二十九曲目(〜四十三曲目):米津玄師『STRAY SHEEP』

 前回の更新から一ヶ月以上の間が空いていると知って、軽く絶望しております……(笑)

 このエッセイ自体自己満足で書いている部分が大きいので、そこまで気を張らずとも良いとはわかっているのですが、どうしても気になってしまいますね。

 さて、前置きはここまでにしておいて。

 米津さんのニューアルバム『STRAY SHEEP』が発表されて、約二週間が経ちました。今作もやはりあちらこちらのランキングで一位をとったり、記録を塗り替えたりと、大スターの貫禄を放っておりますね。

 今回は、こちらのアルバムを『一つの作品』として通して聞いた感想を、まずは各曲ごと、そして全体的な印象の二つに分けて綴っていこうかと思います。

 まあ、各曲の感想はそこまで繋がりがないのですが……それはご愛嬌です(笑)

 かなり長くなるかとは思いますが、お付き合いくださいませ。

 では早速参りましょう。




1.カムパネルラ


 こちらはニューアルバム発売の前日にPVが公開された、今作のオープニングナンバーですね。

 従来の作品でここに収まるナンバーは、基本的にアップテンポで明るい曲でした。『diorama』の『街』も『YANKEE』の『リビングデッド・ユース』も『Bremen』の『アンビリーバーズ』も『BOOTLEG』の『飛燕』も……程度の差こそあれ、とても明るい、始まりにふさわしい楽曲だったと思います。

 しかし今回は、とにかく荘厳な響きが目立ちます。キラキラとしたSEも大量に散りばめられていて、どこか宗教的な雰囲気さえも。

 タイトルにあるカムパネルラの音も入っているのでしょうか? この辺りはきちんと調べていないのでわかりませんが、それらしい音も聞こえてきます。

 そして合わせて思ったのは、どこか『diorama』の頃を思わせる作風だということ。

 ギターもかなり歪んでいますし、ドラムも良い暴れっぷりです。リズムも癖になるような独特なもの(素人考えですが、ファンクに影響を受けていますかね)で、いわゆるポップソングとはかなり遠い質感の曲だと思うのです。

 唯一荘厳な雰囲気というのが相違点ともいえますが、それ以外の部分ではかなり似通っていると思います。

 どっしりとした重低音が鳴り続けていて、インパクトも十分。これもまたアルバムの始まりにはちょうど良い楽曲ですね。

 個人的に好きなポイントは、ラスサビ手前で珍しく絞り出すようながなり声を挙げているところと、最後の終わり方です。特に最後は、チャイムだけの圧倒的に軽い音が、歌詞も相まって「全て消え去った」という印象を持たせてきて、少し切ない気分になりました。


2.Flamingo


 衝撃的な新曲に続くのは、一昨年の秋に両A面シングルで発表されたうちの一曲です。

 こちらはカムパネルラとは打って変わって、かなりだらしない雰囲気が全面に現れた楽曲ですね。宴会で酔い潰れた中年のような印象があります(笑)

 個人的にこの楽曲は、カムパネルラ同様初めて聞いた時から『diorama』の雰囲気を感じていたのですが、こうやって並べて聞くと割と『Bremen』以降の方が近いんですよね。かなりポップで聴きやすい部類です。

 とはいえ、ヨレヨレのギターサウンドだったり頻繁に挟まれるボイスだったりは結構初期の実験的な雰囲気に近いので、『diorama』に近いというのもあながち間違いではないのでしょうか……。

 リズムはなんとなく音頭のような独特なもので、ヨレヨレのギターと絡まると酩酊感を醸し出していて良いです。これに関してはどこかでインタビュー記事に書いてあったような気がしましたが……ごめんなさい、探すの諦めました(笑)

 サビに入るタイミングで管楽器がなるのも、どこか泥臭い、というより古臭いですかね、そんな雰囲気を漂わせていて、なかなか面白いです。

 個人的にはベースの音が気持ちよくて好きです。

 あとは、ラスサビ前のチャイム音の音程が情けなく下がっていくのも良いですね。千鳥足で歩いている酔っ払いがだらしなく倒れ込んでいる姿が目に浮かびます(笑)

 一曲目からの雰囲気の落差が面白く、とても楽しい曲です。


3.感電


 こちらもまたどこかレトロな雰囲気を全体に纏った曲です。個人的な印象としては「カムパネルラとFlamingoを足して二で割ったような曲」ですね。

 この曲でもやはりSEが多用されているのですが、こちらはMVに合わせたのか遊園地のような雰囲気のものが多いです。遊園地というよりかは、ゲームでしょうか。前奏の部分で某イカのアクションシューティングゲームで聞いたことのあるようなSEがあって、思わず笑ってしまいました。

 そしてこれまたリズムの癖が強いです(笑)とてつもなく掴みづらいリズムで、とても面白いです。

 歌詞の雰囲気はFlamingoに似ていますね。と言っても、Flamingoの方が飲んだくれの中年だとすると、こちらは学生が夜の街を冒険しているような力強さがあります。情けなさのようなものはほとんどありませんね。

 個人的に好きなポイントは、Bメロ部分で聞こえる「フュー」という空気が抜けるような音が入っているところと、ラスサビ前の崩れたドラムですね。特に後者はフリージャズを想起させて、かなり癖になります。この部分はなんとなく路地裏に迷い込んで不安に駆られているようなイメージが浮かびますね。そういう意味でもとても面白いです。

 

4.PLASCEBO


 こちらもこのアルバムで初めて公開された新曲です。野田洋次郎さんとのコラボ曲ですね。

 こちらはかなりポップよりで、ふんわりとしたイントロののち微妙に電子音楽のような音を挟んでからは、これぞシティーポップといったサウンドが続きます。

 全体的に「ハイカラな夜の街」という言葉が似合う曲ですね。

 歌詞は王道のラブソングといった印象を受けますね。山下達郎さんが歌っていてもおかしくないような感じです。

 ここ数年、シティーポップのリバイバルブームがありましたから、少なからず影響を受けているのでしょうか?

 曲展開としてはかなり平坦で、起伏と言える起伏はほとんどないですね。ラスサビ前でかなり溜めるのですが、そこでドカンとインパクトのあるラスサビがくるというわけでもなく、ずっとしっとりとした雰囲気のサウンドが続きます。

 個人的に好きなポイントとしては、最後の終わり方です。若干余韻があるのが、なんだか未練があるような雰囲気を醸し出していて面白いですね。

 あと、これは少し失礼かもしれませんが……野田さんの声は経験を積んだ熟練のホスト、米津さんの声は歓楽街に不慣れな若者、という印象ができました(笑)いや本当に、すみません(笑)


5.パプリカ


 こちらは米津さんがFoorinに提供した楽曲のセルフカバーですね。私はこのアルバムで初めて聴きました。

 イントロがかなりトリップした雰囲気で、失礼ですが「ドラッグキメてるみたい」なんて思ってしまいました……申し訳ない。

 ただ、全体的にMVのような少年時代の記憶のようなイメージを想起させる、印象的なサウンドだったともいます。

 特に、サビ以外の部分ではかなり簡素なサウンドで、少し寂れた印象すら抱かせてくるのですが、サビで盛り上がってくるので、まるで少年時代の周囲のすべてが輝いて見えていた頃の記憶をそのまま再生しているような雰囲気があって、とても面白かったです。

 サビ前の部分は客観視した田舎の長閑な風景を思い起こさせてくれます。

 2番が終わった後にほんの少し聞こえる、サンプリングしたようなドラムのサウンドも良いですね。

 最後がヴォーカルだけで終わるのもなかなか印象的です。

 個人的に好きなポイントとしては、サビ前に入ってくる三味線のような音と、ラスサビ前で微かに聞こえる声です。

 特に後者は、なんとなく田舎のおばあちゃんの家の空気を醸し出していて、かなり印象的ですね。かなり大好きなポイントです。


6.馬と鹿


 昨年発表されたシングル曲ですね。ドラマ「ノーサイド・ゲーム」の主題歌として作られた曲のようです。

 芯のあるヴォーカルから入り、荒々しく刻まれるギターと泥臭い歌詞が絡み合って、とても力強い印象があります。個人的には、もっとギターを大胆にフィーチャーして、ロックとして作って欲しかったですね(笑)

 全体的に希望に満ち溢れていて、とても良いです。七転び八起きのような精神が宿っている感じですね。

 楽曲を聴いていると、脳内に「運動会で自分の組が負けそうになっているときに、運動神経の良い奴が『大丈夫、絶対勝てる』といってどんどん巻き返していくのを応援している」ような映像が流れるんですよね……。これは私だけでしょうか(笑)

 個人的に好きなポイントは、サビの入りと最後の終わり方です。

 前者は、一瞬ヴォーカル以外全ての楽器の音が消えて、直後にギターやベースやオーケストラが一気に加わってドカンと爆発するようなインパクトがあってとても好きです。

 後者は、本当に個人的な趣向ですが、The BeatlesのA Day In The Lifeを想起させるので好きです。


7.優しい人


 こちらもこのアルバムで初めて発表された楽曲ですね。アルバムの中だとかなり大人しいサウンドの楽曲です。

 ただ、大人しいといってもそれはあくまで楽器について。歌詞はかなり重たいです。

 いじめを第三者視点から見ているような独白に似た歌詞は、かなりの衝撃ですね。私は「いじめる側」「いじめられる側」「野次馬」の全てを経験しているので、いろいろ考えてしまってつらいです。

 他者に向けられる愛情が自分に向けられないのが悔しかったり、自分より達観した考えの人がいたりするのがなぜかイライラしたり……そんな感覚も痛いほどわかります。

 そんな強烈な歌詞が、不器用ながらに優しく包み込むようなバラード調のサウンドの上に乗っているので、余計にインパクトが強いです。最初に聞いたときは、思わず涙ぐんでしまいました。

 子供の不器用さや純粋さ、そういったものが見事に描き出された名曲だと思います。

 個人的に好きなポイントは……全部ですね。本当にどこも欠点がない、完璧な曲です。このアルバムの中で一番好きな曲です。

 私がバラードが元々好きだということを抜きにしても、この曲は本当に優れていますよ。インタビューでは米津さんは「アルバムに入れるか迷った」とおっしゃっていましたが、入れてくれて本当に良かったです。


8.Lemon


 言わずと知れた大ヒット曲ですね。現時点での米津さんのイメージソングと言っても差し支えないかもしれません。

 非常にキャッチーなメロディー、それにマッチした切ない歌詞、そして起伏に飛んだ曲展開……やはり一級品の楽曲です。

 前の曲がかなり美しくも暗い曲だったので、こちらの美しさも相対的により浮き出ているような印象があります。

 なんとなくですが、結婚式のような雰囲気がありますよね。サビなどはとても壮大で、聞いていて楽しいです。

 個人的に好きなポイントは、サビ前のギターですね。「ギャ、ギャッ」と入るのが、RadioheadのCreepのようで好きです。

 考えてみれば、どちらもラブソングなのですよね……米津さんはその辺りにも精通しているような気がします(TwitterでXTCについて呟いているのを見かけたので、おそらく聞いているはず……?)から、もしかすると意識しているのかもしれません。

 ……ただ、この楽曲はアルバムの中だと少し浮いているような気がしてしまいます。全体的に狂った雰囲気のあるこのアルバムの中だと、少し綺麗すぎるといいますか……。

 シングル盤で「クランベリーとパンケーキ」と合わせて聞いたときは「クランベリー」の方の絶妙なだらしなさを『この楽曲の後』で聞くことで、とても綺麗な曲だったという印象を抱かせてくるのですが、このアルバムで通して聞くとむしろ綺麗すぎるんです。一曲目のカムパネルラもある意味では似ているかもしれませんが、彼方も少し頭のネジがとんでいるような雰囲気が微かにありましたから……。

 とはいえ、この曲は単体で凄まじいパワーを持っているので、なんの問題もありませんね(笑)


9.まちがいさがし


 こちらもアルバムで初出の楽曲です。かなり綺麗な曲ですね。

 タイトルを見たときは、前作『BOOTLEG』に収録されていた『かいじゅうのマーチ』を思い出しましたが、まさにそんな感じの位置づけになる曲でした。

 ネオアコのようなイントロが清々しく、小鳥の鳴き声のようなSEも相まってとても軽やかな雰囲気で始まりますが、しかし歌詞は割と泥臭くて、その微妙なミスマッチ感が面白かったです。

 周りに馴染めない人が頑張って周りに馴染んでいこうと四苦八苦しているような印象を受ける歌詞は、とても美しいです。少し高慢な意見ではありますが……欠点だらけの人間が必死に足掻く様は美しい、みたいな、そんな感じですね。

 ヴォーカルは珍しく思い切り加工していて、とても新鮮でした。

 個人的に好きなポイントは、サビで入るベースとマーチングバンド的なドラムロール音です。完全に趣味です。


10.ひまわり


 こちらもまた今回アルバムで初出の楽曲ですね。タイトルと実際のサウンドの落差が凄い曲でした。

 ……いや、最初に弁解させてください。「ひまわり」という曲名では、綺麗なバラードを想起するでしょう? そうしたら、ゴリゴリのロックサウンドが入ってくるんですよ。びっくりするに決まっているじゃないですか(笑)

 おそらくですが、米津玄師名義での楽曲では一番ロックしてるのではないでしょうか。アルバムのトーンが一番ロックに近かった『diorama』でも、ここまでパワーがあるロックはなかった気がしますね。

 個人的にハチ時代の楽曲で一番ヘヴィな『リンネ』に並ぶパワーがあると思います。

 そしてやはりこれもリズムの癖が凄いです。なんでしょうか、米津さんは癖のあるリズムの楽曲を作らないと死ぬ病気にでも罹っているのですかね?(笑)

 あとは、この楽曲どこかwowakaさんの雰囲気が漂っているのです。歌詞に「転がる」「散弾銃」などと明らかに意識しているようなフレーズがあったり、リズムの手数がやたらと多かったり、ギターの主張が激しかったり……例をあげればあげるほどそれっぽいんですよね。

 とはいえ、私はそこまでwowakaさんフリークではなかったので、仮に関連していたとしてどこまでネタが仕込まれているのかわからないのです……。

 個人的に好きなポイントとしては、サビで微かに聞こえる笛のような音色です。なんなのでしょうかね、あれ? 個人的にはオカリナかと思っているのですが……分かる方いらっしゃいましたら情報お願いします!


11.迷える羊


 これもまたアルバムで初出の楽曲です。実質的なタイトル曲ですね。

 これは出だしからダークな不協和音まじりのテクノ系で、全体を通してかなり不気味な曲でした。PortisheadやMassive Attackを思い出しますね。

 演劇がらみの不気味な歌詞が、バックの演奏に絡みついて非常に怖いです。インダストリアルメタルのような冷たい音が入ってくるのもまた余計に恐怖心を煽ってきますね。ドリルのようなSEや一定のリズムで金属がぶつかり合うような音があって、とにかく怖いの一言に尽きます。

 そしてたちが悪いのが、サビ前で暗いピアノソロをフィーチャーし、サビを逆に底抜けに明るくして置きながら、サビの最後で不穏な空気を前面に押し出してくる、というひねくれぶりです。米津さんタチ悪すぎませんかね……? 真夜中、しかもちょうど丑三つ時に聞いていたので、鳥肌が止まりませんでした……。

 ……タイトルから推測するに、ホラー映画の「羊たちの沈黙」を意識している部分があるのでしょうか? 該当の映画を見たことがないので深くはいえませんが……なんとなくそんな気がします。

 個人的に特に怖かったポイントは、最後ですね。ヴォーカルが戦時中の無線機の録音のような加工を施されていて、しかも歌詞がどこか病んでいるような感じ、そして以前こちらでエッセイを書いたTreowさんの『Drain』の中盤のような不気味なピアノの音のツギハギのようなアウトロ……とにかく不気味で、どうしようもなく怖かったです。


12.Décolleté


 このアルバムで初出の楽曲です。これもまた癖の強い曲ですね。

 どことなくトランスしているようなイントロで、割と好みの楽曲です。どことなくクラシックを意識したような雰囲気だったり、ラテンっぽさもあったり、アコーディオンのような音色が聞こえたりと、エレガントなイメージを全面に押し出した楽曲、という印象が強いです。

 歌詞を見たところ盛大な催し物が終わった後の、ある種の虚脱感を宿した夜、という雰囲気がありますね。確かな喪失感と充実感が同居する奇妙な感覚はこれまでに幾度も味わっているので、なんだか懐かしい気分になります(笑)

 歌詞に『マイファニーバレンタイン』と出てきますが、これはジャズのナンバーから引用したのでしょうか? だとすると、この楽曲に宿っているクールでエレガントな雰囲気も納得がいきます。

 個人的にかなり大好きな曲。

 好きなポイントは……全部ですね(笑)多すぎて選べません。


13.TEENAGE RIOT


 Flamingoと合わせて両A面シングルの片方として発売された楽曲ですね。

 これはまたかなりストレートなロックナンバーで、とてもかっこいいです。

 コンバース、ニヒリスト、といった、少し偏ったロックスターのイメージが浮かぶ歌詞がとても面白いですね。『俺はこれ一本でやってくんだ』と言わんばかりの、妙な自信というか覚悟というか、そういったものが見え隠れする青臭い歌詞です。

 ……あまり語ることがないですね。好きな曲ではあるのですが……なんというか、少し印象が薄いんですよねこの曲……。ごめんなさい。

 後、最初にタイトルを見た時Sonic Youthの方を思い浮かべてしまいました。ごめんなさい。


14.海の幽霊


 劇場アニメ『海獣の子供』の主題歌として作られた楽曲ですね。『馬と鹿』のシングル版にも収録されています。

 これはアルバムの中でもかなり綺麗な曲ですね。ピアノとヴォーカルだけで構成された澄み切ったイントロ、ゆっくりと着実に盛り上げていき、サビで爆発するオーソドックスな曲展開、それにぴったりマッチしたスローテンポ……聞いていてとても気持ちが良い曲です。

 Whitney Houstonの『I Will AlwaysLove You』にも似た開放感がありますね。

 個人的にはどこかジブリ作品を思わせる雰囲気が好きです(笑)

 終わり方もすばらしいですね。とても切ない雰囲気があって、別れの寂しさを丁寧に表しているなという印象です。

 ……実を言うとこちらも『海獣の子供』を見ていないので、それに絡めた話ができません。本当に申し訳ない。


15.カナリヤ


 アルバムを締めるのはこちらのしっとりした楽曲です。このアルバムが初出ですね。

 切ないイントロから入るこの楽曲は、アルバム全体の混沌とした雰囲気をうまくまとめてくれている感じがします。終わりよければ全てよし、という言葉がありますが、まさにそれですね。

 そして、メインで使われている楽器が(私の脆弱な耳と乏しい知識で判断できる限り)ドラム、ピアノ、ヴァイオリン、ベースだけと、かなり少ないです。そのおかげか、非常にシンプルに纏まっている印象を受けますね。

 全体的に希望に満ち溢れていて、聞いていると元気が出てくる曲です。そして、最後で力強いヴォーカルの後、しっとりとしたピアノで柔らかく締めてくるのはなかなか心地よいです。

 素人考えですが、この曲は合唱向きだなと感じます。合唱祭でこれを歌ったらとても良さそうですね……。

 個人的に好きなポイントは、ヴァイオリンの音色とラスサビ前の店長、そしてピアノソロのアウトロです。

 どれもこれも私の涙腺をこれでもかと攻め立ててきて、涙を堪えるのが結構つらかったです……(笑)




 以上になります。

 ……楽曲によって文章量に大きな差があるのはご了承くださいませ。

 さて、では総評です。

 今回のアルバムは、一言で表すなら『闇鍋』といったところでしょうか。シティーポップあり、ダウナーなテクノあり、ロックありと、非常に混沌とした、癖の強いアルバムでした。

 といっても、アルバム全体としての調和は取れていたと思います。ドラマなどの主題歌として書き下ろされた楽曲のわかりやすいポップさと、アルバム初出曲の実験的なサウンドがお互いに作用して、ちょうど良い塩梅になっているのではないでしょうか。

 さすが米津さん、相変わらずハイセンスな楽曲を作っております。非常に楽しい体験でした。

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