第310話城へ。両親との対話
着いて行くのか?全く世話焼きな私達。
「まじで行くの?大丈夫?」
「ジェファーソンはまだしも全員か?」
皆もそこは弁えてうんうんと頷く。
「皆さんで行きましょうよ!だってお友達ですもの!!」
今まで発言を控えていたエリザベスさんが満面の笑み。
「あぁ。やっぱりダミアン様とジェファーソン様って素敵ですよね!ダミアン様とヨーゼフ様も・・・。」
この現象を初めて見たヨーゼフ君は理解出来ていない模様。
「ヨーゼフ。エリザベスの事はほっといてくれ。もう少し大人になったら解るから。」
皇太子は苦笑いしながら誤魔化していた。
「僕もお兄様とエリザベス様みたいになれるように頑張る!」
ヨーゼフ君は理解出来ていない様だが可愛いから良いか・・。
家(城)に個人的には友達を招いた事が無いと言う2人。
取り敢えず電話で大丈夫か確認していてOKが出たようで。
私達もホテルでの夕食に間に合うか不明なので一応、ホテルへ電話。先生は外交なら仕方ないと言う許可がおりた。何処までも私達は自由なんだな。
小学校に城へ全員で向かえる様にバスがお迎えに来た。
そのままアーシェンバード城へ。王子もかなり久々らしい。
地図で見た通り城も車で行くとそれ程遠くなかった。
城門や城の外観はボードウェンと似ている。
城内へ入ると使用人達が大勢で押し掛けた私達に驚いた様な嬉しそうな様な感じで客間に案内してくれた。
客間は長机に綺麗な花柄のテーブルクロスがかかっていて可愛い。部屋は白を基調としていて明るくてお洒落だった。
メイドさんがお茶会用のティーセットを運んで来た。
焼き菓子が沢山。珈琲も良い香り。
皇太子とヨーゼフ君だけはソワソワしている。
「ちょっ。ちょっと着替えて来る!!」
「僕も!」
気分を落ち着かせる為か着替えに出て行ってしまった。
少しして入れ替わりで客間に入ってきた女性。お后様だろう。ヨーゼフ君に似ている。
「これは、ジェファーソン様。ようこそアーシェンバードへ。」
私達も立ち上がってお辞儀する。
「突然押しかけて申し訳ありません。ちょっと修学旅行でこの国に来ていまして。御挨拶に伺いました。彼等は友達です。」
王子が笑顔で挨拶をし紹介してくれた。
お后様は綺麗で優しそうに見える。
挨拶の最中に国王様がいらっしゃった。噂の金髪碧眼の王様。あれ?皇太子は気づいていないのか?髪と目の色以外はそっくりじゃないか!?
「いやはやビックリ。友達を連れてくると言う電話を貰ったらジェファーソン様だったとは!それにこんなに沢山!ようこそいらっしゃいませ!」
王様はフレンドリーな感じで王子と握手を交わす。
「ダミアンもヨーゼフも気を使われる友人しか居ないと嘆いていたので今日から全員様付けを無くしてフレンドリーにする事にしました。言葉使いが悪い様に聞こえるかもしれませんがご了承ください。」
王子が私達のために前降りをしてくれて助かる。
王様とお后様はちょっと驚かれた様子だった。
「確かに本音で語れる友達を作ると言う行為は私も苦労したよ。そうか悩んでいたのか。」
と少し悲しそうな顔をされた。
「ダミアンは全然、私とは会話をしてくれなくて。何時からかしらそんなに悩んでいたのね。」
お后様は悲しそうな顔でそう仰る。
こんなに簡単に会話してくれないって話せるって事は?皇太子の勝手な思い込みで拗れているんじゃないのか?
どうやら会長や他の皆も似たように思った様であれ?っと首を傾げている。
「あの。ただいま帰りました。」
恐る恐ると言った感じでヨーゼフ君がドアを開け後ろから無言の皇太子。
「ダミアン。ヨーゼフお帰りなさい。こんなにお友達を連れて。良かったじゃないか!そんなに悩んでいたのか?」
王様がそう仰るとダミアンが王子を見て
「え?話したのか?何処まで?」
と少しムッとした顔をした。
「んー?タメ口で話す友達になりました!とは話ましたよ?皆が気を使うから嫌だって事くらいかな?」
私達もうんうんと頷く。
「そうか。うん。友達になったなあ。」
そう言ってまたしても考え込む皇太子。
「僕!!反抗期みたいなんです!悪い事をしたらちゃんと怒って下さい!いつも皆、見て見ぬふりする。僕は本当はお兄様みたいに普通に厳しくされたいのに。」
ヨーゼフ君の方が両親と接し続けて来たからか話は彼の訴えから開始された。
「ヨーゼフ・・。」
王様とお后様は少し困った顔をされている。
「反対に僕は何故・・・。どうして可愛がられていないのでしょう?やはりそのー。嫡男は厳しくすると言う事なんですかね?えーと。どうなんですか?」
皇太子は横を向いて目は合わせず必死で訴えている。
「なるほど。まだ教えていなかったからね。ちょっとこれは私達夫婦間の問題と言うか国の問題と言うか。ダミアンにもヨーゼフにも申し訳無かったね。」
王様は息子2人に頭を下げた。
「1番の問題は私ですよ。ガブリエル。頭を上げられて下さい。本当に2人共ごめんなさい。」
お后様が今度は本当に悲しそうな顔で頭を下げた。
皇太子とヨーゼフ君は2人の態度に焦るばかりだ。
「ちょっ。えっと!説明して下さい。謝らないで下さい!本当に僕も悪い訳だし!!」
皇太子焦りまくりだ。
「ジェファーソン様は我が国の歴史を御存知かな?」
王様が王子に尋ねる。
「いや、知らないです。ちょっと幼少期にダミアンと喧嘩のしすぎでアーシェンバードの内情は学びたくなくて。すみません。」
うちの国の王子は正直過ぎる・・・。
王様は苦笑してそうだったねぇ。でも仲良くしてくれて嬉しいよと言って簡単にアーシェンバードの歴史を語り始めた。
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