カルセドニーダンジョン㉖
さてと、俺が考えた小さな企みを実行するには、俺が宝の内容を話さないとな。
「シンシアさん、俺が宝の内容を話してもいいですか……『 あとちょっとこっちに来てもらえますか』」
最後の方はシンシアさんに聞こえるくらいの小さな声で言った。
それを聞いたシンシアさんが俺の隣に来てくれたので『シンシアさん、ちょっと考えてた事があるのでちょっと嘘をつきますけど、もしもの時は、その嘘にあわせてもらえますか』小声でシンシアさんに話した。それを聞いたシンシアさんが頷いて了承してくれた。
「それじゃあ、話しますね。まず俺達が手に入れた宝はオリハルコンと3つのアイテムボックスとあとこれです」
そう言って背中に背負ってたクロを手に持って掲げた。
「なるほど剣か、ここから見てもわかるが、中々の名剣だな。ちょっと俺にも持たしてくれ」
と言われたので、俺はトーマさんにクロを渡した
「ぐぉ!重い肩が外れた!それに足が!」
「大丈夫ですか!トーマさん!」
やばい!忘れてた!俺以外がクロを持つと持てないほどに重くなるんだった!
「トーマ!ちょっと大丈夫!」
そう言いながら、慌ててニーナさんがトーマさんの所に駆け寄った。
「っ!肩と足がやばい!ニーナ!早く回復魔法を掛けてくれ頼む!」
「わかったわ!」
そう言うとニーナさんがトーマさんに手を当てながら
「女神ヴェルザンディよ……この者に聖なる祝福を与え……この者に癒しを与えたまえ」
そう、ニーナさんが唱えるとニーナさんの手から淡い光が放出し徐々に淡い光がトーマさんを包んでいった。
「ごめん、トーマ!早く治してあげたいけど、この怪我だと回復にかなり時間がかかっちゃうけど、なるべく早く回復するから、その間我慢してて!」
「トーマさん!すみません!この剣、俺以外持てないって事忘れてて渡して怪我させちゃって本当にすみませんでした!ニーナさん、俺も手伝います!」
慌ててトーマさんの所に駆け寄って回復魔法唱えた。次の瞬間トーマさんが起き上がって
「おぉ!2人の回復魔法のおかげで、痛みが嘘の様に引いたぜ。2人ともありがとうよ!」
そう言いながら、立ち上がって腕を回しながら
「りん、俺も悪かったよ。あまりにも見事な名剣だったから、つい気軽に借りちまってよ」
「ええ、そうね。今回はトーマが悪いわね。あなたって名剣を見ると目の色がすぐ変わってしまうしね」
「そうだな、今回はトーマが悪いな」
ナタリアさんとエジさんがため息をつきながら、呆れた目をしながら、トーマさんを見て言った。
「おいおい、2人とも冷たくないか、まぁ確かに今回は俺が悪かったけどな」
トーマさんは2人に文句を言いながら、俺の頭をポンポンと優しく叩きながら「だから、りん気にするなよ」と言ったくれた。
「はい、ありがとうございます」
俺が原因で怪我をさせてしまったのに笑って許してくれるなんて、トーマさんはなんて懐が広い人なんだろう。俺がトーマさんの懐の広さに感激してたら
「それよりもちょっと!えっなに!?りん君も回復魔法使えるの!それもりん君が回復魔法使った瞬間、トーマが完全に回復したし?!普通なら、もっと時間が掛かる怪我だったわよ!?」
ニーナさんがマシンガントークで、俺に詰め寄って来た。
しまった!普通の回復魔法って治療するのにかなり時間が掛かるって前にシンシアさんが言ってたっけ。慌ててたから、普通に魔法使っちゃったよ。
なんとか誤魔化さないと。これはまずいな。
「ニーナさん落ち着いて、多分2人で回復魔法を使ったから早く治療が終わったんですよ」
「うーんそうかな?まぁ2人がかりで回復魔法使った事ないし、そんなもんなのかな?」
ニーナさんは考え込む様に首を傾けながら言った。
うーん……これはあんまり納得してない感じだな。早く話題をすり替えてしまう。
「え~と、宝の話に戻りますけど、さっき勘違いさせちゃいましたけど、さっきトーマさんに渡した剣は、元々俺が持ってた剣で、今回手に入ったのは剣を収める鞘の方が宝だったんです」
「なるほど、よく見たらそれオリハルコンで出来てるわね」
「ナタリアさん、よく分かりましたね」
「昔、オリハルコンで出来た剣を見た事があるのよ。それにしても、ただでさえ貴重な金属なのに剣じゃなくて鞘が宝に入ってるなんて、不思議ね。そして、ちょうどそれに見合った剣を持ってる。りん君達が鞘を手に入れるなんて、何かに導かれてるみたいね」
そう言いながらナタリアさんは不敵な笑みを浮かべた。
なんかこの人、なんでも見抜いてしまうようで、ちょっと苦手かな。
「ハハ、たまたまだと思いますよ」
「あらそうかしら、りん君が持ってる剣って持ち主を選ぶ剣見たいだから、魔剣……うーん、ちょっと違うわね。魔剣の持つ禍々しさが見当たらないから、聖剣かしらね。そんな剣を持ってる人なら、何かに導かれたんだと、わたしは思ったのよね。フフ」
うわぁ、なんか結構当たってるし、この人の前じゃあ絶対嘘とかつけなさそうだな。背中に冷や汗をダラダラかきながら、俺はそんな事を思っていたら
《りん~、やっぱりちゃんとわかる人には、オイラが魔剣じゃないって事がわかるんだよ!まぁ、聖剣って言われるのは、ちょっと癪だけどね》
クロは嬉しそうに何度も何度もナタリアは違いがわかる人間だなって念話でナタリアさんの事を褒めていた。
あ~、それにしても、なんか、話が脱線してきたな。さっさと本題に入らないとな。
「ちょっと話がそれしちゃいましたが、あと最後に手に入れた。宝はエリクサーなんです」
「「「えっ!エリクサー!!」」」「あら、それは凄いわ」
トーマさんとエジさんとニーナさんは凄く驚いてくれたけど、ナタリアさんの反応は、俺が昔テストで100点満点を取った時にお母さんに見せた時の驚き方と同じ驚き方だったよ。ナタリアさんってもしかして、ちょっとお母さん属性があるのかな。ちょっと苦手だったけど少しだけ親近感が湧いてきたよ。
「りん君!エリクサーって、あの霊薬で万能薬のエリクサーって事だよね!?」
ニーナさんは驚きながら確認をとる為に聞いて来た。
「はい、そうです」
それを聞いた。トーマさんとエジさんが興奮しながら
「ハッハッハ~そいつはすげえや、エリクサーって言ったらオリハルコンより珍しいアイテムじゃねえか!」
「あぁ!大商人が、いやそれよりも貴族や王族が喉から手が出るほど欲しがる程のものだな!良かったな!りん、ナユナちゃん、シンシアさん!」
「エリクサーかぁ~、あたし達ももっと早くダンジョン攻略してたら、手に入ったかもしれないのにな」
「おめでとう。それとニーナ、そんな事を言ったら失礼よ。ごめんなさいね。気分を悪くさせちゃって」
ナタリアさんがニーナさんを窘めたら、ニーナさんが「ごめんね。それとおめでとう」と言ってくれた。
それにしても、エリクサーが手に入ったって言っただけで、こんな大事になるの!?
ヤバイ、こんな大事なるなら、あんな計画立てなければよかったって言うか!シンシアさんにエリクサーがあるか聞いた時に「あるわよ。でも、りん君の神聖魔法に比べたら大した事がない薬よ」って言ってたから、ちょっとした怪我とかを瞬時に治すくらいの薬だと思ったら、まさかこんな大事になるとは思わなかったよ。
焦った俺はシンシアさんの方を向いたら、シンシアさんは俺の目を逸らしたし。
あぁ、これじゃあ、俺が気軽な気持ちで計画した事を実行するのに気が引けるけど……でもやるしかないか……
「あの~エリクサーは手に入ったんですけど、えっと……その……俺の古傷を治す為に使っちゃったんです」
「「「えぇ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈!!」」」「あら」
トーマさんとエジさんとニーナさんはエリクサーが手に入った時よりも大きな声を上げて驚いてたけど、ナタリアさんは相変わらずのほほんとした感じの反応だった。
「そうかだから、りんはいま仮面を付けてないんだな。まぁ、少し勿体ないが、古傷が治ってよかったな!」
「りんはハーフオーガだからな、教会に行っても、ちゃんとした治療をしてもらう事が出来ないだろうしな。ちゃんと傷が治ってよかったな」
俺はトーマさんとエジさんにありがとうございますと言っていたら、ナタリアさんが少し悲しそうな顔をして
「そうね。教会は亜人がどんなにお金を注ぎ込んでも、ちゃんとした治療はしないのよね」
そうなんだ。知らなかった教会って亜人に対して差別的なのかって教会って
え!教会って亜人を差別してるて事は神武が公開される時に入れないんじゃないかって事を考えていたら
「だからって!エリクサーだよ!エリクサー!古傷に使うなんて勿体ないないじゃん!治療なら、エリクサーを売って冒険者の高ランクの回復魔法が使える人に依頼すればいいじゃない!」
「ニーナ!あなた、りん君達に失礼な事を言ってるのよ。あなたがエリクサーを手に入れたんじゃないんだから、そんな事言ってはダメよ。それじゃあ、あなたが傲慢で嫌気をさして出た。傲慢で差別的な教会と同じ事をしてるわよ。りん君ごめんなさいね」
「いや、謝んないでください。確かに俺も勿体ない事をしてしまったと思ってますから」
それにしても、ミステリアスで少しのほほんとしてる。
ナタリアさんが怒るとは思わなかったな。
あと、すごく怖かったわ。それに、ニーナさんが怒られてるのを見てたら、お母さんに怒られてる気分だったわ。
今後、絶対にこの人を怒らせないようにしょう。そんな事を思っていたらニーナさんが
「りん君!ごめんなさい!エリクサーの事を聞いたら興奮しちゃって酷い事を言ってしまって本当にごめんなさい。お詫びと言ってはなんなんだけど、何か協力できる事があったら、いつでも言ってね」
そう言ってニーナさんは俺に謝ってくれたけど、むしろ俺が嘘をついてこんな事になったから、ちょっと罪悪感を感じた。
あ!でもいい事考えた。協力できる事があったら協力してくれるっ言うのなら、ちょっと罪悪感を感じるけど、せっかくだから、協力してもらうか。
「いや、ニーナさん謝らないでください。俺もニーナさんの立場だったら、同じ事を思うし」
「ありがとう、りん君!さっきも言ったけど、何か困った時は言ってね。できる事なら、なんでも協力するからね」
「じゃあ、すみませんがいまお願いしてもいいですか?」
「うん!いいよ!で、どんな事を協力するればいいの?」
相変わらずちょっと罪悪感を感じるけど、協力してくれるって言うなら協力して貰わないとね。
「それは、俺の傷を治したのはニーナさんって事にしてもらえますか、エリクサーで治したって言ったら、大事になってしまいますし」
「あはは……そうだね。さっきのわたし見たいな人が絶対に出るだろうしね。うん!あたしが回復したって事にするね!」
「ニーナさん、ありがとうございます」
という事でニーナさんの協力がしてくれるようになったし、よかった。
それよりもシンシアさんのせいで危なく大事になる所だったよ。
まぁ、俺の考えた計画も結構穴だらけだったけど、本当に何とか成功してよかったな。
「それじゃあ、りん達のお宝の話も聞けたし、ダンジョンからそろそろ出ないか、俺腹が減っちまったよ」
トーマさんがダンジョンから出ようと提案が出たので俺達はダンジョンを出る事にした。
ダンジョン入口は相変わらず人がごった返ししていてダンジョンを出るのが大変だったけどやっと久しぶりに外に出れた。外はもう、夕方だったので太陽は見れなかったけど、でも久しぶりに吸った外の空気はとても美味しかった。
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