応援コメント

すべてのエピソードへの応援コメント

  • 【評価されるべき作品に、感想爆弾を投下します】企画に参加いただきありがとうございます!
     遅くなってしまい申し訳ありません。
     感想爆弾を投下しに参りました。心の準備はいいですか?

     廃墟探索、憧れです。一時期ハマって、廃墟写真を漁っていた覚えがあります(笑) 主人公の言うとおり、死そのものにではなく【死に近い】ことに惹きつけられるとか、【心霊の噂が付きまとう】ので【死に近接した崇高な美を、穢されるような気がして】という感じ、よく分かります。作者も廃墟が好きなのかなぁと想像しました。冒頭はレポ風の語りで、まるで実際に足を踏み入れてきたかのようでした。道中の具体的な描写が、後に続くストーリー展開への期待を高めます。
     廃墟に足を踏み入れてからは、徹底的に言葉を尽くして情景描写がなされていました。【網静脈のような緑の浸食】・【赤一色のキャンバスに、子供が好き勝手に緑色をぶちまけたかのような、偶然の絵画】・【ガラスは蔦や草木でステンドグラスのように装飾され、黴臭い室内に葉脈のような影】・【廃墟にこれほど溶け込むことのできる人間など存在しない】・【廃墟はオレンジ色の太陽に焼かれていた。蔦や草木の緑さえ、柔らかな炎に包まれていた】……比喩も交えつつ事細かに描写され、映像が目に浮かぶようでした。うっとりするようなフレーズの数々でした。
     わずかながら、ホラー的な雰囲気も感じました。女性は一体何者だったのか、その表情は、あの場所に実在していたのか、それとも幻想なのか、なぜ二度と会うことはできないのか……、明らかにはされませんが、それが余白の美であり、ホラーのような余韻に感じられたのだと思います。主人公は帰りの道中【黒い薔薇の静物画】を想像します。彼女の佇まいは、確かに、凛と背筋を伸ばしている静物画の黒い薔薇と重なりました。
    【私がいなくなって、貴方が私になってからのこと】……彼女になるというのは、一体どういうことなんだろう。死に近いものに惹かれすぎて、超えてはいけない一線を超えるとか、引きずり込まれてしまうとか、究極の美に呑み込まれてしまうような危うさを感じました。
     せっかく山道に分け入ってまで収めた風景……カメラのデータを全て削除するのは、一見不可解にも思われますが、これが主人公なりの美の味わい方なのだろうと思いました。【ネットで目にした部屋に】ということは、誰か廃墟マニアが先に足を踏み入れているのでしょう。自分も同じように記録に残すためやって来たはずなのに、その目的さえ手放してしまうほど、彼女との出会いと彼女のいる部屋は完璧な美しさで、焼き付いた記憶は鮮烈だった。記録に残したところで、記憶に刻まれた美しさには敵わない。【今日の全ては僕の脳裏に焼き付いている。写真の中であの景色を見てしまえば、脳裏に描かれた完璧な調和が乱れてしまうように思われた】……主人公がデータを消した行動の原理が、ずばりと言い表されていました。
     純文学とはこういう作品なのだと思いました。ジャンルは「現代ドラマ」に設定されていましたが、他にちょうどいいジャンルがありませんね……もったいない。純文学ジャンルがあれば良かったのに。

     以下は、ちょっと気になった点。(「直してね」と押し付けるものではないです)
    【子気味良い】→「小気味良い」でしょうか。
    【意識を失ったまま】→【無意識だった】と前述されているので言い方を替えたのかなと思ったのですが、個人的には「無意識に」と「意識を失っている」を同義と結び付けるのは違和感がありました。【意識を失ったまま】と言われると、どうしても「気絶」が連想されます。「我を忘れて」という言い回しもあるかなと思います。
    【クソッタレの日常】→美しさと静謐に満ちた作品に、突然乱暴な言葉が飛び込んできたな、という印象でした。非日常の強調だとは思うのですが、主人公が日常に辟易していて廃墟に安らぎを求めているような背景でもあれば「ああ、なるほど」となったかもしれません。廃墟に美しさを見出せる繊細な心の持ち主である主人公からスルッと出てくるような言葉ではないように思いました。

    作者からの返信

    王子様

     感想爆弾!ありがとうございます。

     大変丁寧なコメント、ご感想、ありがとうございます。身に余る光栄です。まさかこれほど拙作を読み込んで頂き、そして言葉にしてくださるとは…頭が下がるばかりでございます。

     廃墟探索に関してですが、当たりです。作者である私の憧れであります笑
     拙作の情景描写に対して「うっとりするようなフレーズの数々」と仰って頂けたこと、誠に嬉しく思います。「女性」の存在ももちろんですが、個人的に廃墟の持つ独特な美しさを印象強く表現したいと思っておりましたので、少しでも表現できていたなら…嬉しい限りです。
     ホラー的な風味は、「廃墟」と「人間」を限りなく概念的に近づけたらどうなるのだろう?と私なりに諸々想像を膨らませた結果であったりします。また、登場人物たる「女性」の重要なテーマはまさに王子様の仰ってくださっている「究極の美に呑み込まれてしまうような危うさ」にあります。ある意味非常にぼやかした、輪郭の薄い拙作のうちに、その部分を読み取って頂けたこと、嬉しく思います。
     終盤、主人公が写真を消す場面に関しまして、実は書いてる途中の突発的な思いつきであったりします。不思議なもので、私自身執筆しながら、ああ、これは消させなければならないと謎の感情に駆られたものです…。
     純文学、と言っていただけること、私にとってこれ以上のない褒め言葉でございます。ありがとうございます。確かに、カクヨム内に純文学のジャンルがあったらなぁ、と日々思うところです笑

     気になった点のご指摘、ありがとうございます。いやはや、お恥ずかしい限りでございます。推敲が苦手なのがバレてしまいますね…。私自身、この機会に読み返してみたのですが、表現等気になる点がいくつかございましたので、折を見て手直ししてみようと思っております。
     特に「クソッタレ」に関しましては、まさにご指摘頂いた通り、今読むと作者たる私の執筆時の現実的なフラストレーションがそのまま乗り移ってしまった(拙作の主人公にも雰囲気にも似つきませんね…)感があります。少々練り直す必要も感じますので、ゆっくりと当拙作と向き合う時間を今一度作ってみようと思います。

     改めまして、大変ご丁寧かつ真摯、そして滋味深いご感想を頂けたこと、深く感謝申し上げます。何かを表現する者の端くれとして、これほど嬉しいことはございません…。本当にありがとうございました。



  • 自主企画に参加ありがとうございます。

    黒い薔薇が女性の姿に見える程、廃墟の中は異質な空間だったという解釈をしました。

    主人公はいつかあの廃墟のような場所で彼女のような存在になる未来を想像すると面白いですね。

    素敵だと作品をありがとうございました。

    作者からの返信

    静木明鳥様

    いえいえ、勝手ながら参加させていただきました。
    それにも関わらず、拝読下さり、またコメントまでいただき、恐縮です。ありがとうございます。

    この作品は私の中でも、なかなか解釈の定まらない一種不思議な作品になっています。読み方によって、様々な解釈ができるものを特別目指したわけではないのですが、我ながら不思議なものです。

    はい。私自身も、この作品の主人公があの場所で、いずれ彼女のようになるという未来を想像すると、どこか寂しいような温かいような、面白い感情に包まれます。

    「素敵」と、大変光栄なお言葉を賜り、感謝申し上げます。