短文
冠楽A
夏
夏の花は向日葵の形をしている。空に透かしたような色模様で、花弁を1枚ちぎると雲が溶けて浅葱に変わる。さらにそれはくすんで、黒く萎れる。くしゃくしゃに枯れた花弁に火をつければ、線香花火のようにぱちぱちと音を立て燃え尽きていく。
花の中に小さな雲が泳いでいる。
夜の花火は薄く雲がかかった明るい昼がよく合う。点火すると、ひゅぅぅと音をたててパッと夜空が花開く。これは流れ星入り、こっちは月光。空に咲いた暗闇は光に溶けて消えていく。
朝顔畑の中で秘密の冠を作ってあなたにあげたいな。
お気に入りのカップに鬼灯のティーバッグを入れる。お湯を注いでしばらく待てば夕暮れの出来上がり。
この手に溢れんばかりの透明な宝石たちもきっと夏の瀬に消えてしまうのだから。ほら、帰ろう。
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