アナザーワールドシャーク ~恐怖の殺人サメ、電脳世界を蹂躙す~
はとむぎ
0.プロローグ
VRなんて古い! 時代は
【MMOAWシミュレーションゲーム「リアルバケーション」】
「いっくぜー、ほいっと」
男が剣を振るう。ヴォンという音と共に、対戦相手の腕に切り傷が生まれ、鮮血が舞う。
「ちょ、おまっ、AWだからって加減無さすぎ」
ひざ丈の水着姿な男二人が、砂浜の海岸で剣を振り合う。一人は華美に装飾された輝くような剣。ゲームでなら伝説の剣などと呼ばれそうなほどの煌びやかさだ。もう一人の剣は刀身が光で構成され、振るうたびにヴォンヴォンという鈍い音を発している。
二人は水着姿で、明らかにリゾート風な海岸においてはあまりに異質な武器だが、彼らにそれを気にする様子もない。
「ちょっ、血出てるし、ライトブレードとかマジ大人気なさすぎだし」
「ちょっとぉ~、気を付けてよね、リアバケで血なんて見たくないんですけどぉ~」
波間で格闘していた男たちから少し沖、二人の女性が大きな浮き輪で波に揺れていた。
「はは、わりぃわりぃ」
「すぐ治るからいいけどね、ってかもう治ったけどね」
「うはっ、はやっ!!」
騒ぐ男たちと、それを呆れ気味にみる女たち。そのさらに沖から、三角形の突起物が水面を滑るように移動してくる。
「なんかお腹すいてきちゃった、そろそろ浜に戻ろ──」
ぼちょんっという音と共に、一人の女の言葉が途切れる。
「あれ? 恵美子?」
もう一人の女が呼び掛けた先には、無人の浮き輪だけが浮かぶ。その浮き輪からジワリと広がる赤い色。
「え、恵美子!? ど、どこ行ったの恵美──」
もう一人の女も、その言葉を最後まで発することなく海中へと没した。水を濁らせる赤い染みだけを残して。
「あれ? 女ども居なくね?」
「マジ? どこいった? あれ浮き輪だけ浮いてね?」
男たち二人は、忽然と消えた女たちを探し、沖合に目を凝らす。そこには浮き輪だけが漂っていた。二人は消えた女性たちを探す内に自然と海へと入っていき、少しずつ深いところへと……
ありえない速度で飛び出した顎が、男たちを薙ぎ、食いちぎって行った。
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