第308話人生初の兄弟喧嘩

やっぱりノネットメンバーって凄いな。


会場中がジョージ君に夢中になっている。身内の贔屓目で見てもヨーゼフの負けは確定だ。しかし、良い曲だ。ジェファーソン達がアンコールと声をかけるとまた会場がヒートアップ。


ジョージ君は僕の大好きな曲を歌ってくれた。やっぱりこの曲は勇気と元気が湧く。名曲!!




優勝は勿論、ジョージ君。本当にこのメンバーは凄すぎる。




そう思っていた瞬間、ヨーゼフがキレだした。


ジェファーソンが何とかして下さいと言っている。クソ!何処までワガママなんだうちの弟は!!僕もちょっと頭に血が上る。




「ヨーゼフ!!止めないか!!」


立ち上がって叫ぶ自分が居た。今までだったら見て見ぬふりをしただろう。でも、もう放置は出来なかった。




ヨーゼフの手を掴んで会場から出た。


そしてホールの空き控え室に連れ込む。後ろからエリザベスとジェファーソンも着いてきた。




「着いてきて大丈夫でしたか?出ましょうか?」


ジェファーソンが聞いてくる。いや、お節介焼きたくて仕方ないんだろ?本当にジェファーソンって奴は困った奴だ。他のメンバーは遠慮してドアの外に居る様だけど。




「気にせず。居てくれ。」


本音はちょっと味方が居てくれた方が安心するって言うのもある。いや、本当に少し冷静になってきたら何を話したら良いのか解らなくなってきた。




・・・・。

会話に詰まる。

本当に1体1で話すのって今までした記憶が無い。ヨーゼフが産まれてずっと遠目で眺める生活。食事時も出来る限り目を合わせない。話しかけられたら返す。以上。



「えーと。その。ヨーゼフ。流石に・・。美少年コンテストで負けたからと言ってあの態度は無いぞ。」



うっ。。ヨーゼフが睨みつけてくる。


「いや、どう考えてもジョージ君の方が優れていただろう?教師も審査の生徒も困らせて・・・。」



・・・・・。

えーと。で、後は何を話すんだ?そうだ!婚約者や取り巻き令嬢の件だ。



「それと!!婚約者を蔑ろにしてどういうつもりだ?他にその。好きな人が居るのか?」



「お兄様に僕の気持ち何て解らないよ!!」


ヨーゼフが言い返してきてぷっち〜んと何かが切れた。



「解る訳無いさ!!お前みたいに可愛がられてモテまくって今迄生きてきた奴の事なんか!」


「父親譲りの金髪に碧眼!母親譲りの顔立ちに産まれて、みーんなに可愛がられて来た!お前はクソワガママなだけなんだよ!それとも何か?ハーレムでも作る気か?」


はぁはぁ。

ヤバい・・。

これはかなり言い過ぎた。



「うぇぇぇん。」


泣き出すヨーゼフ。どうする?ここで引き下がるのか?



「生まれて初めて怒られたぁ。」


は?何それ?


再びぷっち〜んと何か切れた。




「だーかーらー!!そんなクソワガママに育ったんだよ!!もっと世間体とか王家として国民からどう思われているかとか考えて行動しろよ!」


さあ、こい反論!もう引き下がるか!


この12年間の鬱憤を今、晴らす!




ヨーゼフはひたすら泣き続ける。


ちょっと気まずい。ジェファーソン!君ならどうする?背後を振り返ると何故か笑顔のジェファーソン。ううう。困った。



「なっ泣いてちゃ解らないだろ?」



ヨーゼフはヒックヒック泣きじゃくりながら


「だって誰も僕を怒らないんだもの。」


と言った。


だーかーらー!父上も母上もお前を溺愛しすぎだからって。ん?誰も?



「悪い事しても・・・。うっく。。誰も注意もしないし。腫れ物に触るみたいに機嫌取るし。」


あれ?


えーと。どう言う事だ?


必死に脳内を整理中。怒られたかった?という事?



全く訳が解らない。


ジェファーソン。助けてくれるなら助けてくれ。どう対応したら良いんだ?再び振り返ってジェファーソンの顔を見た。



「ダミアン。国に寄ってはあるんですよ。王位継承する長男だけ厳しく育てられる事って。」


ジェファーソンが溜息をついてそう言った。



「ヨーゼフ?そのなんだ。もっと厳しく育てられたいって事なのか?」




「普通の子と同じ様に扱って欲しい・・。」


ヨーゼフはポツリと呟いた。


普通の子?


僕の脳内には沢山の?が浮かんで居た。


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