カルセドニーダンジョン⑭
さっき知り合ったパーティをナユナ達の所へと案内したら、シンシアさんがこっちに向かって来て。
「ちょっと、りん君どこ行ってたの、突然居なくなったから、びっくりしたわよ」
そう言えば何も言わずに、大広間の中に入って行ったんだった。
「ごめんなさい、シンシアさん」
「謝らなくていいわよ。私が勝手に心配しただけだから……それと、りん君の後ろにいる人達って誰なのかしら」
シンシアさんは少し警戒した感じで私の後ろにいる人達を見た。
「突然ですまないが、あなたがこの子のパーティのリーダーか」
剣士がシンシアさんにリーダーか確認してきたけど、そう言えば私達のパーティってリーダーとかって決めてなかったな。
まぁ、地図も読めるしなしろ冒険慣れしているシンシアさんが私達のリーダーって事で合ってるか。
私が一人で納得してると。
「いいえ、私達のパーティのリーダーはあなたの前に居る、りん君がこのパーティのリーダーよ」
えぇ!?そんなの初耳ですよ、シンシアさん。
「そうだったのか……失礼した、そしてりん君でいいのかな?」
剣士が戸惑いながら、私に謝ってきたけど、私もいきなりリーダーと言われてかなり戸惑ってる。
「あのその……えっと一応このパーティのリーダーをやってる。りんと申します
、あと名前は呼び捨てでいいです……」
私はテンパリながら自己紹介をした。
うーん……もうちょっとカッコイイ感じに自己紹介をしたかったな。
「自分達も自己紹介がまだだったな。俺はライノスだ。このパーティのリーダーをやっている。そしてそこに居る仲間達だが、弓使いがネスト、そこに座り込んでる斧を背負ってるのがリース、もう一人座り込んでるのがユノスだ、俺達の事も呼び捨てでいい」
なるほど、リーダーのライノスに弓使いのネスト、それに何も装備を持ってないって事はユノスは魔法使いかな?
それと、大きな斧を背負ってる女の人がリースか、この人女の人なのに背が高いな……
「あの、わたしの名前はナユナです。わたしも呼び捨てで大丈夫です」
「それじゃあ、最後に私はシンシアよ。私も堅苦しいのは嫌いだから呼び捨てでいいわ」
シンシアさんの自己紹介が終わったら、ライノス達が驚いた顔をした。
「もしかしてシンシアって、あのSランクでダンジョンマスターと呼ばれてる、シンシアなのか!?」
「ええ……そうよ」
ライノスの問いかけに、シンシアさんが応えた時に心なしか、ちょっと自慢げだったのは気のせいかな。
「そうだったのか……あと厚手がましいお願いなんだが、すまないが少しだけここで休ませてくれないだろうか」
ライノスは私に聞いてきた。
「あっいいですよ」
うーん、さっきのテンパリを引きずってしまらない返事をしてしまった……解せぬ。
こうして、私達が自己紹介が終わった、あと改めてライノス達を見たら、ライノスとネストは少しボロボロだけど大した怪我をしてないようだけど、リースは右腕を怪我してるのか包帯が巻かれているけど、その包帯も血が滲んでいる後があったから、相当酷い怪我をしてるみたいだ。
そして、ユノスはどう見ても魔力枯渇しかけてるな。
うーん……二人を回復してあげたいけど、この世界の回復魔法って一瞬で怪我が治らないらしいから、下手に回復しちゃうとトラブルの原因になりそうだしな……どうしようかな。
よし!悩んでいても仕方がない、こういう時こそシンシアさんだ!
私は小さな声でこっそりとシンシアさんに話しかけた。
『シンシアさん、シンシアさん、聞きたいことがあるんですけど』
私はシンシアさんの袖を掴んで少し引っぱった。
「りん君、なに聞きたいことって?」
『シンシアさん、シー!』
『わかったわ、内緒話ね。それで聞きたい事って何かしら?』
シンシアさんはクスッと笑って小さな声で応えてくれた。
『えっとですね。リースとユノスを魔法で治してあげたいんですけど、この世界の回復魔法って怪我を一瞬で治すことが出来ないってナユナに聞いたんですけど、本当ですか?』
『うーん、高位の回復魔法使いはそこそこの怪我なら一瞬で治せるけど、リースの怪我を見ると結構酷い怪我だから、それを一瞬で治したしまうと驚かれるけど、でも誤魔化すことは出来ると思うわ。だけどユノスの魔力枯渇を治すのは辞めておきなさい。魔力枯渇を魔法で治したったことがバレたら教会に目を付けられるわよ』
『はい……教会に目を付けられるのは嫌なので、リースの怪我だけ治します……』
ユノスごめんね、本当は治してあげたいけど、教会に目を付けられたくないから本当にすまぬ。
『フッフフ、本当にりん君は優しい子ね。他のパーティの心配をするなんて、ユノスの事は心配しなくていいわ、私が持ってきた魔法薬で魔力枯渇を治すから、りん君はリースをお願いね』
そう言ってシンシアさんはユノスの方に歩いて行った。
さてと私もリースを治しに行きますか!
私はリースの所まで来てリースに話しかけた。
「あのリース……」
「なんだい、アタイに何か、ようかい?」
「ええっと、私回復魔法が使えるので……その……その怪我を治させてください」
うわぁ、私ったら、またテンパってしまって滅茶苦茶変な喋り方になっちゃったよ。
「へぇーアンタ、剣を持ってるから剣士かと思っけど、回復持ちなんだね、珍しいね」
リースはそう言って私をジーっと見た。
「あの……回復してもいいでしょうか……」
「あぁ、よろしく頼むよ」
リースは包帯をほどいて右腕を出した、その怪我はかなり酷い切り傷で未だに血が止まっていない状態だった。
とりあえずリースから了承をもらったので私は
「では……ヒール」
リースの右腕が淡い光に包まれて徐々に怪我が治っていった。
よし、これなら大丈夫だろう、これから、こういう事が起きたらゆっくりめに回復魔法を掛けようっと、教会に目を付けられたくないからね……うーん私ってヘタレだな……
そんな事を考えてるとリースが
「こりゃ驚いたよ。あんなにひどい怪我だったのにこんなに綺麗に治るとは思わなかったよ」
リースは何度も治った右腕を不思議そうに見ていた。
「アンタって凄いんだね。怪我を治してもらってなんだけど、アンタ男でリーダーなんだから、ナヨナヨしないでシャキッとしないとダメだよ。あと私には敬語なんて必要ないからね。それと怪我治してくれてありがとうよ」
リースは笑顔でお礼を言ってくれた。
「いえ……じゃなくて……うん、リースの怪我が治ってよかったよ」
うん、今度はテンパらなく言えたな。
それと、リースに言われて思ったんだけど、今まで一人称私だったけどよくよく考えたら、今世は男なんだよね。
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