カルセドニーダンジョン⑲
ぺちぺち……ぺちぺち……ペち「もー!!なんなの!さっきから人の顔をぺちぺち叩いて!」私はそう言いながら勢いよく起き上がった。
起き上がって、真っ先に見た光景は……焼け焦げたサキュバス達の死体だった。
「なんじゃこれは!!なにがどうなってるの?!」
私が混乱していると「やっと気がついた」とクロが私に話しかけてきた。
どうやら、私の顔をぺちぺちと叩いてたのはクロだったようだ。
それにいつの間にか仮面が取れていたみたいだ。だからクロは私の顔にダイレクトに叩いてたのか。
「もう!りんが混乱したせいで、大変だったんだからね」
ん?混乱?私いままで好きな人達に囲まれて居てとってもいい夢を見ていたような気がするけど……混乱してたってなんで?
「もう!りん聞いてるの!」
「うーん、ごめん。起きたばっかりだから、頭がボーッとして、いまいち状況がわからないや。そう言えばなんで私今まで寝てたんだろう?」
「もー!りんは寝てたんじゃなくって、サキュバス達に魅了されて混乱してたんだよ!そのおかげでこっちは大変だったんだからね!!」
「え~嘘でしょう。クロ、私がサキュバスに魅了されるわけないじゃん」
だいたい私今は男だけど、前世は女だし魅了されるなんてありえないし
そんな事よりなんで私寝てたんだろう?
それと、ナユナとシンシアさんはどこに居るんだろ?
「クロ、そう言えばナユナとシンシアさんはどこに居るの?」
「そうだった!りん!ナユナが大変なんだ!魔力枯渇起こしてるから、早く回復してあげて」
「ええー!それって大変じゃない!なんで早く言わないの!早くナユナの所に連れて行って!」
私ったら迂闊だった!
目が覚めた時に沢山の焼け焦げたサキュバス達の死体を見たのに。
これってナユナが大量の魔力を使ってサキュバス達を倒したって事じゃないか……
早くナユナの所に行かないと!
クロの案内で来た場所は私がいた場所から、ちょっと離れてた所で、そこには倒れて少し煤汚れてるナユナを中心に炭化したサキュバス達の死体が転がっていた。
私は急いでナユナの所に向かった。
「ナユナ大丈夫?今すぐに
「りん!そんな事は後で話すから、今はナユナに回復魔法を掛けてあげてよ」
「そうだった!ヒール!ヒール!」
私は慌てながら二人にヒールを掛けた。
そうしたら、すぐに二人とも意識が戻ったようで、すぐに目を開いた。
よかった二人とも無事に意識が戻ってくれて。
「なにが合ったのかイマイチわからないけど、ナユナ、シンシアさん良かった意識が戻ってくれて」
「あぁ、りんさん元に戻ってくれたんですね。よかった一生あのままじゃなくて」
「本当よ、あのままだったら大変だったわ」
「えっ?二人とも一生あのままじゃなくてってどうゆう事なの?」
そして私が混乱してた時の失態を二人から聞かされたのであった……
「えぇー!!私そんな事してたの、それにシンシアさんの事をクロで殴ちゃったって……」
あぁ……私ったら何って事をしてしまったんだ。
クロを使って殴ったって一歩間違えたらシンシアさんの事斬ってたかもしれないなんて……
「シンシアさん!ごめんなさい!」
私は勢いよく飛び上がって土下座をした。(まさか、私もジャンピング土下座をする事になるとは)
「りん君?!そんな謝らないでいいわよ。私も油断してたせいでもあるんだからね。それにりん君が防御魔法を掛けていてくれたおかげで気絶だけで済んだしね」
シンシアさんは優しく言ってくれてるけど、私は土下座をやめないで謝り続けていたら、シンシアさんが私の真正面に正座して
「私も冒険者ランクSなのに敵の事を把握してなくてパーティを全滅させかけてごめんなさい」
そう言ってシンシアさん頭を下げた。
「シンシアさん?!そんな謝らないでください。私が油断してサキュバスに魅了されただけですから」
そんな事を言っていたらナユナまでも正座をして
「わたしも魔力を使い果たして魔力枯渇を起こしてしまってすみませんでした」
「ナユナまで?!二人とも私が悪いんだから謝らないでよ」
「私とナユナはりん君が謝るのを辞めないなら、いつまでも私達も謝り続けるわよ」
「はい、わたしもシンシアの言う通りで、いつまでも謝罪を続けますよ」
「「だから、もう土下座はやめてね」ください」
「うっ……うん」
私は二人からの威圧が凄かったので思わず頷いてしまった。
二人は私の答えに満足したのか、立ち上がって私に手を差し伸べてくれたので、私も二人の手を取って立ち上がった。
「さてと、この話はこれでおしまいね。りん君いいわね」
「はい、二人共ごめんね。それとありがとうね」
そう言うと二人は笑顔で
「「別にいいわよ」いいですよ」
返事をしてくれた……
それを聞いてたクロが念話で
《りん、二人とも良い人達だね》
《うん……》
うん、クロ私もそう思うよ。
本当に何度も思うけど、良い人達に出会えてよかったよ。
それを危なく私の油断で無くすところだったよ。
これからは先入観にとらわれないようにしないとな。
よし、とりあえず魅了や混乱とかに掛からないよな魔法を作ってみよう!
前にもクロが言ってたけど神聖魔法って回復と守り系なら使えるって言ってたから、精神異常系の攻撃に耐えられる魔法も使えるって事でしょう。
それじゃあ、呪文は適当で唱えて見るか……
「マインドバリア」
これでステータスがどう出るかな「鑑定」っと
鬼塚 りん
種族 ゴブリン新種 オス
レベル 149/250
状態 快調 【オリハルコン】【鋼メンタル】
剣技 神聖魔法+ 鑑定+ 進化
おぉー!嬉しい事にレベルが100以上も上がってるよ。
流石ダンジョン!シンシアさんのおかげだな。
それと……状態の所に鋼メンタルが追加されてるな、これってマインドバリアの効果か……
うーん、なんかこれから、どんなショックな事が起きても耐えられるような気がする……
私が新しい魔法を使ってみたり、ステータスチェックをしてたりしてたら
「りん君!ナユナ!こっち来てくれないかしら」
シンシアさんが大きな声で私たちを呼んだ……あれ?いまシンシアさん、ナユナの事呼び捨てで呼んでなかった?うーん気のせいかな?
私は急いでシンシアさんの所に行ったら、そこには光り輝いていた魔法陣があった。
「二人とも来てくれたわね。どうやら、さっき倒した。サキュバス達がこの階層のボスだったみたいなのよ。この魔法陣に入れば、このダンジョンの最深部に行けるわ」
「という事はシンシアさん、私達がこのダンジョンの初めての攻略者になるんですね!」
「活性化したダンジョンのだけどね」
とシンシアさんは付け加えて言った。
「だけど最深部になにがあるか、わからないから、りん君、ナユナ、二人とも注意してね」
ん?
「わかりました。シンシア」
んん?
あれ?!まさか!
「二人とも聞きたい事があるんだけど」
「どうしたの?りん君」
「もしかして、二人ともお互いの事呼び捨てで呼びあってる?」
「あぁ、その事ね。そうよ!」
「はい!」
「えぇー!!いつのまに?!」
二人はお互いの事を見て笑い
「「秘密よ」です」
「秘密なのか……」
二人は秘密って言ってるけどサキュバスと戦ってる時に呼び合うようになったんだろうな……羨ましい~
そうだ!私も二人に呼び捨てで呼んでもらうっと!
「じゃあ、二人とも私の事も呼び捨てで呼んで」
二人は私の事をジーッと見てから
「りん君は今のままの呼び方がいいかな」
「わたしもです。今の呼び方がいいです」
そう言って笑顔で二人は魔法陣の上に乗った。
私も急いで魔法陣の上に乗ったら魔法陣がさらに輝きだして、それを見たシンシアさんが
「ちゃんと起動してるわね。それじゃあ二人とも魔法陣で移動してる時は喋ると舌を噛むかもしれないから口を閉じておいてね」
とシンシアさんが注意をしてくれたけど……
「やっぱり!私も呼び捨てで呼んで欲しいよ~!」
叫びながら私はこの階を後にするのであった……
あれ?!私の鋼メンタルどこに行った!!
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