第319話夕食会

城へ帰宅すると夕飯の支度真っ最中だった。




明日の公演は午後からだが朝にはホール入りするので晩餐会って形では無く今夜は軽い夕食会くらいのおもてなし。


王様とお后様が王子にお昼ご飯の時の皇太子とアルマーニ王子達の話を嬉しそうに報告していた。


今は皆、各部屋で寛いでいるらしい。




「良かった。ラジオ輸入も上手く行きそうですって!」


王子が本当に嬉しそう。


「夕飯まで部屋でのんびりしようか。」


うんうん。取り敢えず制服脱いで着替えよう。


今回も男性陣は大部屋で私達女子は3人部屋だ。




部屋で着替えながらゲネプロの感想。


「何か本当にホールでかいな。管弦楽団用の広さだよなあ。」


今日、久々に国立ホールの舞台に立ってその奥行き感にびっくりした。


「楽団が全員入れますからね。凄く端から端までが広く感じましたよ。」


エミリアがしみじみと頷いた。




「本当に広かったわー。でも、歌声の響きが流石よね!!」


「本当それ!」


非常に歌いやすかった。しかし久々に緊張はしそう。




「飯までゴロゴロー。」


疲れたー!そう言うと2人ともルナリーらしいわと笑う。




暫くゴロゴロしながら喋ったり転寝したり。


そして夕飯タイム。




私達とパルドデア国王子達、皇太子とエリザベスさん何か本当に外交の会食みたいだ。


私達が先に客間に入り待っていると皇太子とエリザベスさんが笑顔で入って来た。


「お帰り!ジェファーソン!楽しく話せたんだ!」


王子の元へ皇太子が駆け寄る。王子は嬉しそうにしていた。




続いてパルドデア国王子達が入って来てこれまた嬉しそう。


「お久しぶりです!御招待ありがとうございます!」


「ありがとうございます!」


アンドレ王子の挨拶の後に2人も頭を下げた。




「良かったんですか?コンサート前なのに!なるべく急いで食べますからね!」


とアルマーニ王子。本当にこの人って好きな人への気遣いが凄い方だったんだなあと思う。




「まだ早いですし。ゆっくり大丈夫ですよ!どうぞお席へ。」


と王子がニッコリと笑顔。




「何か本当に嬉しいし楽しいです。3人で旅行なんて久々です。」


デイビス王子が嬉しそうに笑う。外交はアルマーニ王子がメインなんだろうしなあ。




今日の夕食はフランス料理風のコース料理だ。


相変わらず城の料理人は最高!




「今日は飲酒は控えます。二日酔いになると困るので!」


3人の王子達は笑顔で酒を断っていた。明日へのスタンバイ精神が凄い。


「新曲のレコード最高でしたよ。電話は兄上ばかり話して何時も後から自慢を聞くんですよ!」


デイビス王子がアルマーニ王子をチラっとみて私達に告げた。


アンドレ王子もアルマーニ王子もクスクス笑いながら良いじゃないかー!と見ていて微笑ましい兄弟仲。




エリザベスさんが幸せそうに眺めていて此方も相変わらずだ。




食事が終わり頃合いを見たようにパルドデア国王子達は席を立った。


「明日、楽しみにしておりますので。お先に上がらせて頂きます。ゆっくり休まれて下さいね。」


アンドレ王子がそう言うと2人も頭を下げた。


本当に気遣いが有難い。




「じゃあ、僕らも今日は早寝しますか?」


「明日は7時に起きてホール行って。開演は13時だよな?」




「しっかりリハもして頑張りましょう!」


私達の様子を皇太子もエリザベスさんもニコニコと眺めている。




「ジェファーソン。僕らも早目に部屋に入るよ。」




「ありがとう。明日の夜にゆっくり晩餐会しよう!」




2階の部屋に戻る途中で


「やっぱりケビン様とクライス様はお似合いですわー!」


「後やっぱりジェファーソン様とダミアン様も。」


エリザベスさんは我慢していたのか妄想幸せトークが始まった。




「ダミアンとは仲良しだからねぇ。」


王子もノリが良い。


「僕らも仲良しですよ。ねぇ。クライス?」


会長も負けていない。




「本当にケビン様とクライス様はお付き合いされたら良いのに。まだされてないんですよねぇ?」




「こら!エリザベス!困らせるな!」


皇太子がすかさずツッコミを入れている。




「そうなんですよ。まだ付き合っていないんですよねぇ。」


会長は悪ノリ中。まあ、何処まで本気なのか本当に不明なお人だ。


クライスは横でクスクスと笑っていた。




「明日はダミアンも大部屋に来ます?」


王子の誘いは天然なのかエリザベスさんのハートを鷲掴み。




「ジェファーソン。エリザベスが倒れそうだからその辺で止めてくれ。」


「尊いですわー!」


フラフラと幸せそうなエリザベスさんを皇太子は支えて部屋へ送って行った。




・・・・・・・・・・・・・・・・




男子部屋




「ジェファーソン。お前本当に楽しそうだな。」


ルイスがツッコミを入れている。


本当にジェファーソンと会長はエリザベス様で遊び過ぎだよ。


しかし、本当に会長って・・・。


どうなんだろう。本気?冗談?



僕と会長の関係ってずっとこのまま?



いやいや、何考えているんだ僕。



「交代で風呂行きましょうか!」


「僕は部屋で入るね。」


会長は何時も部屋風呂。




それには理由があったのがこの前判明した。ちょっとびっくりした。何かそれから前より意識してしまう自分がいて困っている。




「クライス?どうした?ぼーっとして。皆、行ってしまったよ?」


会長に声をかけられて我に返った。


「あっ。本当だ。ぼーっとしてた。僕も部屋で入ろうかな。」


本気でボケてたようだ。


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