第355話卒業式ミニコンサートと沢山のプレゼント

「みなさーん!ノネット・クライムでーす!!」

王子が嬉しそうに挨拶。


もうこの異例の出来事を教師達も止めずに見てるんだから有難い学校だよ。


「アリア学院最高!これからも皆、音楽に勉強に励んでくれよー!!」

私の叫びに、わっ!!っと会場が沸いた。


「同級生達!!今まで仲良くしてくれてありがとう!」

ジョージがそう言うと同級生達が歓声を上げる。


「そしてこれからも!」

会長がそう言って全員で

「ノネット・クライムを宜しく!!」

生徒も先生も来賓の皆様も。

異例のオールスタンディングだ。


曲目は会長任せ。


「卒業式らしい曲ばかりで行くよ!1曲目。乾杯!!」

歓声が上がる。


全然、考えていなかった割に私達って練習しまくっているので歌えるもんだ。


泣かせる系の曲ばかりで行く様だ。


卒業生達のすすり泣きが既に始まり優しい手拍子が合わさる。


「2曲目は新曲!糸。」

沢山の歓声が上がった。


中島みゆきさんのこの曲は私達でも歌っていて泣きそうになる。


キャサリンがメインボーカルでハモる。


生徒達の泣く姿も増えた。


私達が巡り会ったのは偶然なのか必然なのか。この世界に生まれた意味はきっと。

歌を届けるため。


「ラストだよ!」

えー!と言う声より泣いてる生徒の方が多い。


会長は歌うよ!とクライスの肩をポンと叩いた。

「栄光の架橋!!」


会長とクライスが2人メインで歌う。


これから。この先の未来。

ずっと9人で駆け抜けて行こう。


歌い終わる頃には私達も涙が出ていてもうラストは会長任せだった。

「皆、ありがとー!」

「またね!!」

卒業生も在校生もめちゃくちゃ泣きながら拍手喝采を贈ってくれた。

私達もステージを降りてハグし合う。


「ジェファーソンありがとうね。」

「うん。びっくりしたけど歌えて良かった。」

クライスとカインにそう言われて王子も涙しながら

「当然ですよ。僕のアリア学院の学校生活はノネットが無ければ何の面白さも無かったかもしれない。本当に皆、ありがとう!」

そう言われて照れながらもまた泣けてくる。

「全く、泣かされたな。」

「本当に良い学校生活だった。」

「私、この学校に入って本当に良かったです。」

ルイスも私もエミリアも涙を拭って笑顔を向ける。




そして。無事に卒業式は終了した。


教室での最後のホームルームを終えてレッスンルームで卒業打ち上げだー!!


と思っていたが。


うーん。予想以上だ。


「ルナリー様。プレゼント貰って下さい!」

クラスの女子集団にそう言われたのを皮切りにプレゼント攻撃と握手会が開催された。


「ありがとう。うん。元気でね。」

プレゼントがもうそろそろ持ちきれないぞ。

あー。クライスも机の上に山の様にある。


カインもだ。


「えーと。そうだな。一旦車にプレゼント置いてくるよ。」

そうしよう。

マッケンジー家の車に積んでいるとルイスもプレゼント抱えてやって来た。

「まじか。」

「まじだ。」

座れなくなりそうだな。


「まだありそうだぞ?」

「去年の会長がそうだったもんなあ。」

良し戻ろう。

気合い入れて校内に入ると


いらっしゃったわ!!ルナリー様!!

ルイス様ー!!!


人だかりが出来た。

「本当にありがとう。コンサートに来てね。」

「元気でな。うん。応援してくれ。」

パーティーの握手会状態より大変かもしれない。


11時過ぎにはホームルームが終わったのだがもうすぐ12時だ。


でも。本当に嬉しいよなあ。

ノネットが人気のあるグループになり愛されている証拠だし。


車にプレゼントを再度積みに行き乗るスペースが無いので運転手さんには1度家にプレゼントを置いてきて戻って来て貰う様にお願いした。

本当に申し訳ない。


レッスンルームに行く廊下でも握手会。

貰うプレゼントはだいぶ減ったけれど、それでもなかなかレッスンルームに辿り着け無かった。


ガラガラっとルイスと2人で協力して扉を開けた。

「両手塞がったな。」

「うーん?もしや全校生徒?」


「まだ誰も来ないよー。」

会長が僕までプレゼント貰っちゃったと見せびらかした。


「私達は割と強引に突っ切ってきたからなあ。」

「だな。」

ルイスと私は2人で移動したから早かったが他の皆はもっと握手会まみれだろう。


「お腹空いたなあ。ジェファーソンの所が軽食用意してくれるって言ってたけど。」

まだ来ないねと会長が机に突っ伏した。


ガラっと扉が開いた。

「辿り着きました!!」

「うん。疲れたね!」

ジョージとエミリアが必死の形相でプレゼントを抱えて来た。


「これでも、車に積んだんだけど。」

「同じくジョージの家の車に積ませてもらいました。」

エミリアやジョージのプレゼントはぬいぐるみ等の可愛いやつが多い。

皆、考えてくれているんだなあ。


「お待たせしました。」

「お待たせ!頑張ったわ!」

王子とキャサリン到着。急いでパーティー準備しますね。と王子。


「やっぱりクライスとカインは遅いな。」

会長がちょっと心配そう。


仕方ないんだけどねー。と言ってはいるけれど。きっとクライスが心配なんだろう。


ガラガラ!!

「おーまーたーせー!」

「ごめーん!」

カインは両手いっぱい。クライスは警護人に半分持たせて入って来た。


「さあ!卒業パーティーしましょうか!」

王家の料理人特製のパーティー料理が机に並びパーティーが始まった。

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