第273話ラジオ放送開始

本日より夏休み開始ー!



一学期が慌ただし過ぎた。毎年何処かへ行っているイメージなのだが今年はラジオ放送開始と地方公演、パルドデア国でコンサートを開くと結構忙しい。



ラジオは勿論まだ家庭には浸透していない。


今日からラジオを売るための放送開始となった。所謂実演販売と言うやつだ。



マッケンジー家は大型の電器店や国立教会や有名レストラン、ジョージの家の病院や銀行などにレンタルで置く事にした。


先ずは聞いて貰わないと。電波は予めテスト放送をし合わせてある。予告は新聞に掲載しておいた。どのくらい聞きに行ってくれるかが問題。



第1回国営ラジオ放送は王様の挨拶から開始予定。



ラジオのパーソナリティは誰も経験した事がないがどんな事をするかは理解しているのでレコードを用意したり一応原稿を作ったり。


ニュースは明日の朝刊に載せるニュースを取り敢えず新聞屋さんから売ってもらった。



ラジオパーソナリティは勿論、私達ノネット・クライムだ。



お昼の12時より放送開始。



音響室はラジオ放送の部屋との境をパルドデアとは違いガラス張りにして貰った。


勿論、昔見た感じで作成して貰い音響操作も専門家の方に習いながら私達も行う。今日はグレンさんと技術者の方が音響は担当。音響室とコミュニケーションも取れるしガラス張り案にして良かった。


リハーサルは昨日やってみたけれど観客が居ない中で話をするって何か不思議。




「聞いてるのか聞いてないのかは気にしちゃダメだよなあ。」


会長がこれからのテレビもそうなるから慣れないとねと皆を励ます。




舞台が好きな俳優さん女優さんの気持ちが解る。目の前に観客は居た方が良いな。




ラジオ放送室に王様が笑顔で入室して来た。


「ジェファーソン。」


王は王子を呼びこれから頑張るようにと励ましていた。


優しいお父さんだよなあ。


「父上も今日は挨拶宜しく御願いします。ラジオ放送広まるとよいですね!」


王は優しい笑顔で放送用のマイクの前に座りスタンバイ。




12時。ボードウェン国初のラジオ放送が開始された。




「ボードウェン国民に告ぐ。本日より国営ラジオ放送を開始する。新しい娯楽として楽しんで頂きたい。今後、様々な放送も予定している。」


王は用意した原稿を流暢に読み上げていた。


流石だな。



聞いてる人の反応を凄く見たい。



王の挨拶が終わり一先ずレコードをかける。


クラシックが最初は無難であろうと言う結論に至ったので本日はモーツァルト。




曲が終了したらいよいよ私達の出番だ。




なかなか緊張する。


「ちょっとドキドキしてきましたね。」


「うん。コンサートとはまた違う緊張感。」


マイクの前に座りドキドキスタンバイ。




間もなくスタート。




3・2・1




「こんにちはボードウェン国の皆様!」


せーの!!


「ノネット・クライムです!!」


よーし。出だし好調。




「ボードウェン国初のラジオ放送を担当させていただきます。現在アリア音楽学院に通いながら音楽活動を行っているノネット・クライムと申します。宜しく御願いします!」


王子が御挨拶。




聞いてくれてる人いるのかなー。本当に何か心配。




「では、先ずは今日のニュースです。」


キャサリンが一生懸命読み上げる。


大した事件が起きないこの国なのだけれどもね。




「本日から放送のこのラジオですが3日間お試しで視聴出来るように各所に設置しております。その後は教会と家電取扱店にて視聴出来ますので是非まだの方にお声かけお願いしますね。」




「放送は暫くは毎日12時から行います!」


読めたー!とクライスが安堵。




「じゃあ!ノネット・クライムの第1回国営ラジオー!」


会長が元気良くマイクに向かってノリノリ。




「ノネット・クライムのケビンです。今日は僕達の曲も流したいと思っています。」




「では、私達のレコード絆よりJupiter!」


音響担当者とグレンさんがレコードスタート。




ふぅー。皆で一息つく。




「如何でしたか?ラジオ放送はこの様な感じで今後進めていきたいと思っております。」




「私達にも至らない事があると思いますが宜しく御願いします!」




せーの!!




「ノネット・クライムでした!また明日!!」



今日は最後にまたモーツァルトの曲を流して貰い終了。





「座っているだけなのに疲れたー!」


「精神力を持って行かれますね。」


うんうん。何か噛まない様に言葉を気をつけているだけなのに。きっつーい。




「よし。取り敢えずご飯にして、明日の打ち合わせしよ。」


手伝って頂いたグレンさんと技術者の方にお礼を言って個室のあるレストランへ行こう!となった。

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