ゴブリン村

1


思い出さなきゃ良かった。このまま思い出さないでゴブリンのまま人生を終わらせたかった…


でも思い出さなかったら、そのうち人間を殺して食べてたかも知れないかと思うと、思い出して良かったのかも知れない。


はぁ……これからどうしようかな……


そもそもなんで、私ゴブリンに生まれ変わったんだろう、前世の事思いだそうとしたけど、私の前世の名前が 鬼塚 りん て言うことと多分死んだのが高校二年生の頃だと思う事くらいしか思い出せないだよね。


あとこれは忘れちゃいけない大事だから!


私、女の子だったんですけど───────!


あと、もう一つ


あと、女子高生なんです!私───────!



はぁ~、どんなに思い出そうとしても、ちゃんとした記憶はその三つしか思い出せないだよね。家族とか友達の事とか思い出そうとしても、なんとなくしか思い出せなし……


ゴブリンに生まれ変わったのって、思い出せないけど、もしかして前世でいじめとか人を傷つけるような事をしたのかな、だとしたら最低だな私…

そうじゃないとゴブリンなんかに生まれ変わらないよね……

ちょっと涙が出てきちゃったよ…!


「ああああぁ─────────────!」


「オイ、コシヌケチビがついにおかしくなったぞ」


「ヒッーヒッヒッヒー、ホントダ!ホントダ!」


私が、奇声を上げながら頭を掻きむしってたら、近くにいたゴブリンたちに笑われた……クソが!


「ププッ、コシヌケチビが睨んでやがる」


「ヒッーヒッヒッヒー、ホントダ!ホントダ!」


どうやら、無意識にゴブリンたちを睨んでた見たいだ、あと ヒッーヒッヒッヒーと笑ってたヤツ同じセリフしか言えないのか!


そんなことを思ってる時に、ぐぅ~とお腹がなった、こんな時でもお腹は空くんだな。


もういいや、ウジウジ悩んでてもしょうがない!両手で頬をパーンと叩いて気合を入れたけど、めちゃくちゃ痛かった。慣れないことはするもんじゃないなと思いながら、木の実を採りにいつもの森に向かった。




◆◆◆




いつも木の実を採ってる場所に向かう前に気になる事があったので川に向かった。


何とか無事に川に着いたけど、たまに川の近くにゴブリン達は弱いと言うけれど、魔物が居るので周りを警戒しつつ川に近づいた。


ん~川に映る姿を見てみたが、やっぱりどう見てもゴブリンだ!何度見てもゴブリンだ!

そして禿げている…さっき頭を掻きむしった時にわかっていたけど禿げている…ショックだ!

せめて髪の毛が少しでも生えてれば、少しはましかなと思ったけど、どう考えてもやっぱり無理だな。


川に映る自分の姿を見て思ったんだけど、私の肌の色ピンク色ここだけ女の子らしさが出てるヤッタネ~

あと村に居るゴブリン達は全員緑色だったんだよね。私だけちょっとレアじゃない~

まぁ、だからと言ってあんまり嬉しくないけどね。そして現実から目を背けたくなるような事実を思い出したよ……



「私はオスゴブリンに転生したみたいだーーーーーーー!!」



思わず大声出しちゃったけど、ここ魔物が出るから危ないんだよね。


うん!魔物が出たら怖いから、さっさといつもの木の実が採れる場所に行こうっと!なんか変なフラグ立ててる気がするけど……キノセイダヨネ?




◆◆◆




やっぱり毎日来てるところだから、難なく来れたな。


さてと、適当にリンゴ見たいな木の実を採って、さっさと一応安全なゴブリンの村に帰るか、と思っていたら後ろの方の茂みからガサガサと音がしたので、嫌な予感を感じながら振り向いて見たら、背中にキノコを生やしたデカイ、イノシシ見たいな魔物が居た。


「そんな予感当たりたくなかったよーーーーーー!!」


大声で叫んでしまったせいで、イノシシがこっちに気づいた。

これは、逃げないとヤバイだって、イノシシ大きさが、なんと車くらいの大きさだからだ!

あんなのに体当たりされたら、一発で死んじゃうよ。

あっ!でも、このまま死んでもいいかな…ってネガティブな事を考えていたら、イノシシが勢いよくこっちに向かって突進してきた!!

私は無我夢中で近くにある一番高い木に向かって必至に走った。


なんとか、安全な所まで登ったけど、下に居るイノシシが私が登った木に何度も体当たりをしているから、木が凄い揺れて何度か下に落ちそうになったから必至に木にしがみつきながら、早くどっか行けと思いながらイノシシが居なくなるまで待つことにした。


しばらく木にしがみつきながら待っていたら、私の思いが通じたのかイノシシが少しウロウロした後、私が逃げた時に落とした木の実を食べて満足したのか、森の奥に帰って行った。


はぁ~、よかった死ぬかと思ったよ。

それに、さっき死んでもいいかなって思ったけど、やっぱり無理だ。

やっぱり死ぬのは怖いそれに、いま死んだら今度生まれ変わる事があるかは、わからないけど、次に生まれ変わるとしたら多分ゴブリンよりひどい者に生まれ変わりそう。

例えば虫とかにだとしたら、最悪だ~!

よし、今世は出来るだけいい行ないをして来世は人間に生まれ変われる様に頑張ろと思うけど、ゴブリンでいい行いってできるのか?





かなり不安な私であった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る