第280話アルマーニ王子(輸入締結からコンサートまで)

ラジオの輸入の見返りがレコード販売?我が国でのコンサート?!


そんなもので良いのか?やり手の財閥と評判だったが所詮、親バカだったな。


丸儲けだ。輸入締結!!仕事は無事終了。




レコード販売やコンサートはデイビスがやるそうだから私の仕事は終了だ。もっとパルドデア国を豊かにしたい!


我が国の文化は世界最高だ!!




輸入締結から数日後の事だった。


今日も我が国の素晴らしいお昼のラジオ放送を聞くのが日課。



「今日はボードウェン国で音楽活動をされているノネット・クライムと言う音楽グループの曲をかけます。近々、我が国でもレコード販売を行います。」


と言う放送が聞こえて来た。なるほど、少しは販売に協力しようと言うデイビスの計らいか。この国の国民は私もそうだが音楽にあまり興味無いからなあ。多少でも売れたら良いがな。高校生のお遊びだろうし。



「では、ノネット・クライムでJupiter、続けて宇宙のファンタジー。」



何気なく聞いていた。


前奏の美しさ。そして女性の美しい声がラジオから聞こえる。


え?!!何だこれ・・・。


心が洗われる。。こんな曲、今まで聞いた事が無い。



そして次の曲が流れる。


何この高音?!!男性の声なのに?


うっとりと目を閉じる自分がいた。



また聞きたい!!待て!何て曲名だった?全然まともに聞いていなかった。


ちょっと待て待て!!レコード!


「デイビスが自分用とラジオ用などで数枚送って来たと言ってたよな・・・。」


独り言の様に呟く。デイビスに1枚下さいと頼む?


いや!!それは恥ずかしい。


幸い今、デイビスはラジオ局。勝手にこっそり借りよう。


そう思った瞬間、デイビス家族が暮らす城の別棟へ走る。


「どうされました?アルマーニ様?」


デイビスの妻に見つかる。くそ。


「あの。ボードウェン国から送って来たレコードを・・。」


そう呟くと彼女はニッコリと微笑まれてレコードを持ってきてくれた。


「デイビスには内緒で!!」


捨て台詞の様な言葉を吐き捨ててレコードを受け取り急いで自室に戻った。


レコードの針を落とす。


ソファに座りレコードジャケットの曲名を見ながら、そうそう!これださっきの曲。



全部聞いてしまった・・・・。めちゃくちゃ良いー!!


今日の仕事は夕方まで無かったな。もう1回聞こう。



その日から毎日このレコードを聞く事は日課になってしまった。


政略結婚で最近は会話も減ってしまった妻もファンになり夫婦仲まで良くなった。音楽って素晴らしい。


悔しいがジェファーソン王子には脱帽だ。君は素晴らしいよ。


今度外交で会ったら謝らねばならない。




毎日、聞くと益々好きになっていく。


コンサートはまだだろうか・・・・。




「デイビス!!その、ノネット・クライムはいつ来るんだ?」


デイビスは笑顔で


「夏休みに来られるそうですよ。楽しみです。」


夏休みかぁ。自然と笑顔になる自分が居た。




「兄上も行かれますよね?チケット発売前ですし。確保出来ますよ。」


そう言われ言葉に詰まったが断る選択肢は無かった。



「最前列の真ん中を頼む。」


そう言ってクルリと後ろを向きデイビスの前を立ち去る。


最大限にカッコつけたつもりだが・・・。多分、今、笑われているだろうな。恥ずかしい。




「アルマーニ様、御機嫌ですね?」


部屋に戻ると妻にそう言われた。そんなに顔に出ていたか。


「ノネット・クライムのコンサートが夏休みに開催されるそうでね。デイビスにチケットを確保して貰った。」


ソファにドカッと腰掛けしみじみと喜びを噛み締める。




「良かったですわね!もうファンであると公言してしまえば?」


「う・・・。」


言葉に詰まる。しかし、大っぴらにしてしまうと楽しいだろうな。


「私がレコード販売やコンサートを仕切ると言えば良かった。」


思わず後悔の言葉が漏れて項垂れる。


妻はふふふっと笑って


「ファンクラブでもお作りになったら?」


と言った。


おお!!素晴らしいアイデアだ!思い付かなかった。




ファンクラブの会長になりコンサートを仕切るのは私だ!




ラジオ放送でファンクラブを開設する旨を放送。チケット確保もファンクラブ優先とした。


色々考えたが当日はペンライトをファンクラブには持参させる。


我が国の発明の素晴らしさも解って貰らいたい。




前日に城に来られた皆様に普通に接するのに苦労した。


しかし、明日のコンサートの為にゆっくり休んで頂かなければならない!それは本当に大事な事なのだ。






そして、今日のコンサートに至る。




1時間30分前集合でファンを仕切る。


ペンライトの点灯、振り方。ノネットコール。


準備万端!




ちなみにアンドレとデイビスもファンクラブの会員だ。


共通の趣味は兄弟仲まで取り持ってくれた。




「兄上、いよいよですね!生歌が聞ける!!」


「アルマーニ!ファンクラブの写真撮影会は終了後だ。」


兄も協力してくれファン交流会まで提案してくれた。




開演ブザーが鳴る。




夢にまで見たコンサート!




あぁ。レコード何て比べ物にならない。




美しい。




全員、美声。見た事が無い楽器もある。素晴らしい演奏。




新曲までーーー!!




私は低音ボイスのカイン様ファンだ。生歌はやはり良い!!




感動で涙が止まらない。



そうだ。仕切らなければ!!




アンコール!!声を張り上げる。




アンコールは新曲でまた素晴らしい。ルナリー様の声は美声過ぎる。歌詞も良い。涙が自然と流れる。




もう一曲!聞きたい!




すると何とケビン様が私にリクエストを?!!




全部と言いたかったが島唄をリクエスト。神曲だ。




コンサートも無事終了した。




最高だった。ノネット最高!!




写真撮影会は計画通りに進行。ファンとの交流が楽しい。こんなに国民と話を自然としたのは初めてだ。




「はい。撮影します!!」


写真家の合図。駆け寄る足音。




え?!!えええええええ!!!!


ファンの歓喜の悲鳴と崩れる隊列。


笑顔で写真に写り込むルイス様とルナリー様。




びっくりした!びっくりした!心臓バクバクだ。


何て素晴らしいファンサービス。




その後、全員に握手して貰った。幸せ過ぎる。




彼等は快く写真撮影会に参加してくれファンと集合写真も撮影もした。




感無量・・・・!!


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