正しい失敗の仕方!

羊草

第1話

私は今日は決行に出た!


私は朝早くに家を出て、突き当たりすぐの学校へたどり着いた!


靴箱に着いて私は行動に起こす。


ドキドキ,ドキドキ。


私は左手に手紙を持って、慎重に慎重に前へ進んでいく。


あと一歩!っと思った瞬間、


「何してんだ、七見。………………手紙なんか持って、………、あっ!、もしかして、お前、だいだいの事が好きなのかーっ!」


ニシシッ.


あいつ、ジンのやつめ、今私を笑った。


「今、笑ったな!尽!お前はという名前の癖に人を嘲笑うのか!」


「良いじゃないか!今くらい。今笑ったら、後でお前に協力してやってもいいんだぜ!感謝しろよ。この尽様に!」


「何、言ってんだか、お前は~!」


「というか、お前は何で今日は早いいんだ!」


「何だって、良いだろ!お前には関係ないっ!」


心なしか、尽の耳が赤くなった気がする。まあ、気のせいだろう!


「尽、七見、君たち朝から何やってるのさ。一部、登校してきている生徒の噂話を知ってる?」


「だいだい、いつから来てたんだ!」


「さっきだよ!ほんの少し前。『後でお前に協力してやってもいいんだぜ!』とか、何とか、尽が言ってた辺りだよ。」


危機一髪だ!どうやら、私、七見 春風(ななみ はるか)がだいだい、だい野瀬 だい亜(おおのせ のあ)が好きだとはばれていないらしい!良かった~。


「だいだい、それをほんのさっきとは言わん!」


「尽、君、せっかちだよ!人生においてさっきの時間はほんの少しの出来事だよ~」


「本当に、お前と来たら。」


「そこが、だいだいの良いとこだよね!」


「お前、俺とだいだいの扱い違い過ぎないか?」


「いいんだよー、ねっ!だいだい!」


「あ~、尽にはそれくらいが丁度いいね!」


「お前ら、二人、薄情かよ!」


尽がその時、私に目配せした。あんなにおちゃらけた感じで、話してたのに、急に目だけは、変わった。少し、悲しそうな、でも、意思のはっきりとした強い目。私は、何も言葉が出ず、しょうがないから、頷いて返事をした。


「あっ、忘れるところだったぜ!危うく、朝ごはんを、買い忘れてたぜ!二人の分も奢ってやるから、屋上で待ってろ!さあさっ、行った、行った!」





ガチャッ。ビュー


「………………。」


「………、だいだい、実は私、だいだいの事が「待って、七見。実は、僕、朝の話聞こえてたんだ。だから、七見の言いたいことは知ってる。でも、僕にも、良い格好させてよね!」


キョトン。。。。。………………!


「僕は七見のこと好きなんだ!僕たち、僕に七見に、尽にって幼馴染のままでは、嫌なんだ!僕は、七見のこと独占したい。七見、こういう僕、知らなかったでしょ。こんな、僕も好きになってくれるかい?」


「勿論。どんな、だいだいだって好きだよ!」


「じゃあ、僕と付き合ってくれる?」


「はいっ!」






その時、俺は、パンなんて買わずに二人のことを、そっと影から見守っていた。


「僕は七見のこと好きなんだ!…………。」


俺には、もうそのワンフレーズで十分だった。二人には、気づかれていないが、俺だって、七見のことが好きだった!でも、二人は既に両思いだった。俺は気づくのが遅すぎた。遅すぎたんだ!だから、せめて、七見の幸せな姿を目に焼き付けようと思って、今日は七見の後押しをした。でも、これは、正直言って辛すぎる。二人の前で俺、いつも通りでいられるだろうか?まあ、そんなことは、知らねえ、俺らしく、やっていこう!二人に気づかれない程度にからかってやろう!それこそ、朝みたいになっ!





「尽、そんなとこにいないでこっちに来なよ~!」


「おうっ!」


「そう言えば、尽、パンは?まさか、パン買ってこなかったの?!」


「いや、そんなことはない、お前たちが何やら取り込んでたから、全部、俺が食べたわっ!」


「尽、朝から、そんなに胃に入るの!」


「尽はブラックホール並みだもんね~!」





私はさっき、尽が出てくる前に何か光るものを一筋、見た。あれは、尽の涙だった。やっぱり、朝の光景は私の勘違いではなかったようだ。でも、私たち、幼馴染、3人は動き出した!



この、日々変わって行く世の中、変わらないものはない。どんな悲しいことも、嬉しいことも、皆、訪れる。今回の尽の協力のような。そんな事を出来る彼を私は尊敬している。

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