人はいつもの食卓へ並んで座ると、もなかは"あるもの"に目を星にして興奮した。



「わ!わあ!!!!すごい!トーストにティアラが書いてある!!」



もなかの前には、こんがり焼けた食パンに食用の色ペンで可愛らしいティアラが描かれているトーストがあった。



「ふふっ。びっくりした?もなかの所属しているプロダクション、プリンセスがモチーフなんでしょ?だから張り切っちゃった♪」


「さっすがお母さん!!!わ〜〜…食べるのがもったいないよぉ〜……!!!」



別に母親がイラスト関係の仕事に就いているわけではないのだが、もなかの母親は何かと絵が上手い。



「あ、あれ、お父さんは…?ティアラないの?」


「あるわけないじゃない」



父が寂しそうに尋ねると母がきっぱりと否定した。父は少し悲しそうだった。





7時50分、お母さんの作ってくれたトーストも食べて、学校へ行く準備も万端になった。



「いってきまーす!!」



もなかが玄関からリビングにいる母親と父親へ聞こえるように大きく挨拶すると、母親が何かを握ってもなかのもとまで駆け寄ってきた。



「どうしたの?」



もなかがそう聞くと、もなかの掌に何かが乗った。



「これ、つけときなさい」


「これは……ヘアピン?」



母親がもなかの掌に乗せてきたものは、赤いヘアピンだった。



「お守りの効果があるらしいわよ。…やっと夢が叶い始めているんだから、大切にしなさいね」


「お母さん…!ありがとう!!!私、頑張るね!!」



もなかがそう言いながら、早速横の前髪に貰ったヘアピンを付けてみた。



「ええ。…よく似合ってるわ。それ、お父さんが選んでくれたのよ。情熱の赤だ!これにしよう!って」


「あはは!お父さんらしいね。…おとうさーん!!ヘアピンありがとーっ!!!」



もなかが大声で叫ぶと、「おー!頑張るんだぞーー!!」という返事が帰ってきた。もなかは嬉しそうに微笑んだ。



「じゃあ、いってきます!」


「ええ、行ってらっしゃい」




挨拶を交わすと、もなかは家のドアを開けていつもの学校へと駆け出した。

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