滅びゆく世界の、美しき空の下で

いずも

01 終わる世界の旅の始まり

 不可思議な世界を往く。

 旅する三人組はどこか楽観的で、明日にも崩れ落ちそうな終末さえどこか楽しんでいるような。


 全てを見聞し、全てを記し、全てを残す。

 この世界が存在して、彼らの物語があったことの証明を。

 だから、どうか。

 彼らの旅の行く末を最後まで見守ってほしい。



 青みがかった短髪に赤いバンダナ。

 腰には短剣。

 白いシャツに紺の外套。

 そして右腕には真っ赤な腕章。

 下は深緑の穿き物に紐までボロボロの靴。

 見た目で相当旅慣れている様子が伺える。


 精悍な顔つきにやや三白眼気味の瞳が特徴的で、大きく口を開けて笑う姿はどこにでもいる若造という印象を受ける。

 彼の名は『ワールド』。

 この物語の始まりであり、辿り着く果てでもある。

 そんな存在。



 そしてその後ろを無愛想に歩いている少女。

 赤みがった黒のショートボブ。

 黒のワンピースにイブニングローブ、それに黒タイツ。

 全身黒が特徴的だが、さらにもう一つ。

 真っ黒な日傘を差しているのだ。


 彼女の名は『グラ』。

 とある理由によりワールドと、そして後述する双子の妹と旅をしている。



 グラの隣を歩く一回り小さな体に同じ顔、といっても全身を覆う白いローブにより顔も隠れていて、ぱっと見では同じ顔だと気づかないだろう。

 違いはこちらの少女は銀色の長髪であること。


 彼女は『サータ』といい、グラの双子の妹だ。

 その瞳に映るもの全てが新鮮で、目を輝かせ表情豊かに世界を見ていた。



 どこかにあるという異世界ヴェルティリア。

 その不安定な世界の終末冒険譚を。

 どうぞお楽しみあれ。

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