第342話輸入会議

ラジオを見た事が無い人に説明をすると言うのは本当に難しい。


パトリックは専門用語を話すエジソンさんの言葉を何とか解り易く伝えている。

『簡単に言うと遠く離れた場所で機械を通して同じ会話が聞ける道具です。』


『うーん。電話とは違いますね。電話は1体1です。これは1人の発信者から機械を持っている物全員が言葉を聞ける。』


『会話は聞けるだけで話が出来るとは違います。』

パトリックが現在1人で通訳と説明を頑張り中。



「現物無しでは難しいですよね。」

デイビス王子がうーん?と悩んで私に囁いた。

「そうなんですよねぇ。体験が1番早いんだけど。」

視察無しで話を進めて輸入締結させようって言うんだから今、如何にパルドデア国とプラゲ国の上下関係が成り立っているか解る。

何か解らなくても電波塔立てて輸入する事になるんだろうなあ。


私は時代劇を思い出していた。

お上の言う事は絶対で従う武士達。だけど地方って結構、荒れてたから水戸黄門が世直しをしてたんだよなあ。


『はい!個人的意見!』

手を上げた。そうそう。これは行けるかもだ。

『えっとですね。ラジオってやつは離れた場所に一斉に有難い吉宗殿のお言葉を発信出来るんです。国の新しい決まり事とかも決まったその日に京都でも琉球でも同じ時間に。』

あー。何か説明しようとすると難しい。上手く言えない。


『ルナリー、例えば?各藩や県に電話をせずとも良いと言う話か?』

光国さんが聞いてきた。

『時間指定はしないといけないけれど毎日12時と決めて今日の出来事とか話す様にしたら各藩や県も聞くと思います。』


解ったか?解らないか。難しいー。


『私も例えを1つ。』

大司教さんが手を上げた。

『プラネットから離れた藩で災害があったとします。藩からプラネットへ連絡は行くでしょうが他の藩は知りません。その事をラジオを使って伝える。支援物資を近隣の県や藩から送る事が可能になるでしょう?』

吉宗殿がうんうんと頷いた。


大司教さん上手いな。災害時と言えばラジオって定番だし。

情報源になる。


『あぁ。何か解ってきました。発信元はプラネットにして各県や藩の城にラジオを置いたら良いのですね!』

夏目さん冴えてる。まさにそうだ。

各家庭はその後だろう。先ずはプラゲ国は各県の連絡用で良さそう。



だんだんとプラゲ国の皆も理解してきた。

今度は実体験の私達のラジオ放送の話を会長がしてくれている。


それぞれ意見を話して行くと最初は構えていたが打ち解けて来た。


『あい解った。では、アルマーニ殿。先ずはラジオ塔の建設と放送局とやらの建設から始めようぞ。』

お陰様で吉宗殿も納得してくれた。


「ありがとうございます。絶対に損はさせません。世の中が便利になりますし。」

アルマーニ王子がお礼を述べると合意の上の締結がなされた。


だいぶ時間はかかったけれど任務完了だ。


「最初は無理矢理、輸入締結を進めようかと兄上は思っていた様なんですが納得して頂けると気分が違って良いですね。」

デイビス王子が私にだけ聞こえる様に囁いた。

「そりゃね。私達も上手く伝えられて良かったよ。」

本当に強引に進めようとしてたんだろうなあ。



それからその場で昼食タイム。



今日はその後は私達は私とルイスの婚礼衣装を買いに行く。

スケジュールが詰まりまくりだ。


コンサートは明日の朝から。パルドデア国の皆様はコンサート後には帰国と言うし強行スケジュールとは正にこんな感じだよな。


昼食は和食懐石料理っぽい感じだ。上品で高そう。


しかしパルドデア国の皆様の箸はやはりあまり進まない。

和食美味いんだけどなあ。



野菜が嫌いなのか?味付けなのか?


「アルマーニ王子はこう言う系の料理は苦手ですか?」

うちの王子は相変わらずストレートに聞くなあ。

「うーん?何か物足りないんですよね。やっぱり我が国って濃い味付けですし。」

嫌いでは無いがと言う感じでアルマーニ王子は食べてはいる。


「健康には良いんですよ。プラゲ国料理って。」

会長が説明するとなるほどと少し箸が進み始めた。


やっぱり健康は何時の時代も大事だよなあ。晩御飯はきっと気に入ってくれるだろう。

唐揚げを振る舞うのが楽しみ。



そして昼食が終わり光国さんの案内で城下町に行く事になった。

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