日ノ御子戦記〜うさうた〜
おはよう太郎
第1話 PR00 プロローグ
〜うさぎは何見るどこ跳ねる。まん丸月見て鳴き跳ねる〜
245年。
雲一つない秋晴れの、抜けるような
額に浮かぶ汗粒を、日焼けた太腕で
そして刈り取ったばかりの稲穂を手に取り、しげしげと眺め。今年の出来はまあまあだ、と、吊り上げた太眉毛で満足気な口元を浮かべた。
…ん…?…影?
男の周りの陽射しが
はて?…雲は無かったはずだが……
…!!…んな…ッ…
見開く
…白い…顔…??
直上に、大きく丸い、青白い顔のような“モノ”があった。
不吉で、
ゾォッ…と男の背筋に
だが、魔に魅入られたように、男が一歩も動けずにいると。
その顔のようなモノの、口らしき部分が細三日月のように頬までパックリと裂け広がった。
「……ぁ……」
大きく裂け開いた口の、その奥は、どこまでも赤黒い
それが……
その男の、生涯最後の記憶となった。
「ひィィっ!!」
稲作場に
その物の怪に、男が静かに喰われたのを見て。
「うわぁぁぁ!」「きゃあァァ!」
やっと確かな悲鳴を上げながら、水をかけられた蟻のように散り散りに駆け逃げ出した。
人とはまるで姿形を
この世の
まだまだ穢れとの境界が曖昧だったこの時代において、“ソレ”は、いとも
稲作場に出現した、
人々が初めて目にするその
その節触手の生え際の中心で、白い能面のような不気味な顔だけが地向きにぶら下がり。
それがユラユラと、揺り籠のように不気味に揺れていて、赤黒い細三日月の口を開いて人々を頭から喰らい、その血肉と生気を吸い取り回る。
追い詰められ、それでも抵抗を見せ、鉄鎌や
そうして人々は次々に捕食されていく。
逃げ惑う人々とは一風違った赤白袴の巫女装束を身に纏った3人の少女たち。
それぞれが
物の怪は外敵に気付いたらしく。くるりと能面顔を上に向け、硬質で自在な節触手を空に伸ばし、少女たちを叩き落とそうと振り回す。
その攻撃を、空中で、蝶のようにヒラヒラと
神々しい光球を手指から放ち、物の怪を怯ませ。
そうして囲い込んだ“物の怪”を、削り取るように浄化しながら、その実体を
逃げ惑っていた人々は足を止め、その光景に目を
同時三方から放たれた
人々は揃って手印を結び、穢れの
そして、その場で膝を折り始め、平頭し、地に額をつけ、かの少女たちに向かって感謝の意を捧げた。
大小30ほどの地方国の連合統一として成り立つ
この特殊な能力を持って
大陸に伝わる
[事鬼神道能以妖惑衆鬼]
鬼神道に
つまり、かの少女たちは、神霊気を操り、
そんな“
人々から
ところが、248年のこと。
皆既日食を
が、しかし、その数、
壮絶な戦いは7日間続き。人々の半数が死に絶えた頃、
そう、まるで南方海からの暴風雨が走り抜けたように忽然と。
その事象に呼応するかのように、
代わって大和朝廷が、この国の覇権を握ることとなる。
しかし、“
時は大きく流れ、20**年の夏。
多くの行き交う人々で混雑する東京駅の構内。
その能力を受け継いだ一人の少女が、眉根を寄せた険しい
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