Music Parade

月村 縁(つきむら ゆかり)

チューニング

第零音目「音を失った日」

紳士淑女の皆様、ごきげんよう。

小さな夜会へようこそおいで下さいました。

あらまぁ、奥様方もじっとこちらを見つめて、何も出ませんよ?ふふっ。落ち着いて下さい。


これから皆様方にはパラレルワールドの中の音楽がしょうもない理由で消滅する世界の話をしましょうか。


聞いていてくださいよ、旦那もそんなにそわそわしないで大人しくして聞いてください。


20××年、時代が大きく革新していく、その中でも《三大革新》というのがありまして

1つ目は《インターネット》、

2つ目は《教育》、

3つ目に《音楽》、

というような具合で人間の生活には必要不可欠な物が変わり、《巫山戯た時代》と後に呼ばれた。


インターネットは貧民街の人々や砂漠のど真ん中に住んでいる人等、人種、格差に関わらず人類は無償でスマートフォンを手にした。


この革新で怒り狂ったのは《某 白い犬の会社》や、《某 三太郎会社》などというスマートフォンに関する仕事をしていた者たちだった。

失業者も増えた。


教育は、世界共通で《小~大学生》までを義務教育で受けるという、国によっては大赤字の決定をした。


これでいくつかの小さな国は近くの大きく財源がある国に吸収された。


最後に音楽。これが人類の失敗の一番の理由だ。

まず、音楽を教育から外した。つまり、吹奏楽部や軽音楽部などの部活も廃止された。ということになる。


そして、世界規模で音楽という存在自体を消した。

20××年8月30日午後2時33分、人間の記憶から抹消された。


そこからは簡単だった。

人間の魂が抜けたも同じ、音のない世界が完成した。


これらを提案した《旧》世界政府機関は大いに喜び、そして悲しんだ。


悲しんだというのは、存在がなくなった瞬間に後悔した。


音楽は死んだ。

人類は希望を切り殺してしまったと、

そこで、世界は今ある全ての技術を

注ぎ込んで、


「Music Parade」


という人間を元に作られた、

もう亡くなってしまった音楽家を元にした、

AI的な感じの

「人間だが、人間では無い」者を

作り始めた。


そう、これがこの物語の始まりである。


そう言えば、私の名前を

言っていませんでしたね。


私の名前は、音井響おとい ひびき

ただのしがない研究者です。

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