烏の求婚

たいやき

烏の求婚

ある所にそれはそれは綺麗な1羽の雌カラスがいた。名前はミヤビ。


見るもの全てを惑わせるような美貌を持ったカラスだった。


あまりの美しさに誰も想いを伝えようともしなかった。


そんな中、勇気ある2羽のカラスが求婚を申し出た。


2羽はミヤビの前に立ちそれぞれ求婚のダンス、歌を披露した。観客は大勢いた。誰もが憧れたミヤビの婿が今夜決定するのだ。この辺りのカラスは一斉に集まりその場を見守っていた。そして最後に贈り物と共にプロポーズをすることになった。


1羽はどこかからか盗んできた物だろうか、その手に宝石が埋め込まれた煌びやかなネックレスを掲げ、プロポーズの言葉を言い放った。


もう1羽のカラスは、そこらへんで拾ったもので手作りしたのだろう、ドングリ

やら松ぼっくりやらを繋げただけのネックレスを持ちながらプロポーズの言葉を言い放った。


観客の誰もがミヤビの婿が決まったと思ったが、誰も何も言わなかった。


煌びやかなネックレスを持ったカラスは勝ちを確信し、心の中で勝利の雄叫びを叫んだ。


「やった。勝ったぞ!これで彼女は僕のものになり、二人で永遠に幸せに暮らせるんだ!」


ミヤビはゆっくりと2羽の方に近づき、ある1羽の目の前で立ち止まった。観客の全員が待ち望んだ瞬間だった。


選ばれたのは手作りのネックレスを持った方のカラスだった。

観客の誰もがその結果に納得した。

最後に彼女はその麗しい嘴を開けこう言い放った。


「私、キラキラしたやつは苦手なの。」

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烏の求婚 たいやき @taiyaki05

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