プロローグ 魔界出現

 20XX年、中世西洋風の巨大な城が世界72カ所に突如出現。

 同時に城付近に不可思議な生物が現れ、人や家畜等を襲うようになった。

 日本にも群馬県は毛無峠の南、小串鉱山跡に中規模の城が出現。

 乳山牧場等に通称ゴブリンと呼ばれる魔物等が出現しはじめた。


 県知事の要請を受け直ちに自衛隊が付近を取り囲んで警戒。

 各国と連絡を取りながら調査を開始した。

 結果、出現後1週間程度で次のような事実が判明。

  ○ 異常が発生するのは城から概ね1キロ以内の範囲に限られる。

    この範囲を以後魔城の勢力圏(通称・魔界)とする。

  ○ 魔城の勢力圏では殺傷能力のある武器は一切使用できない。

    銃器等の他、刃のある戦闘用ナイフ等や日本刀等も切れなくなる。

    ただし武器として製造されなかったもの、例えば包丁等は使用可能。

  ○ 魔城の勢力圏には魔物と呼ばれる不可思議な生物が生息している。

    人型の魔物も存在するが意思の疎通は不可能である。

    またこれら魔物は人間を見ると襲ってくる本能がある。

  ○ 魔城の勢力圏では魔物は時に不可思議な力を発現させる。

    例えば一部の小人型の魔物(通称メイジゴブリン)は炎の玉を発生させる。

    その炎の玉は実態は存在しないが触れると火傷を負う。

    なおこのような不可思議な力は魔城の勢力圏内でしか発現しない。

  ○ 魔城に近づくほど魔物は強力になり、また不可思議な力の威力が強くなる。

    武器が使用不可能な事もあり、軍隊による制圧は不可能と判断される。

  ○ 魔物や魔物が発現させた不可思議なものには銀製品が有効である。

    銀メッキをした棒や物質等なら何でも有効。

    特に銀に日光を数時間当てた物は効果が高い。

    魔物がこれらに触れるとその部分が蒸発したかのように消滅する。

    なお一定以上の部分が消滅した魔物は死亡する。

  ○ 魔物の死体は日光に長時間当たると溶けて消失する。

    ただし日光に当てなければ長期間の保存も可能である。

    その場合は地球上の動物と同じような成分を確認できる。


 なお魔城の勢力圏から離れた場所では魔物も不思議な力を発現させる事は無い。

 また魔物そのものの強さも勢力圏外ならニホンザル等と同等程度。

 従って各国の対応は『勢力圏外から取り囲んで警戒』という事に落ち着く。


 その状態が続いて1年後。

 ある西側先進国で魔城について新たな動きが起こる。

 民間委託で魔城警備を請け負ったある企業が、魔城と魔界を観光資源化したのだ。

 魔城と魔界が72ある事からそれぞれの魔界をソロモン72柱の名で呼ぶ事を提案。

 魔界ぎりぎりの範囲に頑丈なホテルを設置したのである。

 観光資源は今は珍しい中世風の城の風景だけではない。

 襲ってくる魔物の討伐もまた観光資源とした。

 このときに魔物に抗する武器として採用されたのはエアガン。

 銀メッキしたBB弾をエアガンに装填し、魔物討伐をもアトラクションとした。

 この試みは好評で以後各国の魔城及び魔界が観光資源化される事となる。


 そして更に3年後、つまり魔城出現から4年が経過した頃。

 ついに日本の魔界も観光化される事となった。

 具体的には魔物討伐と村おこしを兼ねた観光資源化だ。

 群馬県と長野県は毛無峠魔界観光公社を設立、条例を成立させるとともに国に観光特区としての認定を受ける。

 そして全国のモデルガンとサバゲー愛好家に呼びかけを始めた。

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