第2話 反射の男 フーレン

 田舎の村では継がせる畑がないって、村から追い出された。

 僅かな荷物と少々の金、それと貧相な槍だけ持たされて。


 大金を稼ぐなら王都しかないと、学のない頭で考えて。

 少ない金を節約しながら王都まで来た。


 身元の保証もないからハンターになって、魔物を倒して金に変えるしかない。

 だからハンターギルドで登録した。


 登録する時に透明な丸い物、後で知ったが水晶と言うらしい。

 その水晶の玉に手を乗せて自分の能力を確認してもらう。

 ここでいい能力があったら、中上級のチームに勧誘されるかもしれない。

 そしたら楽に下級から抜け出せる。


 そんな考えが悪かったのか、俺には能力が何もなかった。

 親指より少し広くした板を受け取りポケットに入れる。

 失意のまま、折れた槍の代わりを買いに行く。

 短くなった穂先だけで、魔物に勝てるとは思えない。


 下を向いて歩いていて、これじゃ店の看板を見てないから歩くだけ無駄じゃないかと立ち止まる。

 ため息と一緒に、この重い気分も出ていってくれないかな。


 下を向いてても始まらない。

 それにもう、金も殆どないんだ。

 ナイフでもいいから、何か武器を買わないと。

 気を取り直して歩き始めた瞬間。

 全身に力が漲ってきた。


 何度も手を握ったり開いたりして確認してみる。

 手を凝視していると、頭の中に文字が浮かんできた。


 なんだ?何がどうなってる!?

 少しして、イメージの文字が頭の中から消えた。

 なんだったんだ……


 何度か貯めしているうちに、文字と一緒に声が聞こえてきた。

 毎日聞いてたんだ間違いない、これは自分の声だ。

 イメージの文字が消えると、頭の中の声も消える。

 つまりこの声は、文字を読んでいると予想。

 声の内容を確認すると。


 反射。

 強奪。

 鑑定。

 収納。

 武術。

 魔法。


 となっている。

 理由は分からないが。さっきの力が漲ってくる感覚は、俺の能力が覚醒したからに違いない。

こうしちゃ居られない。

早速、街から出て。魔法の種類と威力を試しに行こう。

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