あとがき
小説を書き始めた処女作が「恋する歴女」なのですが、これは山本とコトリがバーで突然再会し、歴史ムックを重ねながら、コトリの告白、山本のプロポーズに至るお話です。
メインは歴史ムックだったのですが、背景として書いていた山本とコトリの恋の方が話としておもしろいとなったので、プロポーズ後の後日談編として書いたのが「天使と女神」です。
こちらの方はささいな行き違いから別れてしまった山本とコトリから始まります。そこに山本と過去を持つシオリが現れ、さらにユッキーが現れ・・・ラブ・ロマンスというか全編ラブ・バトルみたいなお話です。
鮨屋のエピソードで現れるリンドウと水橋は「リンドウ先輩」の主役です。設定はコトリの一学年上の野球部のお話で、廃部寸前の野球部がリンドウの活躍により奇跡の快進撃を起す高校野球ドラマです。
この作品は「恋する歴女」「リンドウ先輩」「天使と女神」を受けた作品になります。設定的には「天使と女神」をコトリの勤める会社から見たサイド・ストーリーになります。
不思議な能力を持つ設定は「天使と女神」のユッキーに行い、ユッキーの予言が「天使と女神」の後半の話のキーになりますが、コトリにもそういう能力を持たせる構想がありました。
ところが実際に盛り込むと長過ぎてあきらめ、独立編として書いたのがこの作品になります。
コトリが不思議な能力を持っているというアイデアは気に入っていたのですが、問題はそれをどう活かしてお話を展開していくかです。ここが本作最大の難関でした。正直なところ、今回は無理とあきらめかけていた時期もあったのですが、なんとか着想を得てゴールまで到着したってところでしょうか。
突破口になったのはヒロインのシノブです。これも毎度毎度のことですが、当初構想では完全な傍観者としてナレーター的な役割にするつもりだったのですが、それではどうしても話は進まず、広がらず、膨らまずの状態になってしまいました。
そこで、シノブに事件に関わってもらうことにしたのですが、これが成功で、シノブが関わる事で話が広がってくれました。そしていつものようにヒロインになってしまったというところです。最初からヒロインを決め打ちしていた前作とは違うので、キャラ設定に甘いところは残りましたが、これはこれでお気に入りになっています。
今回の設定で案外苦労したのは会社です。私は会社勤めをしたことがありませんし、近しい人にも殆どおらず、どうにもイメージがつかめないってところです。肩書も今回初めて調べて、こんな風になってるんだと感心したぐらいです。
年齢と出世の関係、肩書が持つ社内でのイメージ、さらには肩書の給与なんてのも手探り状態で往生しました。シノブは総務部勤務の設定にしましたが、そもそも総務部ってなにをするところから始まる始末です。ただ、調べると業種と会社によってかなりの差があるようで、かなりの幅をもって書いても必ずしも荒唐無稽にはならないみたいだったので、誤魔化しながら書いています。
このシリーズは延々と続くのですが、この作品から読んで頂いても十分に楽しめると思います。
天使のコトリ Yosyan @Yosyan
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