カルセドニーダンジョン⑳


「うぎゃー!?」


痛ったー!舌噛んだ!

ちゃんとシンシアさんの忠告を守ってればよかった。


「ちょっと、りん君、大丈夫?変な声出てたけど」


「なんでもないですよ。ちょっと舌を噛んだだけです」


私は照れくさくなり頭をポリポリと掻きながら言った。


「そうだったの。もうりん君!今度からは魔法陣で移動する時はちゃんと口を閉じてないと駄目よ」


シンシアさんは私の前にしゃがみ込み、そして私の両肩を掴みながら、私の目を見て小さな子供に言い聞かせる感じに言ってきたけど。

うーん……これって傍から見られると、今はナユナしか居ないけど、他の人達がいたら、私って小さな子供見たいじゃないか!


恥ずかしい……早く進化してゴブリンの呪縛から逃れて、前世くらいの身長に戻りたいな。

だけど……さっき見たステータスを見ると進化までまだまだ先なんだよね。

そんなネガティブな事を考えていたら、ナユナとシンシアさんが


「それにしても、このダンジョンにこんな所があったなんて知らなかったわ」


「え?シンシア、この場所がダンジョンの最深部なんですよね?」


不安げにナユナがシンシアさんに聞いていた。


「うーん、私が昔、来た最深部はこんな神秘的な場所じゃなくダンジョンの下の階層に行く大広間みたいな所だったのよね」


そう言えば舌を噛んだり、シンシアさんに叱られたりして、ちゃんと、この場所を見てなかったけど、確かに今までの場所と全然違う場所だな。

今までの場所は無機質な感じで、なんかピラミッドの中みたいな感じの場所だったけど、ここは淡い光の玉がポワポワと浮いていて、なんか幻想的で、そして離れた所に青い光を放った泉があってなんて言うかゲームで言う所のHPとMPを完全回復してくれる場所に似ている。


そんな事をわたしが思っていたら、クロが


「うむ、ここは、このダンジョンの真の最深部だ。この場所は女神ヴェルザンディ加護がある者だけが入れる場所なのだ」


凄く重要な事を突然クロが言い出したけど。

そんな事、私知らなかったんだけど、ちょっとクロどういう事か説明して欲しいんだけど。

あと、そう言う大事な事を言う時は、私の背中にくっ付いたまま言うよりも、ちゃんとみんなの前に出て言った方がいいと思うんだけど……そこがクロの残念な所なんだよな。


とりあえず、クロにどういう事かちゃんと説明をしてもらうと思って念話で聞きだそうとしたら


「くっ黒金様!わっ私達がこの場所に来れたのは、聖女の力がある、りん君が居るからですね!」


テンション高めのシンシアさんが、私の後ろに回ってクロに詰め寄るように近づいて言ってきたけど、ちょっと怖いんですけど、シンシアさん。


「うっうむ、そうであるぞ。エルフの娘よ」


ちょっと二人とも私の背中で話し合わないで欲しいんだけど……とくにシンシアさん、私の後ろではぁはぁと荒い息をして、怖いんですけど。そんなシンシアさんを見てナユナがドン引きしてるし。シンシアさん……


「……はぁ~やっぱり、りん君のおかげだったのね。無理をして休暇を取って、りん君達に付いてきてよかったわ~……よし!さすが私!」


シンシアさんが小声で独り言を言ってるけど、シンシアさん真後ろに居るから、小声で言ってもめちゃくちゃ独り言が聞こえるんだけど。


とりあえず後ろで色々話されても怖いから(シンシアさんがね)、クロには私の前に来てもらう。


「すみません、シンシアさん、ちょっと危ないんで離れて下さい」


私はシンシアさんに少し離れるように言って、クロを掴んで目の前の地面に勢いよくクロを突き刺した。


《りん!なんで地面にオイラを刺すのさ!刺さなくても手を離してくれたら自分で浮いてられるんだから地面に刺さないでよ!》


《いや~ごめん。何となく地面に突き刺しちゃったわ》


《もう、謝り方が雑だよ。りん!》


適当にクロに謝ったいたら、ナユナが申し訳ない感じに


「あの~黒金様、お聞きしたいんのですが、さっきここが、真の最深部と言ってましたけど、ここはどういう場所なんでしょうか?」


「うむ、いい質問をしてくれたな、人間の娘よ。ここは真のダンジョン宝が眠ってる部屋なのだ!」


う~ん?!いま、クロめちゃくちゃいい事を言いましたって感じで言ってるけど「なるほど!ここが真の宝の部屋なんですね!流石、黒金様です!」って?!


えぇー!!シンシアさん、そんな事でクロを崇めないでよ。

めちゃくちゃ軽い事しか言ってないよ。クロはってナユナまで「流石りんさんです!」私を尊敬するような目で見てるけど、私何もしてないからね。

だから、そんなキラキラした目で見ないで~


とりあえずこの空気をどうにかしたいから、私はクロにどんな宝があるのか聞いてみる事にした。


「クロ、宝があるって言ったけど、どんな宝があるの?」


「うむ……」


クロは考え込むようにしばらく無言になった。

そんなクロをキラキラした目でシンシアさんは見ていたけど、シンシアさん多分クロは、今回も大した事は言わないと思いますよ。

そして、クロが答えた事は……


「りんよ。それは、この部屋に入った者が今一番欲しい物が、その宝の箱の中に入っているのだ」


クロがそう言うと地面から抜け出して部屋の真ん中を指した。


私達はその方向を見たけど……あれ?何にもないんだけど?


「クロ何も無いんだけど、どういう事?」


「りん君、よく見て、黒金様が指してくれた場所の地面に魔法陣があるわ。あそこまで行きましょう」


確かによく見て見たら、地面にさっき移動してきた時見たいな魔法陣があったけど、この部屋、幻想的で綺麗だけど、微妙に薄暗いんだよね。

だから、すごく見にくいんだよなって思っていたらクロが念話で


《もう!りんの目って節穴なの。シンシアはすぐにわかったのに》


《いや、この部屋薄暗いからわかりにくいんだけど》


《はいはい、わかったから、魔法陣の所に急いで行ってね。りんじゃないと魔法陣が起動しないから》


私を馬鹿にした感じに言ってクロは魔法陣の場所へと行った。


なんか、ムカつくは今のクロの言い方!


「りん君!早く来てちょうだい。りん君が居ないとこの魔法陣が起動しないって黒金様が言ってるから」


シンシアさんが凄くワクワクした目で、私を呼んだ。

これは、早く行ってあげないとな、シンシアさんが嬉しそうにしてるし、とりあえずクロの事は後でぶん殴ってやろ。


「シンシアさん、ナユナお待たせ。で、クロどうやったら、この魔法陣起動するの?」


「それはだな、簡単な事だ。りんが魔法陣に手をかざせば、魔法陣が、かってに起動して、宝の箱が召喚されるのだ」


宝の箱が召喚されるって何処から召喚されるの?そんな事を思っていたらシンシアさんがまたキラキラした目で


「りん君!お願い!はやくはやく魔法陣に手をかざして、宝の箱を召喚して~!」


うぉ!?シンシアさんの目がマジで怖い。

さっきまで、キラキラしてた目が、いまはギラギラした目になってる。

怖いから、早く魔法陣に手をかざさないと。


私は急いで魔法陣に手をかざしたら、魔法陣から目が開けられないような強烈な光が出たってこんな事クロ教えてくれなかったじゃないか!

私は急いで目を閉じた。

目を閉じても光が漏れてくるなんて、どんだけ強烈な光なんだ!


「なんて光なのでも、こんな事は二度と見れないかもしれないわ。ちゃんと見ないと!でも目がー!目がー!」


シンシアさん、こんな強烈な光を根性で見ていた見たいだけど、やっぱり無理だったみたいだ……って言うかすごい根性です。シンシアさん。


「うっうっ目が痛いです。皆さん大丈夫ですか?」


ナユナも目がやられたみたいだ、私達はみんな目に大ダメージを受けたみたいだ。

特にシンシアさんが、いまだに目がー!目がー!って言ってるし。


「ヒール、ヒール、ヒール!」


私は急いで回復魔法神聖魔法唱えた。

そのおかげで、さっきまで何も見えなかったけど、今は正常に視力が戻ったけど。

危なく目が見えなくなる所だったよ(とくにシンシアさんが)


「ナユナ、シンシアさん、大丈夫?」


「わたしは大丈夫です。回復魔法ありがとうございます」


「私も大丈夫よ。ありがとうね。りん君」


二人とも視力が戻ったみたいだ。あとシンシアさんの冷静さも、戻ったみたいだ。よし!私は小さくガッツポーズをした。


視力が戻ったので、改めて魔法陣を見たら見るからに宝箱って感じの宝石とかが装飾された宝箱が置いてあった。


「クロこれが召喚された宝箱なの?」


「うむ、これこそまさに、このダンジョンの真の宝の箱だ。りんよ。開けてみよ」


ナユナもシンシアさんもワクワクした感じで宝箱を見ていたので、早く開けてみよと思ったけど、さっきの魔法陣の件があるからな、ちょっと怖いけど慎重に開けてみた。


そして宝箱の中身は……一枚の紙だけが入っていた……


えっ?えぇ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈?!

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