第256話ラジオってなーに?
「行ってきましたよー!パルドデア大使館!」
王子は嬉しそうにレッスンルームへ入って来た。
「ちょっと早いんですけど来週の週末で良いですか?」
と物凄い笑顔。はっやー!!
「結局、どんな事するか解ったの?」
皆、興味津々だ。
「えーと?電波がね飛ぶんです。」
王子がニッコリと笑顔で誤魔化すように微笑んだ。
これ、理解出来て無いやつだな。
「電波が飛ぶとどうなるの?」
クライスが突っ込む。
「えーとね。周波数?って言うのがありましてー。それをラジオで合わせると音や声がラジオから聞こえる仕組みです。」
クライスは周波数?と首を傾げる。
きっと王子も理解出来てない。
問題はラジオがアマチュア無線くらいの大きさなのか小型化されているのかだなあ。
一家に1台置ける価格なのかも問題。
その辺は聞いて良いのかな?ちょっと様子見よう。
「ラジオの基地局から電波がね飛ぶんです。」
王子は悩みつつ絵に描いて見せている。
「何それ!?凄い発明!」
「え?このラジオを持っていれば全員で電話している感じですか?」
「電話か。なるほど。何か全然想像つかない!!」
口々に何とか理解しようと言う様子が解る。
前世でじいちゃんに無線は戦争辺りから発達したって聞いたけど。この世界、戦争ないもんな。有難い。
「此処がラジオ局とするとマイクから話した言葉が電気信号になってラジオの基地局へ飛んでそれからラジオから話声が聞こえる。」
王子、絵が以外に上手い。そして絵に描くと説明がしっかりしてきている。
「実際問題、見ないと全然解らないんですけどね!」
最後は苦笑い。
「それ高いの?機械。」
聞いてみよう。
「大きいのは安いけれど小さいのは高いとパルドデア人は言ってました。」
王子も現物は小型化された物しか見ていないそうで小型化された物も手で大きさを表してくれたけれどラジオにしては大きい。
「高いっていくらくらい?」
会長は心配そうに尋ねる。値段って普及に影響する。
「1万パルドデアドルに関税がかかるからもう少し高いかと。」
100万円って軽く言っちゃっていますが。そりゃ厳しい。
「その金額じゃ広まらないだろうなあ。」
ルイスも不服そうに言った。
「国内生産するのが1番ですね。」
王子もそこは解っていた。
何でも発売当初は高いんだろうなあ。
しかし、高いな。
「部品を輸入して国内で組み立てたらどうだろう?」
会長は自分は組み立てられる自信は無いけどねーと言いながら意見。
「交渉でしょうね。多分、パルドデアは本体を売りたいでしょうし。なかなか国同士の付き合いって大変なんですよ。」
と王子は溜息をついた。
何かそう言う経済のお話は習った気がする。
しかし脳内にあまり記憶されていない・・・。
料理の感じやこのラジオの発明、それにプラゲ国との付き合いを考えたらやっぱりパルドデア国は前世で言うアメリカ合衆国に相当する感じがする。
だとすると敵に回しちゃいけない国だなあ。
そこは任せるとして
「大きいラジオでいくらくらい?」
「それは10分の1くらいです。」
王子は大きさは不明ですがと付け加えた。それでも10万円かー。
庶民には買えないなー!
恐らく鉱石ラジオだろう。大きいってやつは。
まだまだラジオ放送が国民に広まるには時間がかかるだろうな。
「なかなか上手く行かないものね。」
キャサリンも同じ思いらしくちょっと残念そうだ。
「まあ、何事も挑戦です。来週!行きますよ!!」
王子は値段に落ち込む私達に気合いを入れる。
「だな!取り敢えず現物見よう。」
来週、初のパルドデア国訪問決定。
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