第266話考えてみたら確かに

鼻垂れる。泣き過ぎた私達。


でも、本当に心が温まる言葉だった。


「ちょっと鼻かんでくる。」

「あっ。私も。泣き過ぎたわ。」

「ありがとう。ジェファーソン。僕も。」

「俺まで号泣した。ありがとうな。」

4人で立ち上がる。

鼻かみにトイレへ。まだポケットティッシュがないから不便な時代だよ。



「今、気づきました!!4人ともあんまりハンカチで鼻かみませんよね?」

王子に言われて頷く。


何か日本人的価値観と言うか習性でハンカチで鼻をかむ行為に抵抗があって緊急時以外はあまり使いたくない。


「そう言えば・・。」


4人で顔を見合わせてズルッと鼻をすする。


「取り敢えずトイレ行ってくるよ。」

ちょっと顔も洗いたいし。



レッスンルームの近くのトイレの個室に入り

スッキリ。



「ハンカチでって抵抗あるのよね。実は記憶が戻る前からそうだったわ。」

キャサリンがそう言うと私も思い当たる節があった。


「だよなあ!私もだ!」


顔も洗って今度はハンカチで拭く。



「外国では2000年代でもハンカチで鼻かむ人いるみたいだけどね。」

トイレを出ると会長とルイスが話していた。



「ポケットティッシュが本当に欲しいよね。」

うんうん。


花粉症が無くて良かったよなあ。と言いながら歩く。


「一先ず聞かれたら何でも答えようか。」

会長がそう言うので頷く。


「勿論。受け入れてくれたんだよな?」

「多分。」


「うん。何でも。もう隠したく無いわ。」

キャサリンも微笑んだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・



「そう言えばキャサリンって子供の頃から鼻かむのハンカチで嫌って言ってましたね。」


なんて事ないことだったけど思い返せばこれもそうだったんだ。

プラゲ国人ってハンカチで鼻かまないんだろうなあ。



「そう言えば会長もこの前、トイレで鼻かんでた。」

クライスがそう言ってるし。



「何か話してくれて良かったね。思い返せばルイスとルナリーが僕を助けてくれた時あたりからルイス変わったなあって思ってた!」



ジョージが言うのも最もだ。

確かにルイスはあの時にルナリーと前世で知り合いだったと気づいたんだろう。



キャサリンもだよね?


ルナリーに出会ってからだ。


僕は気づかなかったけど。心に沢山不安があったんだろう。



会長も最初は冷たくて嫌な方だと思いましたけど。

そうか!!ルイスとルナリーとキャサリンと同じプラゲ国人って解ったからか!!

めちゃくちゃ納得。


「教えてくれるかなあ。色々聞きたい!」


「僕も!」


「うん。聞きたいよね!」


「私も凄く興味あります!」


皆、早く戻って来ないかなあとワクワクしている。



良かった。僕だけでなくて皆、受け入れてくれて。


そうだよね。ずっと僕ら一緒に過ごして来たんだし。



そう言う僕も聞きたくて仕方ない!!



ワクワクしていると皆が戻って来た。


「ごめんね。」

そう、まだすまなさそうに謝るけれど。

僕らは全然そんな謝る事は無いと思っているのに。


「座って。」

笑顔で皆を促した。

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